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2019.09.13

日本の埋没感脱却に不可欠な教育の充実
~異次元の高齢化社会への備えを

皆さんこんにちは井之上喬です。

9月11日、米国同時多発テロ事件から18年、そして東日本大震災から8年半を迎えました。凄惨な事件そして自然災害の恐ろしさを風化させないように、改めて思い返すとともに犠牲になった多くの方々のご冥福を改めてお祈りいたします。

世界は政治、経済分野を含め混迷の時代を迎えていますが、何よりも戦争、紛争のない平和な時代を、全人類は目指すべきだと思います。

特にこれからの地球を担う若い世代には、改めて平和の大切さを考えてほしいものです。

日本の公的教育支出、OECDで最低!

世界における「日本の埋没感」が様々な面から指摘されていますが、日本の教育に関するショッキングな発表が最近ありました。

経済協力開発機構(OECD)は9月10日、2016年に加盟各国が小学校から大学に相当する教育機関に対して行った公的教育支出の国内総生産(GDP)に占める割合が、日本は2.9%で、比較可能な35カ国のうち、3年連続で最も低かったと発表しました。

トップはノルウェーの6.3%でフィンランド5.4%、アイスランドとベルギーの5.3%が続きOECD平均は4.0%となっています。

公的教育支出のうち高等教育の割合をみても日本は31%で、OECD平均66%の半分以下となっており、教育支出の多くは家計頼みになっている実態が改めて明らかにされました。

また、2017年における自然科学、数学、統計学専攻の修士課程と博士課程の卒業者に占める女性の割合も発表されました。OECD平均で修士課程が54%、博士課程が46%であったのに対し、日本は修士課程で23%、博士課程で21%と大きく下回っており、残念ながら大学院レベルの専門的な教育課程での女性進出がまだまだ進んでいない実態も浮かんでいます。

人口1億人割れ、65歳以上が約40%の国に

日本は今まさに世界が経験したことのない高齢化社会に突入しています。

日本の人口が1億人を突破した1966年の65歳以上の人口割合は6.6%でした。2008年をピークに日本の人口は減少傾向にあり2053年には1億人を割ると予想されています。(国立社会保障・人口問題研究所調査による)

問題はその際の65歳以上の人口割合です。なんと38%に達する次元の違う高齢化社会が現出することになります。

ちなみに国連世界人口予測によると2050年の主要国の65歳以上人口比率は日本が37.7%、イギリスが25.4%、米国が22.1%、中国が26.3%、韓国が35.3%、インドは13.4%。

日本のこの異次元の高齢化社会を支え、持続可能に成長させていけるかは、人生100年時代に、いかに高齢者を生かせる社会システムを新たに設計できるかにかかっていると思います。

総務省統計を見ると、日本の人口は今後100年間で明治時代後半の水準(5000万人台)に逆戻りするものと考えられています。終戦の年の1945年は約7200万人でしたが、日本型家族形態(夫は外で仕事をし妻は家事)に支えられ、人口はその後急増し高度成長時代を支えました。

しかしながら2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じてしまいました。我が国の年間の出生数は、第1次ベビーブーム期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約210万人だったものの、1975年に200万人を割り込み、2016年には100万人を割って97万6,978人となってしまいました。100万人を割り込んだのは1899(明治32)年の統計開始以来初めてで、その状態のまま現在に至っています。

これ以上の減少を少しでも食い止めるために、これまでの考えに縛られない、思い切った新しい英知の創造が求められているのではないでしょうか?

例えば、近年著しい増加をみる働く女性の、子育て環境のドラスティックな改善喫緊の課題です。保育所や育児・子供手当の充実、男性の育児休暇など、具体的に出生率アップにつながり、第2子、第3子が持てる家庭環境の実現も重要です。三世代住宅の推進もこれまで以上に必要となるのではないでしょうか?

日本の未来を担保するのが教育であることはだれもが認めるところだと思います。

政府には、今一段踏み込んだ教育改革と戦略的な公的教育支出を強く望みます。

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