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2015.10.01

国慶節で10月1日から7連休〜中国人海外旅行に対する中国・韓国メディアの視点

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

前々回のブログでは、6年ぶりの大型連休となったシルバーウィークについて記しました。今回は中国の大型連休における海外旅行について中国・韓国メディアの視点を交え紹介したいと思います。

中国では、10月1日から国慶節に合わせ7連休となり、海外へ渡航する旅行客が増大しているとのこと。9月26日(土)と27日(日)の中秋節後の3日間(28、29、30日)を休暇にして12日間という超大型な連休を取る人もいるようです。

こうした大型連休を背景に中国の旅行社では、懐具合が厳しい旅行客を取り込むため、頭金だけ払えば出発できる「ローン旅行」を新しい商品として打ち出したともいわれます。

日中両国で活躍するジャーナリストで私の友人でもある徐静波さんが発行兼編集人を務める「中国経済新聞」(9/15号)では、江蘇省揚州市内の旅行社数社の取材記事を載せています。

団体旅行から個人旅行や自由旅行へ

同紙によると、この国慶節期間中に中国人が選ぶ旅行先として日本をはじめタイ、香港、マカオ、台湾、アメリカ、欧州への人気が高く、次いで韓国やインド、マレーシアがダークホース的な存在となっているとしています。

また、中国から日本へ旅行する多くの観光客は従来型の団体旅行に満足しておらず、「東京-大阪」というお決まりの訪日ルートから離れ、地方観光スポットへと拡散する傾向も出てきているといいます。

自分のペースで日程を組み、観光先も自分で選ぶといった中国旅行者がだんだん増えてきているとのこと。つまり、団体旅行から個人旅行や自由旅行への移行が強まっていると伝えています。

外国人観光客、特に中国人観光客を呼び込もうと、国内最大手の家電販売店「LABI」(ヤマダ電機)新宿東口館をリニューアルの件も下記のように紙面で紹介しています。

「家電はもちろん、お土産や国産時計・バックなどのブランド品、くすり・化粧品・日用品などを集めた総合ショッピングセンターとして中国人観光客の呼び込みを図っている。」

日中韓3カ国の旅行者の違い

韓国のモーニングトゥデイ(7月28日)は、「日中韓3カ国の海外旅行者を区別する方法」として旅行者の異なる特徴について次のように紹介しており、興味深く読みました。

「中国人は非常にうるさいが、金は勢いよく使う。日本人は静かで、入念に比較して買い物をする。韓国人は他国の遺跡にハングルで落書きをして痕跡を残し、仏教寺院で賛美歌を歌い、金を使わずに帰る。」

中国人旅行者の旅行費用は世界平均の2倍以上で4789ドル(約59万円)。その特徴は、目的の行動を先ず決定し、それに必要な旅行費用を後で計算するともいわれています。

また、旅先での活動は、ショッピング(63%)、観光(61%)、夕方の外出(57%)が人気。中国人が主に行く旅行先は、日本(34%)、カナダ(34%)、韓国(31%)、香港(27%)、オーストラリア(26%)の順で、パッケージ旅行(35%)より自由旅行(65%)を好むことが分かったとしています。

今日(10/1)から始まる中国の大型連休「国慶節」。爆買いで注目を集める訪日中国人が日本で何を購入したいかについて株式会社ホットリンクが提供するレポートサービス「図解中国トレンドExpress」でまとめています。

ベスト3の中で、先ず1位は、酵素ダイエット食品/サプリメント。中国では「酵素」を使ったダイエット商品が最近人気となっており、中国で購入するよりも品質が良く、安全かつ効果があるということで日本の「酵素」製品が上位にランクされています。

2位は、文房具(消せるボールペン、高品質のメモ帳やノート)。日本の可愛らしい文房具は中国の若い女性に人気が高く、さらに国慶節の時期が新学期開始から1ヶ月後となり、お土産として文房具の需要が高まると見られています。

3位のカーメンテナンス用品も、以前から日本製品の人気が拡大しているカテゴリー。自動車の車内用芳香剤を例にあげると、日本で300 円で売られている商品が中国では1,200 円もするといいます。中国ではこれからアウトドアシーズンに入ることもあり、この時期に人気が高まる可能性があるようです。

周知の通り中国からの観光客は年々増加しており、2014年度の訪日中国人は240万人を超えています。前年度比約80%増(=100万人以上増)という驚異的な伸長を示し、対訪日中国人ビジネスが有望な市場であることを示しています。

2015年1月からは中国人観光客に対するビザの発給要件がさらに緩和されたこともあって、この勢いはさらに強まると予測されます。

中国・韓国メディアに示された中国人旅行者の新たな変化、つまり中心都市から地方観光スポットへの拡散やパッケージ旅行(35%)から自由旅行(65%)を好む傾向などを踏まえた新たな対応が事業関係者に求められています。

とりわけ日中関係においては、先の尖閣問題でも見られたように、リスクファクターも考えながらビジネス展開を行うことも危機管理上必要となり、パブリック・リレーションズ(PR)戦略の見直しが迫られています。

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