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2015.07.09

世界シェア調査から。〜日本勢は、素材・部品で存在感を示す

皆さんこんにちは井之上 喬です。
平年、関東甲信地方の梅雨明けは21日頃といわれています。まだ2週間ほど憂鬱な天候が続くようですが、体調管理にご留意ください。

首位は米国で、日本は欧州に続く3位

日本経済新聞社が実施した世界の「主要商品・サービスシェア調査」(世界シェア調査)の結果が7月6日の紙面で紹介されました。

この世界シェア調査の対象は、50品目(自動車、パソコン、半導体製造装置、風力発電機、造船、中小・大型液晶パネル、スマートフォン、タブレット、複写機・複合機、医療用医薬品、化粧品、炭素繊維、冷蔵庫、洗濯機、デジタルカメラ、産業用ロボット、炭酸飲料、たばこ、紙おむつなど)に及び、世界規模でそれらのシェアを調査・発表するものです。

ハードウェア品目だけでなく、検索サービス、セキュリティー対策ソフト、音楽ソフト・配信などのソフトウェアもカバーされています。

記事によると、首位は米国企業の16品目が最多で、日本は9品目で欧州の10品目に続き第3位を占めたといいます。韓国は8品目で、中国が6品目だったとのこと。

調査によると日本が首位を占めた9品目について次のように紹介されています。

先ずは、東レの炭素繊維(36.9%)。航空機用など高機能品が得意な東レは品ぞろえ拡充で首位の座を盤石にしています。
ソニーはスマートフォン(スマホ)での撮影に使う「CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサー」(39.5%)でシェアを拡大。米アップルなどスマホ大手が軒並み採用し、スマホ市場の拡大で出荷が増えたことが首位となった要因とのこと。また、ソニーはゲーム機器でも42.9%を占め、2位のマイクロソフト(29.2%)に大きな差をつけています。

工場の組み立て工程で使う産業用ロボットはファナックが首位(16.6%)。消費者向けではデジタルカメラ(31.4%)とレンズ交換式カメラ(43.3%)の2品目でキヤノンが首位を占めたとのこと。

その他には、自動車品目でトヨタ自動車(11.4%)、マイコン品目でルネサスエレクトロニクス(21.5%)と白色LED品目の日亜化学工業(25.4%)が首位の座を占めています。

BtoC分野において日本勢は、巨大な母国市場を持つ米国や中国企業の後じんを拝しているものの、BtoB分野でその存在感を示すことができたようです。

世界シェアと国際特許出願数との相関

国連の世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)が、国際特許出願制度の利用状況に関する調査結果を発表(2015年3月)しています。

特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく昨年の国際特許出願件数を国別にみると、米国が最も多く、出願件数は6万1,492件(全体に占めるシェアは28.7%)となったと発表。

2位は日本の4万2,459件(シェアは19.8%)。3位の中国は2万5,539件(シェアは11.9%)だったとのこと。

4位以下はドイツ(17,968件)、韓国(13,119件)、フランス(8,247件)、イギリス(5,261件)、オランダ(4,204件)、スイス(4,091件)、そして10位はスウェーデン(3,912件)の順となりました。

一般的に特許出願が多くなされている国は、企業などの研究・開発が活発であるといえます。加えて外国出願・登録件数が多い国は、将来的な海外生産拠点、市場の確保に対し積極的な戦略を展開していると考えられます。

世界シェアと国際特許出願のランキングをみると米国と日本、韓国、中国の4国がいずれも上位を占め、両者に見事な相関が認められ興味深く感じました。

それにしても日本、中国、韓国の東アジアグループの躍進には目覚ましいものがあります。その出願件数は上位10か国の実に半分に迫りつつあり(43.5%)、数字を見る限り世界経済の重心が東アジアを中心としたアジア圏に移動してことを印象づけています。

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