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2013.04.29

アップルは「壮年期」への曲がり角?〜今年創立30年を迎える日本法人

皆さんこんにちは、井之上 喬です。
いよいよゴールデンウィーク(GW)。GW期間の国内・海外旅行者は約2,300万人と過去最高になると予想されています。4月27日?5月6日まで、連続10日間の大型連休を楽しまれる方もいるようですが、皆さんはどんな過ごし方をされているのでしょうか。

アジア11地域における消費者ブランドイメージに関して2回目の「ブランド・アジア2013」調査結果が日経BPコンサルティングより4月18日に発表されました。

この調査は昨年10月から今年1月までに、インドや中国、東南アジア諸国など日本を含めた11の国と地域で1万5000人の消費者を対象に実施したもの。

各地域共通の60のグローバルブランドと地域ごとのローカルブランドの計100のブランドについてイメージを聴取。業種はIT(情報技)、自動車、家電、インターネット関連などの9分野となっています。

東南アジアで存在感を示す「アップル」

親しみやすさや革新性、卓越性などの総合力では、「アップル」がスマートフォン(スマホ)やタブレット端末の普及を背景に日本、中国、シンガポールの3地域で首位になり、その存在感を示しました。

また、アジア新興国の購買力向上を背景に、自動車メーカーも上位にくいこんでいます。タイのトップ4はBMW、メルセデス・ベンツ、トヨタ、ホンダの順で、いずれも自動車メーカーが占めました。

マレーシアでもホンダ(2位)、トヨタ(3位)、メルセデス・ベンツ(4位)とそれぞれが上位を占めています。
消費者が評価したブランド力のトップ4はアップル、グーグル、ユニクロ、ユーチューブで、ユニクロの健闘がひかります。逆に日本の電機メーカーは、パナソニックが前回調査の7位から14位に後退、シャープは54位、キヤノンも62位とブランド力の低下が目立つ結果となっています。

アップルが10年ぶりの減益

米アップルが4月23日発表した2013年1?3月期決算は、売上高が11%増の436億300万ドル(約4兆3,340億円)であったものの、純利益が前年同期比18%減の95億4,700万ドル(約9,490億円)となり、2003年4?6月期以来の10年ぶりの減益となりました。

この発表を受け、日本経済新聞シリコンバレー支局の岡田記者は次のような記事を送ってきています。
「米アップルの高成長路線が大きな転機を迎えた。主力のスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)の販売は引き続き好調だが、1?3月期は利益率の低下が響き、約10年ぶりの減益となった。新製品の投入サイクルや株主対応など経営姿勢にも変化がうかがえる。アップルは『壮年期』に入った可能性がある。」

また、岡田記者は青年から壮年への移行期なのか、再び若さを取り戻すのか。利益率を高め、収益拡大ペースを回復するには、まず「驚くような新製品」が不可欠になると、アップル社ティム・クックCEOのコメントを引用しています。

「驚くような新製品」については、腕時計型端末やインターネット接続テレビなど、各種新製品の噂が流れていますが、この件に関してクックCEOは、一切のコメントを避けているようです。

アップルの株価は収益拡大の勢いが鈍化するとの懸念が強まった昨年9月以降、約4割下落。現在の株価は400ドル程度で推移しているようです。

アップルがNASDAQに上場を果したのが1980年12月12日。私が経営する井之上パブリックリレーションズは、この年の5月にアップル本社とパブリック・リレーションズ(PR)のコンサルテーション契約を結んでいました。

その関係で当時、アップル本社と次期PR計画の打ち合わせのためシリコンバレーに出張していた私は、同社の歴史的ともいうべきIPOに立ち会うことになります。

早朝、現地のパートナーであったジェームス・今井さんからのアップルのIPOを知らせる電話で起こされ、時差ボケで眠たい目をこすりながら地元の証券会社に急行し同社の株式を購入したのを懐かしく想いだします。

IPO時の株価は3.59ドルだったかと思います。約4割下落し、現在の株価は400ドル程度といっても、数多くのスプリットを繰り返しながらIPO時の110倍以上。年間売上高は、IPO当時の1億1,700万ドルから2012年12月期は約1,565億ドルと驚異的な伸長を示しています。

カリスマ的な存在であったスティーブ・ジョブズ氏が亡くなって1年半。インテルやマイクロソフトなどの米IT企業をみると、異例の高成長を達成した後で安定成長に移行しています。アップルもひたすら利益を稼ぐ「青年期」から、収益拡大の勢いは鈍るものの経営の安定さが高まる「壮年期」への曲がり角にあるのでしょうか。

写真:アップルジャパン設立記者会見(ホテルオークラ「星雲の間」)左からビル・ションフェルド氏、福島正也社長、筆者

アップル社の創業は1976年4月1日で、NASDAQ上場が1980年12月12日。そして、日本法人(アップルコンピュータジャパン株式会社)の設立は1983年6月21日ですから、日本法人は今年30周年を迎えることになります。

写真は、アップルジャパン設立に先立って、1983年5月8日に催された記者会見の様子を伝えるものです。初代社長に就任した福島正也さんも米本社から日本市場のマーケティング責任者として来日したビル・ションフェルドさんも既に故人となっています。

両氏とも、まさにアップルの「青年期」を支えた功労者でした。アップルジャパン設立30周年を機に改めて福島さんやションフェルドさんのご冥福をお祈りします。

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