アカデミック活動

2006.02.10

どんなときにでも輝く存在でいてほしい〜後期の授業を終えて

こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか?

先週の節分の日に、ある取引先の社長から赤坂日枝神社の節分の豆と枡をいただきました。その白木の枡の匂いは遠い昔を想い起させてくれるのに十分でした。幼少時代、家族の恒例行事であったこの古きよき風習と10年以上も無縁であった自分に気がつきつつ、現在多くの問題を抱えながらも、決して希望を失うことなく、いつも平常心を保っておられるその社長のお人柄や経営者としての深さに心を打たれました。

さて、先々週から先週にかけて、昨年10月から始まった早稲田大学の学際授業「パブリックリレーションズ概論」と大学院商学研究科のMBAコースの授業が終了しました。

概論の授業では、受講生からの2回にわたるリポート提出により、授業を受ける前と受けた後、自分がどのように変わったのか、さまざまな感想を書いてもらいました。受講前には、広告宣伝として認識していたパブリック・リレーションズが、「組織体をとりまく様々なリレーションズを統合し取り組むことで経営に直結した機能を果たすことが可能であること」、そして「各々の人生の中で目的達成の手法として活用できる」などの認識に変化したとの声を多く聞きました。

またパブリック・リレーションズを支える「倫理観」「自己修正」そして「相手の視点」などのテーマも、義務教育や高等教育の中ではあまり取り上げられていないようで、学生の目にはとても新鮮だったようです。

これらの視点で日本社会を改めて俯瞰したときに、多くの受講生の認識は、国際社会の中でリーダーシップを発揮できずにいる現状や頻発する不祥事の根底には、パブリック・リレーションズ的な要素が日本社会に欠落していることにあるのではないかと理解できたようです。

さらに社会経験豊富なゲストスピーカーを迎えた授業では、彼らのリーダーとしての「大局的な物の見方」「物事を肯定的に捉えてあきらめずに行動する姿勢」そして「自らアクションを起こし素早く変化に対応するフレキシビリティ」などの共通した素養を講師の方々から直接学べ、強い刺激を受けたのではないでしょうか。

レポートの中でとても嬉しかったのは、「人生の方向性が変わった」「新しいものの見方ができるようになった」「パブリック・リレーションズをこれからの人生に活かしてしていきたい」など各々の内面に大きな変化がみられたことです。

私は、彼らの鋭い観察力と、大いなる好奇心と意欲に満ち溢れたリポートを、一枚一枚感動しながら夜通し読み明かしました。忙しい仕事をやりくりして教鞭をとらせていただいて本当に良かったと思いました。
一方、MBAコースは社会人向けで、受講生の皆さんにとって仕事と両立させながらの授業は大変だったと思います。そんな中、全員ほとんど休むことなく授業に出席してくださったことを大変うれしく思います。受講生の夜遅くまでの授業参加への熱意には頭が下がりました。

授業内容もそれぞれのバック・グラウンドをなるべく活かし、少人数のグループ・ディスカッションによるケース主体にしました。社会人受講生のひたむきな学習態度をみて、改めて向上心を持つことの大切さを感じさせてくれた授業でした。それぞれ現在の職場でのポジションや、携わっている仕事の内容は異なっていても、是非リーダーシップを発揮して、このコースで学んだパブリック・リレーションズを各々の組織体で活かしていただきたいと思います。

皆さんはこれからの人生で、さまざまな成功や失敗を経験することと思います。しかしどのような時も目的意識をしっかり持ち、その目的に向かってまい進してください(修正を恐れず)。組織の中でどのようなポジションにあっても、いつも「輝く存在」になってほしいと思うのです。

そして、将来どのような分野に進もうとも、皆さんのなかでひとりでも多く、パブリック・リレーションズをとおして、日本社会を平和で実りある発展に導くことのできる次世代のリーダーが生まれることを願っています。受講生の皆さん、この半年間ありがとうございました。

この4月から「パブリック・リレーションズ概論」を踏まえて、パブリック・リレーションズの実践を学ぶ「パブリック・リレーションズ特論」がはじまります。この授業では、実際にPRプログラムを作成しながら知識として得た理論を実践に活用する手法を学びます。学生の皆さん、また特論の授業でお会いできる日を楽しみにしています。

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