パブリック・リレーションズ

2010.05.31

今年は「国際生物多様性年」、今できることをチェックしませんか〜生物多様性の経済的価値は毎年33兆ドル

『国際生物多様性年』

こんにちは 井之上 喬です。
2010年は国際連合が定めた「国際生物多様性年」(IYB: International Year of Biodiversity)
です。

「生物多様性」とはどのようなものでしょうか? 環境省は、「生きものがもつ、個性とつながり」と説明しています。
また、地球上の生きものは、様々な環境に適応して進化し、3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれているとしています。

今年の10月には、名古屋で生物多様性条約第10回契約国会議(COP10)も開催される予定で、世界規模での地球環境保全活動、生物の多様性の保全活動などの推進が期待されるところです。

莫大な生物多様性の経済的価値

世界各国の企業もCSR(企業の社会的責任)活動の一環として水源地の保全、森林保全などの環境保全活動や生物多様性に関する学校や地域での啓発活動などへ取り組むケースが増えています。

毎年5月22日は国際生物多様性の日として、地球上の多様な生命の存在を祝う日。

WWF(世界自然保護基金)は前日の5月21日に、『「国際生物多様性の日」は緊急の政治的行動を求めている』との記者発表資料を発表しました。

資料では「生物多様性と健全な生態系は人類の福祉と経済を支えている。衛生的な水や大気をもたらし、自然災害から守り、薬品の原料や食料を供給してくれるからである。」

また、「専門家の試算では、世界全体の生物多様性の経済的価値は毎年33兆ドルにのぼるとされる」と、健全な地球環境下での経済的価値の重要性を示しています。

その一方で、このような経済価値があるにもかかわらず、各国政府が政策や行動計画に自然の経済的利益を反映させることは少ないようです。

緊急の政治的行動を起こさなければ、今後、さらなる大規模な生物多様性の損失が起きる可能性が高く、ある転換点を過ぎると生態系が生産力の低い状態に陥ってしまい、回復することが不可能になってしまうだろう、と警告しています。
政府の早急な取り組みは当然ですが、企業や団体、そして私たち一人ひとりも生物多様性を守るための取り組みができるのではないでしょうか?

はく製群に取り込まれないように

国際生物多様性年に合わせ、東京上野の国立科学博物館では「大哺乳類展」が開催されています。

前半の3月13日から6月13日までは「陸のなかまたち」、そして7月10日から9月26日には「海のなかまたち」と題し、地球上にかつて存在していた、そして現在存在している哺乳類に関するさまざまな展示を行っています。

5月のある週末に「陸のなかまたち」に足を運んでみました。その日は雨模様にもかかわらず関心の高さを示してか入場券を求める長い傘の列ができていました。

会場内には、多くのはく製や標本、そして自然を記録した人たちとしてE.T.シートン、ハワイの日系2世W.T.ヨシモト、動物写真家星野道夫に関する紹介コーナーが設けられており、子供から老人まで展示に見入っていました。

なかでも印象深かったのがヨシモト・コレクションを含むはく製群。絶滅の危機にあるホッキョクグマなど大型の哺乳類から、小さなネズミまで多様な陸にすむ哺乳類がまるで生きているかのように再現されていたのには驚きました。

しかし、現実をみると哺乳類の5種に1種は絶滅の危機にさらされていると知り、このまま地球が病んでしまうと、我々人間までがはく製群の中に取り込まれてしまうのではないかと、ぞっとしてしまいました。

地球環境保全の重要性は以前から指摘されていますが、その緊急性についての認識はまだまだ低いように感じられます。
世界的なコミュニケーション・ネットワークを活用し世界中の人々が生物多様性に注目するような、各国レベルでのパブリック・リレーションズ(PR)の取り組みの強化が求められるところです。

最後に会場で配布していたガイドブックの「できることチェック」をご紹介します。

あなたは:

  • 自然のことをよく知るために自然を観察していますか?
  • 生き物のすみかになる草や木を植えたり守ったりしていますか?
  • 海や山では必ずゴミを持ち帰るようにしていますか?
  • 買い物は環境に気を使った商品を選んでいますか?
  • 自然の恵みである食べ物を残さず食べていますか?
  • 飼い始めたペットは最後まで大切に飼っていますか?
  • おうちや学校で水を大切に使っていますか?
  • とった虫は、とった場所にもどしていますか?

皆さんもチェックしてみてはいかがでしょうか。

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