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2013.01.21

母から13歳の息子へ「スマホ18の約束」〜子どもへの保護者の愛情がなによりも大切

こんにちは井之上 喬です。
昨日20日は、1年のうちで最も寒さが厳しい日といわれる大寒(だいかん)でした。これから春に向けて日々、寒さも緩んでいくようです。

前回のブログで世界最大の家電見本市インターナショナル・コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(International CES)のホットな報告をしました。そのなかで“Two-Horse Race”、つまり2013年の民生機器市場はスマートフォンとタブレットPCがけん引するといった分析を紹介しました。

インプレスR&Dが昨年11月20日に公表した携帯電話の利用動向に特化した『スマートフォン/ケータイ利用動向調査2013』によるとスマートフォンの国内での利用率は、個人が39.8%、企業が41.7%と1年でほぼ倍増する勢いで拡大しています。また、13歳以上のインターネットユーザの4割が既にスマートフォンを使っているとのことです。

この13歳以上のインターネット利用者(男女個人)を対象にスマートフォンのユーザを世代別にみると、男性20代が58.9%、女性20代が58.5%、男性30代が53.7%、次いで男性10代が51.7%、女性10代が47.6%の順で若年層の利用率も高まっています。

クリスマス・プレゼントがはじまり

米国においても同様で若年層でのスマートフォン利用率が高まるなかで、米国の母親が息子のクリスマス・プレゼントにスマートフォンを贈る際、独自に作成した「使用契約書」が米国内で話題になっています。

日本でも東京新聞が1月8日の朝刊(24面)で「米で話題、母から13歳息子へスマホ18の約束」という見出しでその内容を紹介しました。すぐにこの話題がオンラインメディアや個人ブログに飛び火して反響を拡げています。

私の会社(井之上パブリックリレーションズ)の社員も関口宏さんが司会するTBSのサンデーモーニング「風をよむ」(1月13日)でこの話題が紹介されたのを視聴して、「スマホを使うことで広がる世界よりも、使わずに広がる世界について愛情をもって息子に説明している母親の姿勢に感嘆した」と伝えてくれました。

生まれたときからインターネットや携帯電話がある環境で育った今の子どもたち。その子どもたちにインターネットの利便性と裏腹にあるネットへの過多な依存症や有害サイトへのアクセスといった問題は、日米共通のようです。

私も東京新聞の記事やマイナビニュースで契約書の全文(和訳)を読み感銘を受けました。

「この母親は、米東部マサチューセッツ州のジャネル・ホフマンさん。昨年のクリスマスのこと、五人きょうだいの長男グレゴリー君(13歳)に米アップル社のスマートフォン、iPhone(アイフォーン)をプレゼントした。」と、東京新聞ではその発端を紹介しています。

「『使用契約書』は十八カ条の規則からなる。このプレゼントを受理すると同時に、ルールや規則が付いてくる。『現代のテクノロジーをうまく活用できる大人に育たなければならない』と教えた上で第一条の『この電話は私が買ったものです。あなたに貸しています』から第一八条の『あなたが失敗した時、電話を奪います』まで続く。」

紙面で紹介された契約書の内容は、大別するとネット上などでの悪口、いじめに加担しないこと、直接、人と会話することの大切さなどを強調。「携帯電話は生き物ではないし、あなたの一部でもない」「時には携帯を家に置いて、散歩に行きなさい」とバーチャル社会にのめり込まないよう指導しているものでした。

契約書の全文(和訳)は下記マイナビニュースにアクセスしてみてください。
http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/tokyodokujo/2013/01/iphone1318.html

引用元は:ABC NEWs「Mom Has Son Sign 18-point Agreement for iPhone」

世界中に通用するルール

米国事情に詳しい放送プロデューサーのデーブ・スペクターさんのコメントも紙面に載せています。「米国中で話題だ。どのニュースサイトにも出ている。九割以上の人が内容に賛同している」。

「米国では、親がペットや中古自動車などを買い与える代わりに、さまざまな制約条件を付けるのが一般的だが、ここまで凝った『使用契約書』は見たことがない」とスペクターさんは述べています。

東京新聞が「スマホ18の約束」を掲載した翌々日(10日)、NTTドコモが小・中学生を主な利用者層に想定したスマートフォンを2月上旬から発売予定であるとの発表がありました。

このジュニア向けスマホの大きな特徴は、電話やメール、インターネット、アプリ、利用時間・通話時間などの機能を、保護者が設定して制限できる点にあるようです。

ネットが子どもに与える影響を研究している群馬大名誉教授下田博次さんは、ホフマンさんの使用契約書を「世界中に通用するルールだ」と、やはり東京新聞の紙面で絶賛しています。

また、下田さんは日本の現状について「ホフマンさんのような賢い母親は、私の知る限り日本にはいない。ネットのことがよく分からないまま、好き勝手に子どもに使わせている。文科省もネットの危険性を十分理解していない」と嘆いています。

そして、「米国では子育ての責任は家庭にあるとの信念のもと、子どもたちのネット・携帯電話利用問題を考えている。日本の親たちが、子どものメディア管理能力を養わないと社会全体に大きな禍根を残す」と警告しています。

子どもたちにジュニア向けスマホのようにフィルタリングサービス(有害サイトアクセス制限サービス)などのハード機能を利用する管理していくことも大事なことです。

しかしそれ以上に、スマホのようなモバイル端末が大人のメディアであることを熟知したうえで、子どもへの深い愛情と、勝手に使わせないという保護者の強い意思が何より大事なことだと、改めて実感させられました。

これからは大人も子供もスマホリテラシーの研究が必要になってきます。パブリック・リレーションズ(PR)で正しい普及を行いたいものです。

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日本経済新聞社は「The Nikkei Asian Review」の創刊1周年を記念して、京都大学経営管理大学院と「アジア新潮流・グローバルリーダーの条件」と題したシンポジウムを1月24日(木)、日経ホールにて共催します(後援:国際協力銀行、グローバルビジネス学会)。定員500名で参加費は無料。
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http://esf.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00965

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