パブリック・リレーションズ

2009.12.14

アジア通信社と中国国内ニュースサイト事業で協業 〜「日本新聞網」について

こんにちは、井之上 喬です。
師走も早いものでもう半ば、皆さんいかがお過ごしですか?

12月10日から民主党の小沢一郎幹事長が、中国、韓国を訪問しました。訪中団の規模には驚かされました。国会議員約140人を含む総勢600人以上の大デリゲーションで胡錦濤国家主席との会談も行われ、メディアの扱いも大きく政権交代を内外に強く印象づけました。

今回の小沢訪中団派遣に見られるように、政治、経済において対中国関係はますます重要になってきています。特に日本の産業界にとって、生き残りのためには中国との関係強化とパイプ作りは最重要。今後産業界は中国との関係強化の動きをより一層加速するものと思います。関係構築活動であるパブリック・リレーションズ(PR)にとって、コミュニケーションはインフラです。今回は経営資源の一つである「情報」の視点から、中国向けの情報伝達について考えてみたいと思います。

中国のネット人口が米国の総人口を超えた

中国のインターネット人口は、2009年6月末時点で米国の総人口を上回る、3億3800万人で世界最大となったことは周知のとおりです(CNNIC:「中国インターネット・ ネットワーク情報センター」7月調査)。過去一年間では約8500万人増加し、なかでもブロードバンド利用者は5100万人増加。速度については2Mbps以下が大半とするものの、その数はインターネット利用者の84.7%にあたる2億1400万人。

インターネット利用者の用途(複数回答)のベスト3は、「音楽聴取」(2億1366万人/84.5%)、「ニュース閲読」(2億620万人/81.5%)、「インスタントメッセンジャー」(77.2%)となっています。総人口に対するインターネット利用率では19.1%と全世界における21.1%に比べればまだ低い水準にありますが、今後、中国政府は2800億元(約3兆9000億円)を投じて2010年内にも3Gネットワークを敷設する計画。インターネット環境の改善とともに、さらにネット人口の拡大が見込まれています。

インターネットの急速な拡大は、中国の経済活動に大きな変化をもたらしています。また2001年のWTO(世界貿易機関)への中国加盟は、まだ耳新しい出来事ですが、WTO加盟により中国の経済成長が後押しされ、中国の実質経済(GDP)成長率はBRICs諸国の中でも飛びぬけています。

内需低迷で将来の成長に不安を抱く日本企業が、この成長市場に注目するのは企業規模の大小を問わず当然のこと。JETRO(日本貿易振興機構)の発表では中国進出日系企業の数は約23000社(07年末現在)。
また、09年4月発刊の「中国進出企業一覧 2009‐2010年版上場会社篇」(21世紀中国総研調べ)によれば、有価証券報告書の提出を義務付けられている国内企業5176社のうち、中国(香港、マカオを含む)に現地法人のほかに、日本本社の駐在員事務所、支店、営業所などの在中ビジネス拠点を持っている会社が1809社あるそうで、日本の有力企業の3分の1以上が中国市場に関っています。

この成長著しい中国市場で欧米をはじめ世界中の企業がビジネスチャンス拡大を目指し、厳しい競争を展開しているのは皆さんご存じのとおりです。こうした背景の中で競争優位性を確保するためには、その情報戦略の中でいかにインターネットを自社に有利に活用していくかという視点が重要となります。中国のような広大な国土面積をもつ市場においてインターネットの有効性は計り知れません。

井之上PRの中国ビジネスへの本格的取り組み

日本企業が大いに注目している中国市場では、中国語という障壁が大きく立ちはだかっています。中国向けの新製品や新サービスを中国の企業人に伝えたいのだがどうすればよいのだろうか?こんな悩みを持った方も多いのではないでしょうか。「優れた技術、優れた製品を作りさえすれば売れる」とする考えは過去の幻想。どんなに良い製品、優れた技術でも、それを使う人に情報が伝わらなければ、その良さは伝わらず宝の持ち腐れになってしまいます。

そこで私の経営する井之上パブリックリレーションズでは、中国市場向けに日本企業の様々な企業情報を中国語で発信するビジネスを開始し、中国ビジネスに本格的に取り組むことを決めました。その手始めとして、12月9日に中国語による情報サイト「日本新聞網」を活用した日本企業の情報配信に関するプレスリリースを配信しました。

井之上PRは、株式会社アジア通信社(東京都港区、徐 静波社長)と連携し、中国語による情報サイトである「日本新聞網」(www.ribenxinwen.com)を通じ日本企業の中国市場向けの新製品、新サービスなどの情報発信、ビジネス・マッチングなど多角的な事業展開について協業を開始します。

日本新聞網の運営はアジア通信社が行い、編集長は、社長の徐 静波さんがつとめます。滞日18年の経験とジャーナリストとして日中関係にかかわってきた貴重な体験を通した独自の視点で日々、日本で起こっている経済、政治のニュースと最新の生活や文化に関するさまざまな情報を中国語で配信しています。

井之上PRは、独立系のPR会社として2010年に設立40年周年を迎えますが、これまで、主に外資系企業とのPRコンサルテーションで培ってきたノウハウが、“PR下手な日本企業”の中国ビジネス展開のお役に立てればと考えています。そのためこの事業立ち上げを機に、社内に「中国事業支援室」を新設。 グローバルなPR実務やコンサルテーションに関わる豊富な経験と実績を生かし、日本新聞網を通じ日本企業の中国市場向けの製品、技術、サービスなどさまざまな情報発信・広報活動の支援を行うことにしています。

中国市場の急激な拡大は、日本企業に大きなビジネスチャンスをもたらしています。政治・社会・制度の異なる中国市場への日本企業の支援を行うことで日中両国の繁栄に微力ながら寄与したい、とコミュニケーションの専門家として考えています。興味を持ってくださった方は、是非、ご意見を頂ければと思います。障壁は高いかもしれませんが、次の世代に向けた新しいビジネスの1つの道筋を示すことができればうれしい限りです。ご期待ください。

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