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2018.03.05
「5G」がもたらすものは?〜東京オリンピックでの実用化が前倒しに
皆さんこんにちは井之上喬です。
いよいよ弥生3月、春も目の前に迫っていますが、昨日まで私は、国際シンポジウムでベネチアに行っていました。
この季節には珍しく雪にみまわれゴンドラに乗る防寒服姿の観光客が印象的でした。
MWCに見る次世代通信インフラの動向
この時期スペインのバルセロナで、恒例の世界的なIT関連の展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が、今年は2月26日から3月1日まで開催されました。ヨーロッパでもさまざまな報道機関が取り上げています。
世界規模でのIT関連の展示会は1月のCES、2月のMWC、6月のCeBIT(ドイツ・ハノーバー)、8月のIFA(ドイツ・ベルリン)そして10月に日本で開催されるCEATECの名を挙げることができます。
その1つであるMWCの2018年の注目は、CES同様にAI(人工知能)、ボイスインタラクション、コネクテッドカーなどですが、なかでも2019年に商用化が実現すると言われている5Gに大きな注目が集まっているようです。
「5G」
最近頻繁に目に、耳にするようになった通信規格用語ですが、第5世代移動通信のことで現在中心の4Gに続く新しい規格です。
日本でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックで実用サービスを計画していますが、最大通信速度は20Gbps(ギガビット/秒)。
4Gよりも40〜50倍も速く、また、遅延は1000分の1秒以下となり、遅れはほぼゼロという規格とされてます。
また、多数の通信端末との同時接続も可能になるなど、5Gインフラを活用したIoT(モノのインターネット)やコネクテッドカーなどの新しいビジネスの創出が期待されています。
期待のほどを象徴するかのようにMWCの開幕に合わせ、日本経済新聞は2月27日付けの1面トップでMWCにおける5Gの動向を扱っていました。リード文は以下です。
「世界の通信事業者や機器メーカーが次世代高速通信規格『5G』の2019年商用化に向けて一斉に動き出した。当初計画を1年前倒しする。スマートフォン(スマホ)向け高速通信のほか、あらゆるモノがネットにつながる『IoT』の進化やつながるクルマ「コネクテッドカー」の開発など、世界的な投資やサービスの高度化に弾みがつきそうだ」
記事では米国、中国、韓国、日本、欧州など各国の取り組み状況と各国の通信会社やノキアなどの通信機器メーカーの実用化に向けた取り組みに触れています。
世界をリードする存在になるためには?
その方策として5Gに関しては、日本が過去最高のメダルを獲得した平昌冬季オリンピックでもさまざまな実験が行われたようです。
テレビでユニークな映像がいくつか流れていたのに気付いた皆さんもいたかと思いますが、映画マトリックスのような回転映像のタイムスライスや選手の視野から疑似体験できるオムニビュー、シンクビュー、ホログラム動画をリアルタイムで映し出すホログラムライブ、
またVR360といった新手法の映像が 日本でもテレビ放送の一部に取り入れられ、従来にない新しいスポーツ観戦の手法が始まっていることが感じられました。
このようにそれぞれの国や関連各社が実用化に向けた技術開発にしのぎを削っているのは明らかです。
次の技術競争の舞台は従来通りのスケジュールである2020年東京オリンピック、とこれまで考えられてきましたが今回はそうではないようで、事実5Gについては現時点でも1年前倒しされる勢いです。
莫大な先行者利益が見込める新しいビジネス分野での競争はますます熾烈になってきそうです。
東京オリンピックまでには、5Gをインフラとした画期的なサービスが実用化されるのは確実のようです。
その時、日本や日本の企業が世界をリードする存在になるような、ほかの国や企業を巻き込んだ世界戦略が必要になってくると思います。
まさにパブリックリレーシヨンズ(PR)の支柱である、リレーシヨンズマネジメントを駆使した戦略が求められてくるのではないでしようか?
ガラパゴスだけはなんとしても避けたいものです。