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2017.02.10

米国で細る日本語教育〜日本語学習者数の世界上位3か国でも大幅な減少

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

安倍首相は昨夜、トランプ米大統領との首脳会談のため政府専用機で米国に向けて出発しました。現地時間10日午後(日本時間11日未明)にワシントンのホワイトハウスで初の首脳会談に臨みます。

会談後、両首脳はトランプ氏の別荘のあるフロリダ州パームビーチに移動し、ゴルフや食事をともにする予定とのこと。ほぼ2日間にわたり長い時間で関係を深めるといった異例な歓待ぶりです。

先月20日の就任後、次々と大統領令に署名するトランプ大統領。その一つ一つが世界に大きな波紋を起こしています。

その一つとして、イスラム圏7か国から米国入国を制限する大統領令を認めないとした米控訴栽の決定を国内各紙夕刊(2/10)が大きく一面で報道しています。また、この打撃を回復するためトランプ政権は、法廷闘争を続ける構えで、連邦最高裁まで持ち込まれる可能性が高まっているとしています。

こうした背景の中で催される日米首脳会談のなり行きが大いに注目されます。

日本語教育の衰退は日米関係の弱体化を招く

米国で細る日本語教育について関係者の間で危機感が高まっているといいます(日本経済新聞ワシントン支局吉野直也記者)。

5年前、10年前と比べて日本語の学習者が減少、地区によっては日本語プログラムを廃止する動きがあるようです。今まで草の根から日米同盟を支えてきた日本語教育の衰退は両国関係の弱体化につながりかねない出来事。

前記の日経吉野記者が先月下旬、全米日本語教師会の支部に当たる中部大西洋岸日本語教師会や関係者に、米国での日本語教育の現状についてアンケート取材をしたそうです。

このアンケート取材は、小学校から大学まで日本語教育に携わっている人を対象に実施したもので、5年前や10年前と比べて日本語の学習者がおよそ40%減となっているとのことです。

アンケートではその要因として日本語は中国語などほかの外国語プログラムと競争しており、日本語を勉強する将来的な利点をうまく説明できないこと。また、日本語を教える先生の深刻な不足という構造的な問題や労働資格である査証(ビザ)取得の問題もあるようです。

米国で日本語を学んだ生徒は日本のよき理解者になる。将来にわたって安定した日米関係を築くには、こうした日本語教育の衰退に歯止めをかけたいものです。

日米首脳会談を控え、安倍首相の指導力による状況改善に期待する声も多いといいます。

教育課程の改定などが要因

国際交流基金は、海外における日本語教育機関の状況を把握するために、3年に1度「海外日本語教育機関調査」を実施しています。

その調査によると教育機関で日本語を学ぶ学習者数が、世界上位3か国(2012年度調査で全世界の学習者数の約7割)の韓国、インドネシア、中国において前回調査と比較して大幅な減少が見られたとしています。その主な要因は次のように分析されているようです。

まず韓国においては、韓国全体の日本語学習者のうち約8割を占める中等教育の教育課程改定(2011年)により第二外国語が必修科目から外され、中等教育における学習者が大きく滅少したことと、少子化の影響もあり約28万人もが減ったといわれます。

インドネシアでは、高等教育では日本への文化的な関心などから日本語を履修する学生が増加し、前回比25%以上の学習者数の増加があったといいます。

しかし、中等教育においては2013年の教育課程の改定により、第二外国語が選択科目になり、インドネシアにおける日本語学習者の大半を占める中等教育において約16%の減少がみられ、全体として約13万人の学習者が減少したといわれています。

中国では、2001年に「全日制義務教育英語課程標準」(目本の学習指導要領に相当)が制定されて以降、全国的に広く初等教育における英語導入・強化が進み、中等教育においても外国語科目として英語を選択する機関が増加したとのこと。

この影響は高等教育にも及んでおり、今回の調査においても、英語科目の重視が日本語科日の運営に影響を及ぼしていると回答する機関が多かったようです。こうした英語志向の高まりを背景に日本語専攻の学科・学生数が減り、全体として学習者数が約9万人減少したとのこと。

このように世界的に日本語教育の衰退が認められますが、日本語を学ぶことは日本文化を理解することにも繋がります。

こうした現象に歯止めをかけ日本の国際的プレゼンスを回復していくためにもパブリック・リレーションズ(PR)の機能を有効活用すべきと考えます。

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