パブリック・リレーションズ

2015.03.05

日本の広告費6兆円を回復、ネット広告費が初めて1兆円突破〜大きな潮目の時期を迎えるPR業界

皆さんこんにちは井之上 喬です。

新卒採用スケジュールが変更になり、3月1日から2016年3月新卒採用活動が解禁になりました。

就職活動を本格化された皆さん、頑張ってください。日本企業を取り巻く環境は大きく変化しています。企業規模の大小ではなく、まず自分が何をやりたいのかをしっかり考えて仕事を選定してください。

2014年の日本の広告費、3年連続増で6兆円台を回復

2月24日に電通が日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推計した「2014年 日本の広告費」を発表しました。それによると2014年1?12月の日本の総広告費は6兆1,522億円、前年比102.9%で消費税率引き上げの影響はあったものの、3年連続で前年実績を上回り7年ぶりに6兆円を回復したとのことです。

電通の発表によると2014年の広告費の特徴は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要やソチオリンピック2014などで伸長した後、消費税率引き上げによる反動などがあったものの、2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会などにより緩やかに成長を続け、6兆円超の市場規模となった、としています。

媒体別では、新聞広告費(前年比98.2%)、雑誌広告費(同100.0%)、ラジオ広告費(同102.3%)、テレビメディア広告費(前年比102.8%、地上波テレビと衛星メディア関連の合計)の「マスコミ四媒体広告費」は合計で101.6%となっており、唯一、新聞広告が前年割れになっています。

また、「インターネット広告費」(同112.1%)は、スマートフォン・動画広告・新しいアドテクノロジーを利用した広告が伸び、初の1兆円超え市場に成長、さらに、「プロモーションメディア広告費」(同100.8%)も3年連続で前年を上回り、全体の押し上げに寄与したとしています。

主な増加業種は、情報・通信(同107.2%、衛星放送、携帯電話料金サービス、スマートフォン向けサービスなどが増加)、家電・AV機器(同107.1%、電気掃除機、電気冷蔵庫、液晶テレビなどが増加)、化粧品・トイレタリー(同105.6%、シャンプー&リンス・コンディショナー、通販系女性用ラインナップ化粧品などが増加)、自動車・関連品(同103.4%、ワゴン、輸入SUVなどが増加)、飲料・嗜好品(同102.0%、国産ビール、発泡酒などが増加)などとなっています。

GDP(国内総生産)との相関が高いと言われ、社会動向の指標の1つともなる広告費の増加は、日本市場が活性化に向けて動いているとも読むことができるのではないでしょうか。

「ブランドは広告でつくれない」

私が身を置くパブリック・リレーションズ(PR)業界も、リーマンショックや東日本大震災の影響から脱し、海外企業の日本市場でのPR活動、そして海外市場に向けた日本企業のPR活動ともに活発化しているとビジネスを通じ感じています。

特にグローバル化を積極的に進める日本企業からは、世界市場でのブランディングに関する問い合わせも増えています。

ブランディングに関する書籍では『ブランドは広告でつくれない』(アル・ライズ、ローラ・ライズ共著、翔泳社)を紹介します。ポイントをいくつか拾ってみますと、「広告の時代は終わりを告げた。昨今の企業は、きわめて重要な戦略立案について、もはや広告代理店を頼ることはない。以前はマーケティング上のパートナーであった広告代理店が、いまでは一納入業者になり下がっている」

また米国広告連盟(AAF)の企業幹部の調査結果も紹介。それによると、「広告よりもPRを重視する、という結果が出ている」とし、「将来、クライアントはブランド戦略の方向性を定める助けを得るためにPR会社に相談することになるだろう」とPR会社に対する強い期待を示しています。

目次をみてみると、「広告とPR?その違い?」をはじめに、「広告は北風、PRは太陽」「広告は立体的、PRは直線的」「広告はビッグバン、PRはスロービルディング」「広告は誰にでも、PRはキーパーソンに」「広告は短命、PRは長寿」「広告は信頼されない、PRは信頼できる」「広告はブランド維持、PRはブランド構築」など、広告とPRの違いについて明確に触れています。
同書の日本語版初版は2003年です。10年以上を経て日本では今まさに、PRにとって大きな潮目の時期を迎えていると感じています。

書籍

注目のキーワード
                 
カテゴリ
最新記事
アーカイブ
Links

ページ上部へ