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2012.10.29

“メードインジャパンの逆襲”に向けて〜トップのストーリーテリングとグローバルマーケティングが不可欠

皆さんこんにちは井之上 喬です。
今週で神無月ともお別れ、今年も残すは霜月そして師走のみとなってきました。2012年の締めに向けて頑張りましょう。

アップル「iPad mini」につづき「Windows 8」

先週、エレクトロニクス業界ではクリスマス・年末商戦に向けた大きな発表が相次ぎました。米国時間の10月23日にはアップルが新世代のiPadである「iPad mini」を発表しました。

厚さ7.2ミリの薄型ボディに1024×768ドット(XGA)表示に対応したディスプレイを搭載したタブレット(多機能端末)。狭額縁設計を採用し、片手で持てるサイズを実現、重さはWi-Fi版が308グラム。

解像度はiPad 2と同じで、27万5000タイトル以上ある既存のiPadアプリケーションがそのまま利用できます。11月2日からWi-Fi版の出荷が開始される予定です。

そして10月26日にはマイクロソフトから、Windows 7の後継として開発されたPCおよびタブレット端末向けの基本ソフト(OS)である「Windows 8」が全世界で発売されました。

日本では世界で最も多い250機種のWindows 8搭載パソコンが登場予定で、目玉となるのはタブレットにもなるノートPCのようでアップルのiPad miniやグーグルの「ネクサス 7」、アマゾンの「キンドル・ファイアHD」なども巻き込み年末商戦に向けた競争はますます激化しそうです。

そんな週末にNHKスペシャル「メードインジャパン・これが逆襲のシナリオだ」が2夜連続で放送されました。

日本メーカーの逆襲はなるのか?

番組では、ソニー、シャープとアップルの動きを年代とともに検証し何故今のようなアップル一人勝ちの状況が生まれたのか、日本企業の逆襲・復活のためには何が必要か、大企業を飛び出し起業する若者たちのさまざまな人間模様も交え非常に見ごたえのある内容の番組でした。

番組に登場したトップのなかで注目したのがソニー平井一夫社長です。流ちょうな英語を駆使し、スマートな話し方のなかにもきちっとメッセージを発信する。コーポレートPRの中でも重要な、企業トップによる明確なストーリーテリングの好例だと感じました。

またとても印象に残っている言葉が、現在のアップル急成長のトリガーとなったiPod発売時に前アップルCEOスティーブ・ジョブズ氏が語った「iPodはソフトウェア(SW)」の一言です。

実際、iPodを分解すると基本的な構成モジュールを中心にとてもシンプルな部品構成になっており、それまでのモノづくりの常識を変えるハードウェア(HW)構成になっています。

無論iPodの成功には日本の部品メーカーの貢献なしには語れませんが、このHWとアップル・ストアーとの組み合わせによる新しいデジタル時代、ネットワーク時代のビジネスモデルの創出が今のアップルを作り出したともいえるでしょう。

また、日本に追い付け追い越せで今や世界のトップブランドになった韓国サムスンのビジネス戦略も、日本企業にとって大きな教訓になるのではないでしょうか。

同じテレビでもその国に合わせたデザイン、価格設定をきめ細やかに行うことで世界シェアを獲得しています。
いまや技術だけではなく、グローバルな流通とマーケティングが不可欠であるのは明確で、番組の中でもソニーのインド向けテレビの色づくり戦略の結果、インドでテレビのシェアトップを獲得した事例を挙げていました。

この事例を見ても日本の技術力は世界のトップにあることは疑いの余地はありません。

しかし、今の日本のリストラの例を見ると希望退職者の多くに力のある人材が多数含まれ、その貴重な人材がアジアの企業などに流失している現実に歯止めをかけなければ逆襲のシナリオ作りは困難になるでしょう。

またイノベーションには若い人たちの結集が不可欠です。既成概念にこだわらない新しい発想で立ち向かってほしいと思います。

前述のNHKスペシャルには、大手家電メーカーを飛び出し仲間で作ったベンチャー企業でそれぞれ自分たちのやりたかった製品開発に従事する若者の姿が描かれていましたが、彼らには是非新しい産業を興してもらいたいものです。

新しいジャパンモデルの創出、そのためには海外を取り込みながら日本の英知を終結しなければなりません。リレーションジップ・マネジメントであるパブリック・リレーションズ(PR)が求められています。

 

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