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2014.12.04

「はやぶさ2」壮大な宇宙への旅だち!〜日本に今必要なのは “挑戦”

皆さんこんにちは井之上 喬です。

師走に入り真冬を思わせる寒波も到来、北国からは雪の便りが届いています。
私が住む東京でも、北風が吹き寒い夜には心洗われる澄み切ったきれいな星空を見ることができます。冬の代表的な星座はオリオン座でしょうか。
たまにはウィスキーのオンザロックを片手に星を眺めるような、優雅な夜もおつなものですね。

「はやぶさ2」の帰還は東京オリンピックの年!

空といえば宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は12月3日、午後1時22分4秒に種子島宇宙センター(鹿児島県)から小惑星探査機「はやぶさ2」を打ち上げました。

当初は11月30日に打ち上げを予定していましたが、天候の関係で延期になっていました。当日の種子島宇宙センターの天気は高気圧に覆われ天候は晴れ、風速は北西の風4.3m/sで、気温は約16℃と、雲はあるものの穏やかな天気だったようです。

打ち上げの107秒後にH-IIAロケット26号機の2本の固体ロケットブースターが切り離され、4分10秒後に探査機を保護するためのカバーである衛星フェアリングの分離が実施され、その後、午後3時すぎ、「はやぶさ2」を分離して予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

「はやぶさ2」は、小惑星イトカワから微粒子を持ち帰った「はやぶさ」の後継機で、有機物や水があると言われている小惑星「1999JU3」を目指している、と一言でいってしまいましたが、「はやぶさ2」の旅路は、往復がなんと52億4000万km、2018年に到達し、岩石や砂を採取して、東京オリンピックが開催される2020年末に帰還する6年間にもおよぶ壮大な宇宙の旅です。

その成果は生命の起源、太陽系の誕生や進化の謎の解明に役立つと期待されています。

「はやぶさ2」は、初代はやぶさから進化し、より故障しにくく改良が施されているようです。例えば外見では円形のアンテナを2つにし、観測データをより効率よく送信できるようにしたり、太陽電池パネルの改良、また機体の底面には衝突装置を新たに設け小惑星に人工のクレーターをつくり、その人工クレーター内の石や砂を採取する予定だそうです。

また機体内部でも、機体の姿勢制御をするリアクションホイールを3個から4個に増やし安定性を高めたり、イオンエンジン(NEC開発)の耐久性や推進力を向上させたりし、故障しにくい探査機になっているようです。

今回の「はやぶさ2」打ち上げ成功は、世界に対して日本企業の先端技術力を示す絶好の機会となりました。

以前、はやぶさ1号機が宇宙で活躍する姿を渋谷のプラネタリュームで鑑賞しましたが、夢とロマンを感じさせるものでした。はやぶさに興味のある皆さんは科学雑誌などをご覧になってはいかがでしょうか。

半導体と宇宙産業の共通点は?

一方、「はやぶさ2」を打ち上げたH-?Aロケットにも注目しましょう。今回の打ち上げに使われたのはH-?Aロケット26号機で、これまでにこのロケットを使った打ち上げは、今回を含め成功率96%を上回っています。

日本政府は宇宙の利用拡大を進めており、海外から衛星の打ち上げを受注することを目指しています。打ち上げの成功が続けばmade in Japanのロケットへの信頼度が一段と高まり、受注獲得に向け弾みがつくことになるでしょう。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、多くの海外企業とビジネスをご一緒していますが日本企業との違いの1つに、航空宇宙、ミリタリーなどで培った最先端技術を一般消費者向けの民生用分野に落とし込むことで、差別化と高性能、高機能化を実現しビジネスで成功しているケースがかなり多い感じがしています。

これらの分野はどちらかといえば日本が弱い部分かもしれません。しかし政府、民間そしてアカデミックの連携で、海外のケースとは逆に民生機器で培ってきたさまざまな技術と航空、宇宙関連技術を連携することで新しいmade in Japanの技術や製品が生まれてくる可能性は大いにあるのではないでしょうか。

「はやぶさ2」の打ち上げが成功した12月3日から、東京ビッグサイトでは半導体製造装置・材料の展示会「SEMICON Japan 2014」が開催されています。

ムーアの法則に象徴される微細化を追求し続け技術の進歩を果たす半導体分野、そして一方で往復に6年間もかかる壮大な宇宙をめぐる技術開発分野である航空・宇宙分野。

全く異なる分野かもしれませんが、私には不思議に共通点を感じるのです。それは“挑戦”です。

いま閉塞した日本に必要なのは挑戦することではないかと改めて痛感した、ロケット打ち上げのまばゆいばかりの閃光でした。

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