パブリック・リレーションズ
2008.06.28
PRパーソンの心得23 新しい一歩を踏み出す
こんにちは、井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?
「失敗したからといってくよくよしている暇はない。間髪をいれずその原因究明の反省をして、次の瞬間には、もう一歩を踏み出さなければならないのである」
これは本田技研を世界的企業に仕立て上げた本田宗一郎の言葉です。ビジネスは決断の連続。目標達成に向かって新しい一歩を踏み出すための決断の連続です。
目標達成のための新たな一歩
人は誰でも失敗をします。本田宗一郎はまた、「本当の失敗とは、何もしないことである」として倒産の危機にあっても、持ち前のチャレンジ精神で迅速な問題究明と反省を行い、目標達成のための新しい一歩を踏み出すことで、幾度も危機を乗り越えてきました。パブリック・リレーションズ(PR)的にこれらを捉えるならば、失敗しても自己修正することによって、設定された目標に向かって新たな行動を起こし、前進していくということになります。本田宗一郎のこの精神は、今でもホンダの中に息づいているといわれています。
しかし人は、これまでの習慣や秩序の中に身を置くことに安易になりがちです。組織体や国家の体制においても、さまざまな問題を抱えながらも寛容で現状に身を委ねがちです。「日本人は従順だ」「不条理なことに怒らない」「我慢強い」など、外国人の目で見ると、日本人のおとなしい、支配されやすい国民性は今や興味の対象となっているようです。
これらは日本人の国民性に加え、国民一人ひとりに、明確な目標設定意識が希薄なことに起因しているものと私は考えています。1960年代中頃、日本では新しい経営手法として、目標管理(Management by objectives)が紹介され、自らの明確な目標設定の必要性と、達成のためのプロセス管理の重要性が叫ばれたのはその証左ともいえます。
前進のために決断する勇気を持つこと
いま私達が生きている地球は、グローバル化の中でさまざまな問題を抱えています。政治、社会、経済、環境などあらゆる分野で混沌とした出口のない状態にあります。私たちは一体、どうすれば自分自身を生き抜くことが出来るのでしょうか。
それにはまず、自らの使命を自覚し身を委ね、自分にとっての本当の目標を設定し、設定された目標を達成するための基盤となる判断基準を持つことです。そしてこの基準に沿って前進のために決断する勇気を持つことです。その基準は倫理観。正しい道を生き抜くための処方箋としての確固とした倫理観により、混迷する世の中で、さまざまな事象に惑わされることなく、新しい一歩を踏み出す力が与えられるのです。
失敗した時にも、修正行動によりあるべき場所にたどり着くことができるのは、倫理観をバックボーンとした、心底から納得できる使命や目標があるからです。困難の真っ只中に身を置いている時にも、ゴールがどのような物か明確にイメージできていれば、そこに向かって一歩づつ確実に足を進めることができます。
パブリック・リレーションズに関わる実務家や組織に所属するPRパーソンは、社会の繁栄と平和のために、一歩先を歩きリードする仕事です。刻々と移ろう内外の環境変化に、どのように対応していくべきなのか、自らの使命や役割を常に意識し社会を最良な方向へ導くために、たえず未到の新しい世界へ自ら一歩踏み出していく強い意思と覚悟が必要です。そのように社会に仕えることで、人間としての成長も可能となるのです。