皆さんこんにちは、井之上喬です。
気象庁は先週31日、九州南部が梅雨入りしたとみられると発表しました。関東地方の梅雨入りは、これまでの気象庁のデータをもとに推計すると6月8日頃で、梅雨明けは7月21日頃となるようです。
イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」から2019年の「THE世界大学ランキング」が紹介されました。
トップ10は米国7校、英国3校と米英が独占
「THE世界大学ランキング」では6カ国1250校以上の順位を発表しています。トップは前回と同じオックスフォード大学で、2位のケンブリッジ大学、3位はスタンフォード大学で3校とも昨年と同じ順位でした。
世界ランキングの評価は、5つの分野について13の指標で各大学のスコアを算出しているとのこと。5つの分野とそれぞれの比重は以下のようです。
- 教育力(学習環境) 30%
- 研究力(論文数、収入、評判) 30%
- 引用数(研究の影響力) 30%
- 国際性(教職員、学生、研究) 7.5%
- 産業界からの収入(知識移転) 2.5%
「THE世界大学ランキング2019」のトップ10の国別内訳はアメリカ7校、イギリス3校と米英が独占。3年連続トップのオックスフォード大学は、世界ランキングで重視される「研究力(論文数、収入、評判)」における強さが評価された結果のようです。
今回も中国の躍進ぶりが目を引くようです。順位を8つ上げて22位になった清華大学は北京大学(27位→31位)を抜いて中国トップに。シンガポール国立大学(22位→23位)をも上回り、現在のランキング方法になった2011年以降で初めて中国の大学がアジアトップの位置を獲得したとのこと。
また、清華大学の「研究力」6位は、ベスト10にランクされるプリンストン大学、イェール大学、マサチューセッツ工科大学などを上回っているとのこと。香港は3年連続で5校がトップ200入り。そのうち4校が前回から順位を上げ、世界ランキングでの存在感を強固なものにしているといいます。
慶應と早稲田は、601–800位にランクイン
日本からは東京大学と京都大学が引き続きトップ100入りし、東京大学は順位を4つ上げて42位、京都大学は9つ上げて65位だったとのこと。日本からは前回の89校より14校多い103校がランクイン、その数で初めてイギリスを抜き、アメリカに次いで2位になったとしています。
東京大学のランクアップは「教育力(学習環境)」「研究力」「産業界からの収入(知識移転)」分野の改善によるもので、京都大学は「教育力」「引用数(研究の影響力)」「産業界からの収入」が改善されたことが評価されたようです。
私立大学の最上位は401–500位で、藤田保健衛生大学をはじめ帝京大学がいずれも「引用数」が強みでランクイン。慶應大学と早稲田大学は、次のランクの601–800位にランクインされたとのこと。
「THE世界大学ランキング」の紹介と同じ時期に週刊東洋経済5月11日号で「慶應vs早稲田」が特集されました。
同誌において早稲田大学の田中愛治総長は、2032年に向けた「ワセダビジョン150」(http://www.waseda.jp/keiei/vision150/)という長期プランを紹介し、その実行を通して「世界に通用する大学としてトップ50に入りたい」とコメントしています(英QS社の世界大学ランキング2019では208位)。
私自身が早稲田OBでもあり、2004年に早稲田大学に日本初の「パブリック・リレーションズ講座」を設け、教鞭を執っていたこととも重なり、やはり早稲田のランキングは気になります。
「ビジョン150」では、教育、研究、文化推進などを掲げ、さらに細かく具体的目標や行動計画と5つの重点策(下記参照)を紹介しています。
- 最優先は研究力を上げるために海外研究者との交流を進める
- が教育力の強化で科目をより体系的に学べるようにする
- 国籍に関係なく教員の国際公募と「テニュアトラック制」
- 社会貢献を通して「貢献の早稲田」を標榜
- 研究や学生支援のため国際的な資金調達
また田中総長は、「大学改革は米国のまねをしているだけでは駄目で、自分たちで答えを見つけていく」、そして「日本の大学が真の意味で競争力を強化するには、はるかに大きな投資と国際化の努力が必要」と述べています。
大学間で世界規模の競争が激化する中で、日本の大学の大半は順位が低く、停滞している感がありますが、世界大学ランク付の指標が英語圏に有利に働いていることも一因ではないかと思えます。
ハイパーグローバリゼーションが進展する中で、あるべき大学像も当然変容しており、大学ランク付の指標も時代に合わせて変えていくべきではないでしょうか。
日本の大学が国際的な優位性を確立していくためにも、新たな時代に適合する大学ランク付の指標を発行元の英国タイムズはもとより世界に向けて訴えていくことが重要だと考えます。
パブリック・リレーションズ(PR)は、そのためのキーファンクションになるはずです。