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2015.03.19

日本の高校3年生の英語力は中卒程度?〜まずは中学レベルの英語でコミュニケーション

皆さんこんにちは井之上 喬です。
もうすぐ4月ですね。日本では新年度、新社会人、新入学など新たな人生を踏み出す節目の月を迎えます。新たな気持ちで桜の季節を迎えたいものです。

閣議決定の目標にほど遠い結果

文部科学省は3月17日、高校3年生の英語力を国が統一して測るために初めて実施した英語力調査の結果を公表しました。新聞報道などで目にされた方も多かったのではないでしょうか。

この調査は英語力を把握するため、2014年7-9月、無作為に抽出した全国の国公立約480校、約7万人の高校3年生を対象に実施したもので、満点を取れば英検準1級程度と判定されるレベルの設問だったとのこと。

民間の資格検定試験と同じ様に「読む」「聞く」「書く」「話す」という英語の4つの技能について調べています。その結果、平均的な生徒の英語力は、実用英語技能検定(英検)に換算して、中学校卒業程度の3級以下と判定されたようです。

それによると「書く」「話す」の2分野は「0点」の生徒も多く、特に苦手としているようです。

文科省は2013年6月の”閣議決定”で高校卒業時までに、英検準2級から2級程度の英語力を持つ生徒の割合を50%にすることを目標としていましたが、この結果に担当の文科省国際教育課は「結果を受け止め、授業の改善に生かしたい」とコメントしています。

もう少し詳細に見てみますと、各技能の満点に対する平均点の割合は「読む」(満点320点)が40%、「聞く」(同)で37%、「書く」(満点140点)で19%、「話す」(同14点)で32%となっており、いずれの技能の平均点も、国際基準規格「CEFR」では6段階で最低の「A1」と判定されたとのことです。

ちなみにA1は英検で3級?5級、英語能力テストの「TOEIC」で200-380点に相当するレベルとのこと。

「書く」分野では自分の意見を英文で表現する問題などが出たが、29%の生徒は無回答で0点だったとのこと。また、「話す」は音読や試験官との質疑応答などを出題した結果、13%の生徒からは発言がなく0点とされたようです。

英語力をどの程度まで身に付けたいか、との質問に対しては「国際社会で活躍」が8.8%にとどまったのに対し、「海外旅行などでの日常会話」が36.7%で最多、また「学校の授業以外での利用を考えていない」は25.1%だったそうです。

英語教育を受験用の文法偏重型ではなく、英語学習の真の目的を把握させ、その効用や楽しさを感じとらせる工夫が大切ではないでしょうか?

グローバル人材のコミュニケーション力とは?

国際社会で活躍するグローバル人材の育成に向け英語教育は重要ですが、この結果を見ると文科省の目標と現状との差は大きく、達成は容易ではなさそうです。

でも。グローバル人材に必要な英語力は本当に英検で測れるようなものなのでしょうか?

私は中学校2年生で習う程度の基礎英文法を理解していれば、外国人と英語で対等にコミュニケーションができると考えています。さらに言えば動詞は、canとhaveでほとんど足ります。あとは、話す環境を増やすことです。そこからレベルを上げていけば十分だと考えています。

海外に行くと分かることですが、英語圏以外のところでは文法に関係のないブロークンな会話が交わされています。

コミュニケーション力をつけるうえで何よりも大事なことは、上質な英語を耳で繰り返し聴くこと。また、and、but、becauseなどの接続詞を使い簡単な文章をいくつかつなげること、そして相手からの「どうして?」「何故?」などの質問に対して怖がらずに積極的に応えていくことだと思います。

グローバル人材にとってコミュニケーションツールとして英語は必須ですが、コミュニケーションを取れることと英語力は必ずしも一致しないのではないでしょうか。

会話するときの状況を理解し、具体的にイメージをつくり、それを短い英語の文章をつなげることで恥ずかしがらずに積極的に話してみる。そうすることで新しいコミュニケーションが生まれてくるはずです。目的は、「文法を間違えないで話す」ことではなく、「自分の考えを相手に伝えるために」、コミュニケーションツールである英語を使用するということではないでしょうか?

グローバルにパブリック・リレーションズ(PR)を行う場合にも英語は必要ですが、英語のための英語にならないように気をつけたいものです。

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