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2015.06.11

訪日観光が一層盛んに〜訪日外国人は昨年1341万人で消費額は2兆円強を記録

皆さんこんにちは井之上 喬です。
気象庁は8日、関東甲信地方の梅雨入りを発表しました。平年並みの梅雨入りということですが、昨年に比べると3日遅いとのこと。
また、梅雨明けは平年7月21日頃になるといいます。ジメジメした不順な天候がしばらく続きますが、健康管理には十分留意しましょう。

アジア地域の経済成長が訪日客増加の要因

政府は6月9日、2015年版の観光白書を閣議決定しました。これによると訪日外国人は昨年、1,341万人となり、消費額は2兆円強を記録。それぞれ過去最高で、「日本経済に対しても一定のインパクトを有する存在」と指摘しています。

観光白書では訪日客増加の大きな要因として、アジア地域の経済が成長し同地域からの訪日客が増加したと分析しています。

また、訪日客へのアンケート調査では、日本で商品を購入する理由として「品質が良い」の回答率が高かったことを紹介。為替の円安や、消費税の免税制度拡充なども寄与していると加えています。

こうした訪日外国人の増加傾向は、今年に入ってからもさらに勢いを増しています。

観光庁がまとめた2015年1-3月の宿泊旅行統計調査(第1次速報)によると、外国人の延べ宿泊者数は1,276万人泊と前年同期比38.8%増と大きく上回ったとの。国籍(出身地)別では中国が2.3倍と急伸し、外国人全体の27.7%を占めているようです。

同時に発表した4月の速報値でも外国人の宿泊は前年同月比50.0%増となっており、訪日観光が一層盛んになりつつあることを窺わせるものでした。

外国人宿泊者を国籍(出身地)別にみると、中国が132.5%増の327万人泊と2位の台湾(24.9%増の218万人泊)以下を伸び率、人数とも大きく引き離しています。伸び率ではフィリピン(91.7%)や韓国(47.2%)、タイ(38.2%)、インドネシア(37.1%)などが?く、注目されます。

こうしたアジア地域での訪日観光客の増加を受けて博報堂がまとめた「アジア14都市の生活者の日本への観光意識」調査によると、今後の訪日意向の伸びが高いのは、シンガポールやフィリピン・メトロマニラ、中国・広州、タイ・バンコクなどの住民だといいます。

彼らの訪日目的についての複数回答では、14都市全体で「文化的歴史的な建造物の見物」「名物の食事を楽しむ」などが7割を占め、「ファッション関連」「家電製品」「化粧品関連・サプリ」の買い物もそれぞれ4割前後と高い数値を示したとのことです。

官民における観光客の誘致諸策

政府は6月5日に「観光立国推進閣僚会議」を開催し「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を策定。これまで2020年を期限としてきた年間訪日外国人旅行者数2000万人の達成を、早期に実現する考えを示しています。

このアクション・プログラムでは、「稼ぐことを明確に意識して推進する」と明示され、訪日外国人客の消費額を2014年の約2兆円から、2000万人達成の年には年間4兆円に倍増させています。

そのための施策としては、地方の免税店を現在の約6600店から2万店にまで増やすことや、観光による地方創生により全国で40万人の新規雇用創出をめざす方針、そしてビザ発給要件の一層の緩和強化などを挙げています。

インフラ整備の面では、空港での入国審査のブースの増加による待ち時間の短縮や羽田空港の年間発着枠の拡大。また、訪日外国人からの要望が強い無料公衆無線LANは、約20万スポットに一度の登録で利用できる仕組みを構築するなどとしています。

観光産業の中心である小売、飲食、宿泊の各業界でも意欲的な取組みが見られます。免税店への登録で売上拡大を図ること、ハラールなど宗教上の理由で制限のある食事に対応すること、宿泊ホテル・旅館施設の充実、外国語への対応やインターネット環境の整備などコミュニケーションの便宜性を向上させることなどです。

また、観光産業を中心に周辺産業にもインバウンド・ビジネスの波及効果が期待されます。

例えば、エコツーリズムやグリーンツーリズムなどでも提唱される自然環境の中での体験ツアーを実施することにより、農業、水産加工、伝統工芸など多様な産業にも外国人旅行者を誘導できるとしています。

中小・小規模企業の多く存在する製造業は国際競争で厳しい局面にありますが、これからの成長が期待されるインバウンド・ビジネスの可能性は、地方経済や全国の中小・小規模企業にとって大きなビジネスチャンスを秘めているといえます。

私が副会長を務めているグローバルビジネス学会http://s-gb.net)の「第3回全国大会」が来る7月4日(土)と5日(日)の日程(主会場:早稲田大学国際会議場-井深大記念ホール)にて開催されます。今大会の統一テーマは、「地方創生とグローバルビジネス」(Revitalization of Japan’s Local Economies and the Role of Global Business)。

地方創生を国家的テーマに推進する、内閣府官房まち・ひと・しごと創生本部 地方創生総括官の山崎史郎氏による基調講演をはじめ、地方創生のための様々な試みを行っている長野県知事の阿部守一氏や大学、地方金融機関などからのパネリストによる討論が続きます。

また、TPP研究会によるTPPが創出する日本経済、とりわけ地方経済に与えるインパクトについての報告と討論、さらには地方創生を掲げる自治体首長(湯崎広島県知事)や地元企業家ら4名の発表者により、地方創生の現状と直面する様々な課題などについて語っていただきます。

この「第3回全国大会」は、地方自治体やローカル企業、そして全国に広がる中小企業が観光事業を柱にインバウンド・ビジネス拡大の可能性を探るうえで、最適な機会ともなるはずです。

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■グローバルビジネス学会「第3回全国大会」のお知らせ
日時・会場:7月4日(土)早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール)
7月5日(日)早稲田キャンパス3号館 701号室/702号室
※全国大会の詳細プログラムについては、http://s-gb.net/form_nc_jp/ を参照ください。
参加費と参加申込み (定員制)
・学生:大会参加費 無料/懇親会3,500円
・一般:大会参加費5,000円/懇親会5,000円
・会員:大会参加費4,000円/懇親会5,000円
※参加申込みは同学会のホームページ
http://s-gb.net/form_nc_jp/ )の
「申込みフォーム」をご利用ください。

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