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2013.01.14

世界最大ラスベガス家電見本市 CES 2013レポート〜期待できる日本の家電メーカー

こんにちは井之上 喬です。
正月気分に浸っているまもなく、ビジネス界はいよいよ本格始動と言ったところでしょうか。

私のブログでも年明けの恒例になりましたが、世界最大の家電見本市インターナショナル・コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(International CES)が、今年も米国ネバダ州ラスベガスで8日から11日までの4日間開催されました(写真)。新聞やテレビでも報道されているので情報を入手された方も多いのではないでしょうか。

井之上パブリックリレーションズ(井之上PR)は、このCESの開催母体である米国家電協会(CEA)に対して、日本市場向けのPRコンサルテーションや開催期間中の現地への日本からのメディアツアーの実施などを行っています。今回は現地入りしている井之上PRスタッフからのホットな速報を交え報告いたします。

家電と言えば日本のお家芸と言われてきましたが、韓国や中国勢の勢いに押され日本メーカーが苦戦しているのは皆さんもご存知だと思います。そのような状況の中で開催されるCES 2013で日本メーカーがどのような発表をするのか個人的にも注目していました。

けん引役はスマートフォンとタブレット

2013年の民生機器の目玉は何かといえば、大方の皆さんが予想しているようにスマートフォンとタブレットPCがけん引役とCEAも分析しているようで英語で言えば“Two-Horse Race”。

そしてキーワードを挙げるとモバイルとコネクティビティ。
スマートフォンやタブレットPCなどとブロードバンド・インターネット環境により家庭では冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの家電製品がネットワーク化され、情報とエネルギー管理が可能になってきたとされています。

そしてそれがハイブリッドカーや電気自動車に代表される自動車とも接続され、家庭から移動先までどこでも瞬時に必要な情報がやり取りされる時代が本当に目の前に迫っているようです。

CES開幕前日のプレキーノートはこれまでマイクロソフトのビル・ゲイツやスティーブバルマーが常連でしたが、今年はインテルの競合相手でスマートフォン分野に強いクワルコム社のポール・ジェイコブスCEOが登壇。

新しいモバイル向けプロセッサーを発表し、PCからスマートフォンなどモバイルデバイスに時代に移行していることを訴えたようです。

プレゼンテーションの中にサプライズでマイクロソフトのバルマーCEOが登場。クワルコムとMS両社の親密な関係を聴衆に印象付けていたそうでが、ウィンテル時代の終焉の象徴とも捉えることができます。

4Kテレビで世界をリード!

CES開幕初日のオープニング・キーノートはパナソニックの津賀一宏社長(写真)。

ちょっと大げさに言えばこのスピーチは、今年の日本の家電業界を占う意味でも注目されていましたが、現行ハイビジョン方式の4倍の高精彩を誇る、印刷方式による4K(3840×2160ピクセル)の56型有機EL(OLED)TVの発表は大きな驚きをもって迎えられたようです。

サムスンやLGなどの韓国勢も大型高精細のLCDTV、OLEDを発表していましたが、4Kテレビではパナソニック、ソニーそしてシャープなどの日本メーカーが技術的に先行していることを大きくアピールできたようです。

家電の中心はやはりテレビ。特に米国でのテレビは日本で考える以上に家庭での存在は大きく、家電マーケットで戦う日本企業にとって、米国の巨大テレビ市場で認められることは世界に存在感を大きくアピールでき、米国市場攻略はビジネス成功の鍵となります。

また井之上PRの担当者は、これまで不振だった日本メーカーが、付加価値の高い技術力を生かしシェア奪還を強くアピールしていることに動かされたようで、日本企業に大いに期待が持てる今年のCESだったと報告しています。
日本でも今回のCES 2013について連日報道されていますが、こうした機会に各紙の論調を比較してみるのも面白いことです。

全般的な論調を見ると、家電分野では韓国企業の勢いの良さが感じられますが、「日本勢スマホで追撃」(1/10読売新聞)であったり、「ソニー、スマホで反攻」(1/9日本経済新聞)といったように日本企業に対するエールが紙面に認められます。

逆に朝日新聞では辛口な報道も目につきました。例えば、テレビ分野で日本を韓国と比較して「日本メーカーはすでに周回遅れの状況だ」(1/9朝日新聞)といった論調や米アナリストの「韓国メーカーの創意工夫が目立った。(中略)日本メーカーは昨年の発表から変化が見られなかった」(同)といったコメントの類です。

また、CESは本来的に最先端の製品や技術をお披露目する場であり、「タブレットの普及が小型テレビの普及に悪影響を及ぼしている」(1/9日本経済新聞)といった、出展に水を差すようなマーケティング的視点の論評も見られました。
今回のCES 2013のような舞台で、企業のトップがきちっとしたメッセージを世界に向けて発信できる機会はそう多くはありません。

絶好の機会を活かし世界に技術力をアピールしたパナソニックの津賀社長、そしてソニー、シャープなど日本企業のトップにさらなる頑張りを期待します。
企業ブランド、メッセージを発信するのにパブリック・リレーションズ(PR)は有効です。

グローバル市場で世界の強豪と熾烈な競争を続ける日本企業が、ブランド力を高め、世界で成功することが出来るように、今年も真剣にPRに取り組んでいきたいと改めて気を引き締めさせられた報告でした。

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日本経済新聞社は「The Nikkei Asian Review」の創刊1周年を記念して、京都大学経営管理大学院と「アジア新潮流・グローバルリーダーの条件」と題したシンポジウムを1月24日(木)、日経ホールにて共催します(後援:国際協力銀行、グローバルビジネス学会)。定員500名で参加費は無料。
私は、このシンポジウムのパネルディスカッション(16:30-17:50)でモデレーターを務めます。
参加を希望される方は、詳細を以下の日経サイトでご確認のうえ、お申し込みください。なお、定員を超えた場合は抽選となります。
http://esf.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00965

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