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2016.06.24

2つのランキングに見る国家戦略の違い〜喫緊の若い世代による世界挑戦への体制づくり

皆さんこんにちは井之上 喬です。

6月21日は二十四節気の夏至(げし)でしたね。北半球ではこの日が1年のうちで最も昼(日の出から日没まで)の時間が長い日です。

梅雨模様ですが、晴れ間には太陽の恵みを満喫しながら夏に備えたいものです。

そんな夏至の日のニュース報道の中に、中国の躍進を象徴するような2件の“ランキング”がありました。1つは「アジア大学ランキング2016」、もう1つはスパコンランキングの「TOP500」でいずれも中国の躍進に驚きました。

東京大学が国際性の欠如でトップから陥落

まずは「アジア大学ランキング2016」から見てみましょう。発表した英国タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)のアジア大学ランキングの評価基準は、「教育の質・学習環境」、「生徒と教員の国際性」、「研究の質」、「論文被引用数」などで、THE世界大学ランキングと同じ13項目となっており、アジア諸国をはじめ、トルコ・中東を含めた22カ国の大学を対象に調査し、上位200大学を決定しています。

現地時間の6月20日に発表した最新データによると、調査開始以来3年連続で1位を保っていた東京大学が今回は7位になっています。

1位は77.4ポイントでシンガポールのシンガポール国立大学、2位には72.9ポイントで南洋工科大学(シンガポール)と北京大学(中国)が並び、4位は香港大学(香港)、5位は清華大学(中国)となっています。国内首位の東京大学は67.8ポイントで7位にランクイン、そのほかでは京都大学が11位、東北大学が23位になっています。

特に中国の大学は上位100校以内に日本の14校を上回る22校が入り大躍進。

2016年のアジアトップ50にランクインした国内大学は7位東京大学、11位(前年9位)京都大学、23位(同19位)東北大学。24位(15位)東京工業大学、30位(同18位)大阪大学、34位(同32位)名古屋大学、46位(同48位)筑波大学、48位(同58位)九州大学、49位(同63位)北海道大学の9校でトップ50に入った大学はすべて、文部科学省が推進するスーパーグローバル大学創成支援でタイプA型(トップ型)に分類されています。

東京大学は教育の質では全体の1位だったものの、学生と教員の国際性では何と70位となっており順位を押し下げた要因になったとしています。

報道によれば日本がランクを下げた原因として、シンガポールや中国の政府が大学に潤沢な資金を投入し優秀な人材を集めているのに対し、日本では「20年間にわたって大学が資金の制約を受けており世界の大学との競争や国際化のための支援が少ない」と指摘しています。

何とも残念な、そして国として危惧すべき現状が露呈した形になっています。

ちなみにTHE世界大学ランキングTOP100(2015?2016年度版)のトップ5は、1位がカリフォルニア工科大学(米国)、2位がオックスフォード大学(英国)、3位がスタンフォード大学(米国)、4位がケンブリッジ大学(英国)、5位がマサチューセッツ工科大学(MIT)(米国)となっています。

世界大学ランキングの100位以内にランクインした日本の大学は、43位の東京大学と88位の京都大学のみ。その他の日本の大学は 200位以内にもランクインしていません。

この結果がすべてとは言い切れないかもしれませんが、日本の教育現場の現状を評価する1つの指針として直視しないといけませんね。

スパコンランキングで純中国産が1位に

もう1つのランキングは、このブログでも何回か触れているスパコンランキングの「TOP500」です。

それによると世界のスパコン性能ランキングを年2回掲載している「TOP500」で、6期連続でトップを走り続けていた中国の「Tianhe-2」(天河二号)が1位の座を同じ中国の「Sunway TaihuLight」(神威太湖之光)に譲り渡したとのこと。

神威太湖之光は中国の国家並列計算機工程技術研究中心(NRCPC)が開発した高性能プロセッサを採用、製造は上海にある国家高性能集成電路設計中心で行なわれ、OSも独自開発を採用した純中国産のスパコンとして注目されています。

この中国が国産技術で独自に開発したスパコンは、日本の「京」より約10倍速かったとのこと。

2位にも中国の「天河二号」が入っており、3位は「Titan」(米国オーリッジ国立研究所)、4位が「Sequoia」(米国ローレンス・リバモア国立研究所)と続き、日本の理化学研究所の「京」は5位。日米欧が上位を占めてきたスパコンの勢力図は大きく変わったといえます。

注目したいのは国家戦略です。中国は2000年以降に心臓部となるCPU(中央演算処理装置)の独自開発に着手し、国家戦略として技術力を磨いてきており、今後もこの方向性に変化はありません。

この国家戦略をもとにした世界最速スパコンの開発は国威発揚の手段でもあり、多額の研究開発投資を実行しているのは明らかです。

識者や専門家は、「スパコンは国家の科学技術水準や企業の競争力、軍事力にも大きく影響する」、「中国はハードやソフトすべての技術が大きく進歩し、日米欧に肩を並べた」、「今後、中国がスパコン関連技術を海外に輸出する可能性も十分ある」と評価、国家安全保障や軍事産業面だけでなく、宇宙開発やいわゆるビッグデータ解析などハイテク分野でも中国の存在が無視できないものになっているのは確実です。

以前政府の予算仕分けで、次世代スーパーコンピュータ開発予算について「なぜ2番じゃダメなんでしょうか?」と、ある議員(仕分け人)が発言しましたが、科学技術開発では、目標は第1位に置き頂上を目指すべきです。結果として1番で登頂できなくても、最初から1位を目指さず頂上を極めることは熾烈な競争下においては不可能なことではないでしょうか。

ランキングにこだわるわけではありませんが、何の分野にしても高みを目指す志と情熱がなければ成果は出てこないと思います。

若い世代がさまざまな分野で世界を舞台に挑戦できる教育システム、最先端分野への研究開発体制づくりに日本政府は本気で取り組むべきだと思うのです。

今やらないと後々に大きな禍根を残すことになると思います。皆さんは今回ご紹介したランキングをどのように感じましたか?

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