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2015.04.23
リニア、世界最速の時速603キロを達成〜ギネス世界記録に登録を申請
皆さんこんにちは井之上 喬です。
JR東海の発表によると、2027年の開業(品川-名古屋)を目指すリニア中央新幹線の走行試験で4月21日、鉄道の有人走行として世界最速となる時速603キロを記録したとしています。
半世紀を超える研究の成果
リニアモーター推進浮上式鉄道の研究を開始したのが1962年(昭和37年)で、今日まで半世紀を超える歳月が流れています。
研究開始から10年後(72年)に超電導磁気による浮上走行が成功。87年には有人走行で時速400.8kmを達成しています。その後、99年に552キロ、03年には581キロを出し、今月16日には時速590キロに達していました。
今回の記録達成は7両編成でJR東海社員49人を乗せ、21日午前10時48分に時速603キロに到達した。600キロ以上で10.8秒間、1.8キロを走ったといいます。
世界第2位はフランスの高速鉄道TGVで、07年の試験車両による時速574.8キロ。JR東海は、ギネス世界記録に登録を申請するとしています。
営業時の最高時速は500キロですが、今回の試験は高速走行時の設備のダメージを探り建設コスト低減につなげるためのもの。高速域でのデータ収集にめどがついたとして、これ以上高速での走行試験は考えていないとのこと。
JR東海では、この世界記録の達成を契機に政府が成長戦略に掲げるインフラ輸出の一環として米国への売込みに注力していく方針としています。
高速鉄道分野ではカナダのボンバルディア、仏アルストムや独シーメンスなどライバルも多く、競争優位性を確保していくためにも戦略的なパブリック・リレーションズ(PR)が不可欠となります。
こうした国際競争分野へも、私たちパブリック・リレーションズ実務家の果たすべき役割が拡がっています。
飽くなきスピードへの挑戦
リニアが今回達成したスピード(時速603キロ)と他の交通手段(乗物)と比較してみましょう。
先ずは旅客機。旅客機の巡航速度は、時速約800-900kmといわれますが、世界最速の旅客機はどれくらいのスピードで飛んでいたのでしょうか。
世界一のスピードを誇るのは、03年に27年にわたる運航の歴史に幕を引いた超音速機「コンコルド」です。その最大速度はマッハ2.4(時速約2450km)で、ロンドン?ニューヨーク間を3時間45分で運航していました。これはジャンボ機の2倍以上のスピードにあたります。
次いで東海道新幹線(東京―新大阪)の「のぞみ」。92年の登場以来、時速270キロで走行していましたが、今年3月のダイヤ改正から最高速度を285km/hへ、23年ぶりにアップしています。この高速化は「うまく曲がり、早く止まる技術」を追求し続けた成果だといわれています。
三番目は船舶。船は、一般に遅い乗物というイメージがありますが、現在営業航海しているフェリー船を例にとると時速30ノット程度(50?60km)が最速といわれているようです。
陸・海・空の代表的な交通手段(乗物)を紹介してきましたが、いずれも研究者やエンジニアの飽くなきスピードへの挑戦で生まれたものです。どこまで最速記録が伸びるのか、これからも楽しみに見守っていきたいと思います。