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2013.05.06
富田勲、初音ミク、宮沢賢治の異次元コラボに感動〜既成概念を超えた新たな発想と組み合わせが新しい文化を創造
皆さんこんにちは井之上喬です。
今年のGWはおおむね好天に恵まれ、皆さんそれぞれの休みをエンジョイされたことと思います。
終盤にはいり空港、鉄道、そして高速道路での交通渋滞は各地で激しさを増しているようですが、どこへ出かけても混雑が激しいからと身近なところで楽しみを探したり、じっくり読書や映画鑑賞などをリッチに楽しんだ方も結構いらっしゃったのではないでしょうか。
みどりの日の5月4日(土)、NHK EテレでETV特集「冨田勲のイーハトーヴ交響曲?初音ミクが歌う賢治の世界?」というタイトルで興味深い番組が放送されました。
80歳でも衰えない情熱
富田勲さんはご存知のように、作曲家で1970年代初めに真っ先にシンセサイザーを取り入れ、数々の名作とともに世界的な評価を得ているアーチスト。
80歳を迎えられた現在でも積極的に作曲家活動に取り組んでいらっしゃいます。
そんな富田さんは以前から宮沢賢治の不思議な世界を音楽で表現することを考えていたようです。
きっかけとなったのが親戚関係にある、元東北大学学長の西澤潤一さん。「賢治の詩に音楽をつけてみたら」と西澤さんの一言で取り組むことになったというから面白いですね。
以来富田さんは、音楽で賢治の世界をどのように表現するかずっと悩んでいらっしゃったようですが、人工的に合成した歌声で歌うCGキャラクター「初音ミク」に出会ったとき、その賢治の世界観を描きだすには「これしかない!」と直感したようです。
ここから初音ミク、富田勲、そして宮沢賢治の異次元コラボレーションが実現することになります。
これまでの表現法にとらわれない富田さんの柔軟な感性がこのコレボレーションを誕生させたともいえるでしょう。
既成概念を脱して新しい文化創造を
誕生までの悪戦苦闘の様子は4月27日のETV特集で描かれていますが、別荘に1カ月こもりっきりで譜面に手書きで音符を書き込む富田さんの姿はとても80歳とは思えないエネルギーに満ち溢れたものでした。
オーケストラの指揮者に合わせて、初音ミクがスムーズに踊り、歌うように、新たにプログラム作りに関わったスタッフには5カ月の試行錯誤があったとのこと。
賢治の不思議な世界を音楽で表現するという壮大なプロジェクトの裏には多くの時間と労力が費やされていたことが痛いほどわかりました。
完成したイーハトーヴ交響曲の演奏は、2012年11月23日に東京で披露されました。その模様がETV特集で放送されたわけですが、第1楽章の岩手山の大鷲から始まり剣舞/星めぐりの歌、注文の多い料理店、風の又三郎、銀河鉄道の夜、雨ニモマケズそしてエンディングの岩手山の大鷲へと続く全編はオーケストラと合唱、そして初音ミクのコラボレーションでは、これまで体験したことのない不思議ななかにも心地よい世界が音楽を通じ表現されていました。
このようなユニークな番組制作に取り組むNHKは今年放送開始60周年を迎えました。
公共放送としてNHKには新たな役割が求められています。これからも質の高いさまざまな番組の配信とともに、東日本大震災の被災地の今を発信し続ける役割やスーパーハイビジョンなど世界最先端の放送技術に関する研究開発の拠点として、NHKには民放にできない多くの役割と責任が課せられていると思います。TV好きの私としてはNHKに改めて期待とエールを送りたいと思います。
パブリック・リレーションズ(PR)の専門家には外部環境の変化を読み取る力が求められます。時代の流れを巨視的に捉えることで、新しい変化を正しい方向へ導くことができるよう日頃の準備を怠らないようにしたいものです。