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2015.02.19

「善い会社」が求められる社会に〜高い収益性と社会貢献が企業の評価基準に!

皆さんこんにちは、井之上 喬です。
今週は東京でも雪が降るなど変わりやすい天候でしたね。これも春が少しずつ近づいている証でしょうか。

良い会社、強い会社、そして善い会社へ

2月9日付けの「日経ビジネス」の表紙には『善』の毛筆による一文字が書かれていました。同誌として初めて「善い会社」のランキングを掲載したものです。

サブタイトルは、「いま必要とされる100社ランキング」、で全上場企業の中から同誌が選んだ善い会社100社ランキングが掲載されていました。あなたの会社はランクアップされていましたか?

「良い会社」ではなく「善い会社」が必要とされるのはなぜか、巻頭の”編集長の視点”で田村俊一編集長は「1980年代前半、日経ビジネスは『良い会社』というシリーズ特集を組んだことがあります」「90年代には『強い会社』というシリーズ特集がありました」そして「21世紀に求められる企業とは何か。日経ビジネスが今回提示したのは『善い会社』です。成長の原動力となる収益性と社会への貢献を両立する企業、それが善い会社の定義です」とのこと。

それでは日経ビジネスの「善い会社」ランキングから10位までを見てみましょう。ちなみに得点の満点は100点で内訳は営業利益率40点、従業員増減、法人税額、株価変動率の3項目が各20点となっています。

1位はソフトバンク(70.7点)、2位ファーストリテイリング(65.4)、3位キーエンス(65.2)、4位ファナック(63.9)、5位ヤフー(63.5)、6位イオンモール(62.4)、7位楽天(61.9)、8位マニー(60.2)、9位日本たばこ産業(59.8)そして10位が武田薬品工業(59.7)となっています。ランキングなど概要にご興味の方は紙面をご参照ください。

なるほどと納得する企業名もありますが、「へ?この企業が?」と感じる企業名もありますね。

個人的に興味深かったのは、特集の初めに見開きで書かれていたファーストリテイリング会長兼社長柳井 正氏のインタビュー記事。見出しは、ブラックにあらず成長こそ「善」。同社は今回のランキングでソフトバンクに次いで2位にランクされています。

柳井会長はランキングに素直に喜びを表すとともに、同社が数年前、インターネットや報道で労働環境の厳しさなどが取り上げられ「ブラック企業」というレッテルを張られたことにも言及しています。

「善い企業」と「ブラック企業」、この対極にある評価が同じ企業に同時期に下されるほど、世間の評価基準は多様化、複雑化していると思います。

その原因は社会の価値観の変化、企業自身の問題もあるのでしょうが、情報伝達方法が激変していることも考えられます。

SNSで誰でも情報発信できる時代

インターネットが普及しそしてSNSが一般化し、誰でも情報の受け手から、簡単に情報の発信者になれる時代になっています。

前出の柳井会長も「ネットの共鳴作用が働いていて、血祭りにあげているのだろう。ヒステリックで寛容性のない風潮が広がっている」とSNSを介した情報の拡散についてコメントしています。

情報発信の方法が変化し、瞬く間に情報が拡散する現在において、企業は本業できちっと収益を上げること、そして社会の公器として社会貢献を行うことは当然のことですが、より重要になってきているのが企業を取り巻く様々なステークホルダー(利害関係者)と自らが上手にコミュニケーションをベースに関係構築を行なうことだと思います。

そのためには柳井会長にみられるように、企業トップ自らがメディアに登場しきちっとストーリーテリングすることが不可欠となります。企業が何を考え、どこを目指して活動しているのか。トップが自らの経営哲学を織り込み発信し続ける、これからの経営者に求められる大きな資質だと思います。

企業活動を継続していると、良い時ばかりではないでしょう。とりわけネット時代では、いつ危機的な状況に陥るかわからない予測困難な事態に陥りかねません。そんな時代こそ、リレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズ(PR)の役割が重要になってくると感じています。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、多くの国内外企業の危機管理のコンサルテーションを行っていますが、具体的な受け皿として社内にこの春「危機管理支援室」を設けることにしました。

常に危機的な状況に備え、ステークホルダーから「善い会社」と評価されるようになるためにも、企業経営者は常に緊張感を持って外部環境を読み、情報発信に気を配る時です。そしてコミュニケーションのプロである、私たちパブリック・リレーションズに携わる者の役割がさらに重要になっていると強く感じています。

この「善い会社」特集のサブタイトル「いま必要とされる100社ランキング」のリードに「会社とは何か。単なる『営利組織』という定義は、もはや通じなくなりつつある。(中略)いま必要とされるのは、利益の向上と社会への貢献が一体化した『善い会社』だ。」と記しています。

ハーバード大学ビジネススクール教授であり、企業の競争戦略論で知られるマイケル・E・ポーター氏は、CSR(企業の社会的責任)に代わる新しい概念としてCSV(Creating Shared Value:企業の共通価値の創造)を提唱していますが、その中でCSVが進化すると「営利と非営利の境界の区別がつきにくくなる」と論じています。
これは企業の社会化が進み、非営利組織の営利化が進むためで、CSVの価値は「競争に不可欠で、コストと比較した経済的便益と社会的便益」にあるとしています。

このこのように「善い会社」の評価基準とポーター教授の提唱とが相通ずる面が見られます。今回の日経ビジネスの特集がCSVの意義を企業や社会に対して認知されるきっかけになればと期待しています。

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