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2011.11.10

最速「ペタコン」京に見るCSR活動 〜CSRは本業の延長線上で

こんにちは井之上喬です。
暦の上では立冬を迎え、いよいよ年末年始に向けあわただしさが増してきました。

皆さんの冬のイメージは、どのようなものでしょうか。炬燵に入って食べるみかん、スキーやスケートなどウインター・スポーツ、お正月などさまざまですね。

そんな楽しい冬のイメージの一方で、良く使われる言葉に“冬の時代”というのもあります。今週は、タイの洪水の影響で企業業績が悪化しているニュースや、オリンパスの信じられない損失隠しなど企業経営をめぐる暗い話題が多かったと思います。

気が遠くなる、「10ペタフロップス」

そんな中できらりと光っていたのが、世界最速のスーパー・コンピュータ「京」に関連した話題。11月2日には理化学研究所(理研)と富士通が、京が10ペタフロップスを達成したことを発表しました。

京は文部科学省の「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」計画のもと、理研と富士通が共同開発。
2011年6月の国際スーパーコンピューティング会議で8.162ペタフロップスを達成しTOP500リストで世界1位にランクされたのは記憶に新しいところです。

今回は目標であった10ペタフロップスを達成するとともに、88,126個と気が遠くなりそうな数のCPU(中央演算処理装置)などで構成するシステム全体が29時間余り無故障で動作し、世界最大級の超大規模システムの安定性を世界に実証することになりました。
ちなみに京が達成した10.51ペタフロップスとは、毎秒10,510兆回の浮動小数点演算数だそうです。10ぺタは10の16乗です、ゼロが一体いくつ並ぶのでしょう。

私たちの日常生活との関わりも

京は2012年6月の完成、11月の供用開始に向けて開発がすすめられていますが、試験利用環境として一部を提供しており、今後、さまざまな分野での利用と成果が期待されています。

その中には、次世代半導体材料のナノ電子デバイス材料の開発、病気の原因となるタンパク質活性部位へ結合して発病を防ぐ化合物を予測しての新薬開発、エネルギー変換効率が高い太陽電池開発、大規模地震防災予測計画や人工構造物の耐震設計への貢献、高精度な気象予測情報の提供など、私たちの日常生活にも大きな貢献が期待されています。

違う視点で見ると京は、日本のものづくりの集大成ともいえるもので、沈滞気味の日本の産業界に射す1条の光といったところでしょうか?来週には秋のTOP500が発表されるとのことです。京の結果に期待したいものです。

京に関する富士通関係者の言葉で印象に残っているのが、「ICTで社会を支えたい。事業を通して世の中の役に立ちたい」ということです。
これはまさしくマーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラーの「本業の延長線上でのCSRが理想」と合致するものです。

パブリック・リレーションズ(PR)の世界でも、CSRの重要性はますます大きくなっています。

今後、真のグローバル化を進めなければならない日本企業にとって、CSRのためのCSRではなく、本業に根ざしたCSR活動を世界で展開することを考えるのに今はまさに絶好の機会ではないでしょうか。

 

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