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2013.10.24

第66回新聞週間の世論調査から〜新聞報道を「信頼できる」が86%

皆さんこんにちは、井之上喬です。

10月15日から21日は「新聞週間」でした。今回のブログでは、今年で第66回目を迎えた新聞週間について、読売新聞社の全国世論調査をベースにお話します。

この調査は、全国の有権者3,000人(有効回収数=1,600人)を対象に個別訪問面接聴取法で行われたものです。回答者の内訳は、男性47%、女性53%でした。

新聞報道への高まる評価

調査によると新聞報道を「信頼できる」と回答した人は86%となり、昨年に比べて6ポイント上昇。情報や知識を得るために新聞がこれからも「必要だ」とする回答は89%で昨年と同様の結果となったようです。

このように新聞の信頼度などが上向いた理由について、学習院大教授(政治学)の平野浩さんは同紙で「最近、インターネットの情報の信頼性にかかわるトラブルが多く報じられており、相対的に信頼できるメディアとして、新聞の評価が上がったのではないか」と評しています。

また新聞が、「必要とする情報や日常生活に役立つ情報を提供している」とする人は84%(昨年81%)、「国民の人権やプライバシーを侵さないように気を配っている」は74%(同73%)、「事実やいろいろな立場の意見などを公平に伝えている」は66%(同63%)となっており、いずれも昨年を上回る好結果となりました。

新聞を1日に読む時間の平均は、「10分ぐらい」が23%で最も多く、「30分ぐらい」が22%、「20分ぐらい」が20%、そして「1時間ぐらい」が10%の順となりました。12%の人が「全く読まない」という回答。

新聞を読んでいると答えた人に対し、いつから新聞を読み始めたかを聞いたところ、「社会人」が33%で最も多く、「中学生」が22%、「小学生高学年」が17%、「高校生」が15%と続きました。「小学生低学年」と「大学生」は各5%でした。高校生までに読み始めた人はおよそ60%に達しています。

ここで気になるのが、大学生の閲読開始が小学生低学年と同率の5%という数字です。

スマートフォン利用者がこの層に多く新聞からの情報入手に価値を見出していないからなのでしょうか? あるいは地方出身者でアパート住まいの学生が経済的理由で購読しないことに起因しているのでしょうか?

米国は電子版新聞が新しい収入源に

全国世論調査ではインターネットで見ることができる有料の電子版新聞についてもデータを取っています。
今回は、電子版新聞について「利用したことはないし、利用したいと思わない」が71%(昨年68%)と多数で、「利用したことはあるが、今後は利用したいとは思わない」の4%(同3%)を合わせると、利用に消極的な人が計75%(同71%)を占め、昨年と比較してネガティブ要素が高まる傾向となりました。

一方、ここ数年苦境に立たされてきた米国の新聞業界においては、スマートフォンやタブレットの普及拡大を背景に電子版の課金制を採用したことで、ニューヨーク・タイムズのような大手だけでなく中・小規模の新聞でも新しい収益源になって、広告収入への依存軽減に貢献しているといった報告があります(2013/5/18:Pew Research Center)。

日本においてもスマートフォンやタブレットの普及拡大には目覚ましいものがあり、やがて米国のように電子版が、新聞社にとって収益源になってくるのではないかと私は思っています。

私が今回の全国世論調査を通して注目したのは、子供のころから新聞を読む習慣を身につけることが「望ましい」と回答した人が89%もあったという点です。

私も大賛成です。新聞を読むことで、全体を大きく把握しホリスティックな見方を養うことができます。また読解力や情報の検索力、そして自分の意見をもつことや批判力など、「個」を強くするためのさまざまな知識や能力を身に付けることができるからです。

小・中学校と高校で新聞の活用を盛り込んだ新学習指導要領が実施されていることや新聞を教材にして授業を行うNIE(Newspaper in Education)活動が全国に拡がっているのは、新聞が子供の教育に役立っているという何よりの証左なのではないでしょうか。

私たちが新聞業界について良く耳にするのは、販売部数が落ち込み、広告収入も少なくなり経営を圧迫しているといったネガティブ情報ばかりです。新聞の凋落はジャーナリズムの衰退に繋がり、健全な国家の在り方に極めて大きな影響をもたらします。

第66回新聞週間の世論調査から得られた新聞の優れた特性やNIE活動などについて、さらに国民の理解を深めていくためにも、新聞業界がパブリック・リレーションズ(PR)の手法を導入する必要があるのではないでしょうか。

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