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2016.02.25
4月から電力小売り自由化スタート〜市場開放、経済活性化のためにも賢い消費者になりましょう
皆さんこんにちは井之上 喬です。
寒い日があったりで本格的な春の訪れにはまだ遠い感がありますが、暦の上では雨水も過ぎ三寒四温を繰り返しながら、来週からは弥生・3月を迎えます。
来週開催の「スマートエネルギーWeek」でも電力小売り自由化が大きなテーマに
日本にとって年度替わり、節目の月である4月には、戦後60年以上続いた大手電力会社による電力小売り市場の独占が崩れ、電力小売りの自由化がスタートするのは皆さんご存知の通りです。
2011年3月11日の東日本大震災とそれにともなう東京電力福島第1原子力発電所の事故がこれらの大きな変革のきっかけになった事実も忘れてはならないことだと思います。
「電車の定期とセットで電気料金がお得に」
「都市ガスとセットでお得」
「ガソリンが1リットル10円引き」
「携帯電話とセットで5%お安く」といったように、消費者の気持ちを引くような電気料金の新プランに関する広告が年明け以降目立っているように、皆さんも感じませんか?
電力小売り自由化にともない事業参入のために“新電力”に登録した企業数はガス会社、石油元売り会社、携帯電話事業者、民間鉄道会社など約170社に上るそうです。
私たち消費者は賢く電力会社を選び、市場開放による料金値下げの恩恵を受けたいものですね。
電力小売り自由化を目前した来週3月2日(水)から4日(金)までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)でバイオマス発電展や電力自由化 EXPOなど新エネルギーに関連する9つの専門展示会を集中開催する「スマートエネルギーWeek 2016」が開催されます。
http://www.wsew.jp/
主催は日本最大の国際見本市主催会社であるリード エグジビション ジャパン(石積 忠夫代表取締役社長)で、井之上パブリックリレーションズは、開催期間中のプレスセンターの運営などパブリック・リレーションズ(PR)に関する支援を行っています。
「スマートエネルギーWeek 2016」のなかで開催される第2回となる「 電力自由化 EXPO」では、注目の電力会社や新電力事業者による電力小売りサービスをはじめ、顧客管理などの事業支援システム、電力比較サービスなど、新電力ビジネスに関連する製品・技術・サービスや新電力から一括で見積をとれるサービスなどが出展されるとのことです。
皆さんの時間が許せば、会場で電力小売り自由化に関する情報を入手し、賢い選択をしてはいかがでしょうか。
情報を選別しまずは1人1人の行動が大切に
各メディアも電力小売り自由化を前に特集記事を組んでいます。電力小売り自由化で先行するイギリスやアメリカなどの事例を紹介しながら、我々の生活に不可欠なインフラである電気のこれまでとこれからについて考える良い機会を与えてくれていると感じています。
大手メディアのエネルギー担当記者に電力小売り自由化に関し期待と課題、明と暗、などについて意見交換しましたが率直な感想はこうでした。
「電力という20兆円の巨大エネルギー市場が開放されることで、新規参入企業が増え、消費者には料金値下げやサービスの向上というメリットが期待できまる。その一方で、早くも新規参入を断念した新電力会社が表面化するように、電力事業者として自社で発電設備を保有していないと事業継続が困難になるなど事業としての難しさも改めて浮き彫りになっているのではないだろうか」
また、「このような状況はアメリカなどでも顕在化したことだが、結果として一部の大手企業しか参入できない状況が生まれ、これが自由化という理念に即したものであるかとの疑念払拭できない」と取材に基づく冷静な分析をしています。
こうした一方で、都市ガスの小売り全面自由化も2017年予定されており、旧態依然とした大手電力、大手ガスのみが牛耳る市場構造は確実に変化するのではないでしょうか。エネルギーの自由化は日本経済全体にとっても新たな雇用や設備投資を促す機会になり、単なる価格だけではなく、サービス向上に向けた異業種提携も増えていくことが期待されています。官制の安定した状況に胡坐をかいてきた産業界への警鐘と変革への期待もされています。
そして大切なことは、1人の消費者としてできることはまず試してみるということではないでしょうか。「大した値引きでもないし、今のままでいいや」というのは、変革を好まない日本社会が構造的に抱える問題といえなくはありません。
電気やガス、鉄道など我々の日常生活に当たり前になっているインフラ。しかし、東日本大震災などでも明らかになってように、ひとたび大きな災害に見舞われてしまうと、それまで当たり前であったサプライチェーンが崩壊し私たちは何もできなくなってしまう現実があるのも事実です。
競争がなく安定供給されてきたインフラに頼る時代は終焉しているのではないでしょうか。遠くの大規模発電所から長い距離を経て供給される電力から、地産地消型の小規模発電による安定的な電力供給へ、私たち消費者が今こそ考え方を変え行動すべき時なのかもしれません。
そのためにパブリック・リレーションズ(PR)が果たす役割は大きいと思っています。