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2015.07.16

「インフラ ウォーズ」って?〜日本の優れたインフラ技術を世界に輸出!

大型で非常に強い台風11号が日本の南海上を北上し、西日本に上陸のおそれがあるとのこと。予想進路に近い地域にお住いの方々は、くれぐれも急な天候の変化にお気を付けください。

大型連載企画の意図するものは?

そんな今週、日経産業新聞を見て驚きました。7月14日から新しい連載企画「インフラ ウォーズ」がスタートしました。第1部のテーマは異次元の総力戦。この連載企画はこんな文章で始まっていましたので少し引用してみます。

「世界のインフラビジネスで未曽有の総力戦が始まった。最前線で新旧、官民が入り交じり、国境や業種を超えて火花を散らす。国家の威信も試され、もはや過去の流儀にとらわれては勝てない。その危機感に多くの日本企業が突き動かされ、世界を駆ける。・・・・」連載のタイトルもそうですが、記事冒頭の文章からもこの企画への記者の強い思い入れが感じられました。

私も常々、情報通信、鉄道や空港などの交通、発電などのプラント、道路や上下水道など日本のインフラ技術の素晴らしさを実感、さまざまな機会でそのことに触れてきました。日本のインフラは新興国を中心とした世界的な人口増加と都市化が抱える大きな社会的な課題への解決策として、そして国の新たな輸出産業としての両方の側面を持つインフラ技術は日本の成長や世界での存在感を高める上でも重要だと思っています。

わずか150年前に明治維新を経験した日本には、西洋の科学技術を吸収しながら自国や戦前の満州国や台湾、そして戦後のODAと連携した海外での豊富なインフラ整備の知見があります。

この連載企画をスタートさせた理由をある関係者に聞いたところ、真っ先に日本のインフラ輸出が新たな段階に入ったことをその理由に挙げていました。

とりわけ安倍政権になって、官民一体の動きが活発になり、発電所、鉄道、水処理、港湾、通信網などの分野での大型受注を勝ち取ってはいるものの、一方では欧米企業や韓国・中国企業との競合も激化し、入札で競り負けるケースも少なくないとしています。

また「インフラ関連企業は長く国内に偏った体制をとってきたが、日本は海外での営業や企業連合の組み方で新機軸を打ち出す必要に迫られている」とコメントしています。

そして、中国が主導し、欧州勢も巻き込むアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立がどのように日本や米国にも影響を与えるのか、日本企業の取り組みの最前線を追うかたちで、インフラ輸出を巡る新たな潮流を読み解き、競争に勝つための方策を示したいとしています。

皆さんは世界のインフラビジネスの市場規模はどれほどのものか考えたことはありますか?

この企画では経済協力開発機構(OECD)がまとめた試算として、2030年までの世界のインフラ投資は累計でなんと53兆ドル(約6500兆円)を超すこと、さらにアジア開発銀行(ADB)の予測では2010年から20年に8兆ドル(約1000兆円)の投資がアジアだけで見込まれると紹介、その規模の膨大さを示しています。

この大きな潮目に日本企業が乗り遅れないようにと警鐘を鳴らすのにも、今回の大型企画の役割は大きく個人的にも応援したいと思っています。

そして、B to B分野でのパブリック・リレーションズ(PR)の重要性がますます高まってくるでしょう。なぜなら競争が激しさを増せばますほど、リレーションシップ・マネジメントを駆使するパブリック・リレーションズが有効になってくるからです。

スパコン「京」ビッグデータ処理能力ランキングで首位奪還!

この大型連載が始まったまさにその当日、富士通と理化学研究所(理研)が共同開発したスーパーコンピュータ「京(けい)」が、ビッグデータの処理能力ランキングである「Graph500」で第1位を獲得したとの発表がありました。

スーパーコンピュータの性能ランキングには、演算処理能力を競う「TOP500」と「Graph500」のカテゴリーがあり、単なる演算ではなく、複雑なデータを分析するグラフ解析能力で2014年6月以来、約1年ぶりに京が首位を奪還したとのこと。京のシステム全体をより効率的に利用するためのアルゴリズム改良などの成果とのことです。

詳しい分析は専門の方々にお任せするとして、ビッグデータ解析能力でトップの評価を得たことは大いに称賛されることだと思います。

このような断片的な情報をいくつか並べる中でふと思いついたのは、これら世界に誇れるインフラ技術を組み合わせ、日本オリジナルの新しく高度なシステムの創造が可能なのではないかということです。

身近なところでは短時間ごとの、狭い地域での天気予報は今でも実用化されていますが、例えば京のビッグデータ分析をベースにある地域の自然災害の被害予測を分析、それに基づく道路、上下水道など災害に強い都市整備計画そのものを輸出する、など。

日本ではものづくりの世界を中心に、良いモノ、良いサービスを提供すれば黙っていても世界中どこでも売れる、と言った幻想にまだまだ囚われているのではないでしょうか。

しかし、日本と同じようにものづくりにこだわり続けているドイツは、IoT(モノのインターネット)時代の大きな流れのなかで新しい概念であるIndustry 4.0を掲げ、メルケル首相も先頭に立って世界標準のインフラ基盤でイニシアティブを確保するための戦略的な取り組みを行っています。

安倍首相には日本経済の持続的な経済成長のために、より強いリーダーシップと世界に向けたわかりやすいメッセージ発信をともなう、パブリック・リレーションズ(PR)に重要なトップのストーリーテリングを期待します。

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