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2024.06.24

SDGs達成度ランキング、ジェンダーギャップ指数ランキングに見る 日本
〜パブリック・リレーションズ(PR)が新たな価値創造に向けた羅針盤に

皆さんこんにちは、井之上 喬です。
東京の梅雨入りは平年より2週間遅く、その前に夏日を記録するなど、寒暖差が大きな季節の変わり目となっています。
皆さん、体調管理に気を付けて夏本番に備えましょう。

先日、国際的な研究組織である「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)は、世界のSDGs(持続可能な開発目標)の達成度を評価した「Sustainable Development Report」(持続可能な開発報告書)の2024年版を発表しました。

SDGs達成度ランキング2024、日本は18位に

報告書によると、日本のSDGs達成度は167カ国中18位。過去最低だった2023年の21位(166カ国)から順位を少し上げました。しかし、ジェンダー平等や気候変動対策など、5つの目標が引き続き最低評価のままです。まだまだ改善に向けた取り組みが必要ですね。

SDSNは、米コロンビア大の経済学者ジェフリー・サックス教授が代表を務め、2016年から毎年、報告書を発表しています。報告書は、国連や研究機関などの統計資料をもとに、各国のSDGsの取り組みを100点満点で点数化し達成度ランキングとしています。

2024年の1位はフィンランドで、4年連続のトップでした。2位はスウェーデン、3位はデンマーク、4位はドイツ、5位はフランスと続き、4位のドイツまでは前年と同じ顔ぶれで、上位を欧州勢が占めています。

上位5か国のSDGs達成度と順位は以下の通りです。(かっこ内は2023年の順位とスコア)
1位フィンランド 86.4(1、86.8)、2位スウェーデン 85.7(2、86.0)、3位デンマーク 85.0(3、85.7)、4位ドイツ 83.4(4、83.4)、5位フランス 82.8(6、82.0)。

また、主な国については、
日本は18位で79.9(21、79.4)。お隣の韓国は33位で77.3(31、78.1)、アメリカは46位で74.4(39、75.9)、ロシアは56位で73.1(49、73.8)、中国は68位で70.9(63、72.0)、そしてインドは109位で64.0(112、63.4)となっています。

日本は、2017年の11位が最高でその後順位を落とし、2023年は21位と初めて20位台に転落。2024年は7年ぶりに上昇しランクを3つ上げました。

評価の仕組みは、SDGsの17の目標ごとに具体的指標を設定し、それらのスコアを総合して行います。また、各目標についても「達成済み」「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」の4段階の評価を割り当てています。2024年の報告で日本が「達成済み」とされたのは、目標9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」の1項目のみでした。

次の「課題が残る」は、目標1「貧困をなくそう」、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標4「質の高い教育をみんなに」、目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標16「平和と公正をすべての人に」の5つ。

3番目の評価「重要な課題がある」は、目標2「飢餓をゼロに」、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の6目標でした。

「深刻な課題」には「ジェンダー平等を実現しよう」など5目標が

4番目で最低の評価「深刻な課題がある」は5つありました。目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」です。

これらの具体的内容を見てみましょう。目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、国会議員(衆院議員)の女性比率の低さと男女の賃金格差が引き続き問題だと指摘されています。目標12「つくる責任、つかう責任」は、プラスチックごみの輸出量の多さが前年に続き問題視されています。目標13「気候変動に具体的な対策を」は、化石燃料の燃焼や二酸化炭素(CO2)排出量などの多さが低評価につながったようです。

17目標のうち、前年から評価を下げたのは2つ。目標4「質の高い教育をみんなに」は、前年まで最高評価の「達成済み」でしたが、生徒の学習到達度調査の結果が下がり、「課題が残る」になりました。気になるところです。また、目標11「住み続けられるまちづくりを」は、「課題が残る」から「重要な課題がある」に低下。家賃負担が重い人々の割合が増えたことが影響しています。

日本はジェンダーギャップ指数ランキングで146カ国中の118位に低迷

SDSNの評価で「深刻な課題がある」とされたSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、別の団体の調査でも低い評価となりました。
国際的な非営利団体である世界経済フォーラム(World Economic Forum、本部:スイス、ジュネーブ)が発表した、2024年版のグローバル・ジェンダーギャップ・レポート(Global Gender Gap Report)です。

男女平等の達成率を比べる「ジェンダーギャップ指数ランキング」で、日本は146カ国中118位。過去最低の順位だった前年の125位からわずかに持ち直したものの、下位グループを抜け出せていません。

レポートの発表は今回18回目。「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4分野で、各国の賃金、就学率、健康寿命、国会議員の人数などについて男女の差を数値化し、国別の達成状況から地域ごとの課題、世界全体の動向などを分析しています。

今回、男女平等の達成率は世界全体が68.5%で前年から0.1ポイント上昇。日本は66.3%と前年(64.7%)から1.6ポイント改善しましたが世界の中では低迷が続きます。

当然のことながら、先進7カ国の中で日本は最下位です。他の6カ国はどこも達成率は70%を超えています。トップのドイツは81.0%で、続くイギリスが78.9%、フランス(78.1%)、カナダ(76.1%)、アメリカ(74.7%)、イタリア(70.3%)となっています。

ただ、分野別に見ると、ランクは低いけれど達成率そのものは高いものもあります。例えば「教育」は99.3%(72位)、「医療へのアクセス」は97.3%(58位)です。

「経済」は依然として低水準が続きます。管理職比率や推定勤労所得に改善が見られた一方、同一労働での男女の賃金格差が多少悪化し、達成率は56.8%(前年比0.7ポイント増)。順位は120位(前年比3位上昇)です。

男女格差が顕著なのは「政治参加」分野です。達成率は11.8%。第2次岸田再改造内閣の閣僚20人のうち女性が過去最多に並ぶ5人となり、順位こそ前年の138位から113位へ上げたものの、女性の国会議員の少なさは大きな課題です。

以上のように、議員や管理職など、責任ある立場に就く女性が少ない政治・経済分野での著しい男女間格差が、日本の大きな改善課題だと指摘されています。

皆さんはこの2つのレポート報告を見てどのように感じるでしょうか。

内閣府男女共同参画局の資料は「『ジェンダー平等』とは、ひとりひとりの人間が、性別にかかわらず、平等に責任や権利や機会を分かちあい、あらゆる物事を一緒に決めることができることを意味しています」と説明しています。また、「地球上の誰一人として取り残さない」との考え方を示すSDGsは2030年が達成目標です。取り組みの加速が求められます。

対立と分断、そして戦いが止むことのない現在の世界で、ジェンダー平等をはじめとしたさまざまな社会課題の解決は困難を極めるかもしれません。

そんな中、私が長年研究と実践を重ねてきたパブリック・リレーションズ(PR)は、課題解決策の一つとして大きな役割を果たせると確信しています。

私が考えるパブリック・リレーションズ(PR)を改めて紹介しましょう。
「パブリック・リレーションズ(PR)とは、個人や組織体が最短距離で目標や目的に達する、『倫理観』に支えられた『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ活動である」と考えています。

ジェンダー平等の実現について考えると、性別による差別はいけないとの倫理観は、だれもがお持ちでしょう。ですが、家庭環境や成長の過程、日常生活で性による違いに慣れてしまい、知らず知らずのうちに不平等な扱いを見過ごしていることはないでしょうか。無意識のうちに偏見を持ってしまうことは誰にでも起こりえます。ことあるごとに自分を客観的に点検し、自己修正を行っていく上で欠かせないのは、家族や友人、職場の同僚などとの双方向コミュニケーションです。だれもが活躍できるよりよい社会の実現には、一人ひとりの実践が大きなカギを握っています。

性別の違い、民族や文化、言語、宗教、国境を超えてさまざまなステーク・ホルダーとの良好な関係構築活動=リレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズ(PR)は、混迷の時代の新しい価値創造を目指す羅針盤であると強く感じています。

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