パブリック・リレーションズ

2008.01.11

PRパーソンの心得19 兆候を読みとる

こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか。

未曾有の天変地異、エネルギー・食糧不安、紛争や頻発するテロ活動など、地球規模で様々な問題が噴出しています。前号でもお話したように、世界は今、待ったなしの状況です。

一方で、人間が地球規模で動き回るこの時代。一つの場所で起きた事象が世界中に影響を及ぼし、変化が更なる変化を連鎖的に呼び、いったい次に何が起こるのかが益々読みづらくなってきているのも事実です。
しかしただ何もせずに手をこまねいているばかりでは、状況を好転させることはできません。私たちは来るべき変化の兆候を読みとり、未来への準備をしなければなりません。今、読みづらきを読むことがPRパーソンに求められているのです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」

「風が吹けば桶屋が儲かる」とは、日本に古くからあることわざ。ある事象が起きると、次々と異なった事象が引き起こされ、結果としてバタフライ効果のように思わぬ所に思わぬ影響が出ることの例えです。

兆候を精緻に読み取るには、個々の情報だけでは決して得られないもの、つまり各情報間の連環から生じる新たな情報やそこから推測できる因果関係を導き出すことが重要となります。

現象面での定量的な情報ばかりに気を取られていては、その奥に潜む関連性を見出すことは困難です。風が吹いたら、その風がどこで発生し、どの方向にどの程度吹いたかという事実情報だけではなく、風がなぜ発生したのか、その背景や構造、そして特徴、傾向など、事象の定性的な情報収集と分析にもエネルギーを注ぐべきです。

現代のマスメディアによる情報過多時代には、データを正しく読み取ることの難しさも正確な予測を行う上で妨げとなる要素となります。これには、さまざまな視点を持って異なる情報源からのデータ収集を行い、これらのデータに分析を加え予測の正確性を高めなければなりません。また、信頼性の高い情報を選別する直感力も必要となるでしょう。

これらのプロセスは、予測される新しい課題や問題を抽出し、その対応策を考え実施するイッシュー・マネジメントと同様です。先に紹介した、風と桶屋のことわざで考えるならば、特徴的なことは、係わる全てのパブリックを考慮に入れながら、その事象の原因や因果関係などを統合的に捉えて兆候を読み取る点。つまり、定量、定性的に、さまざまな視点を加えた3次元的な物事の捉え方で立体的に未来を予測する点です。

混迷の時代に先を読む

将来、企業に財政的な負担がかかるような課題や問題を扱う場合、広報担当者やPR会社の実務家はトップやクライアントとの間に意見の相違が生じるケースが出てきます。そのような場合にもカウンセラーとしての役割を担うPRパーソンは、それぞれのパブリックにとって何が適切であるかを焦点に据え、必要とあらば異なった意見を進言しなければなりません。

そのためには何が必要か。パブリックを深く理解すること。内部はもとより外部のネットワークを持つこと。何らかの形でソリューションを導き出す力。それらを相手に伝え説得する能力。自分の立場からできることを即座に実行する行動力です。このような指導者に求められる高度な能力を日々磨いておくことで、説得力を持ったアドバイスが可能となるのです。

混迷の時代に先を読むことにはリスクが伴います。誤った予測に対するリスク回避には、フレキシブルな修正環境を作ること。状況が変化し、予測と進展状況がずれた場合にも潔く修正を行ない、戦略を最適化することでそのリスクを最小限に抑えることができます。

いま世界は混迷を極めています。PRパーソンには、どのような状態においても、強い個を軸に変化の兆候を敏感に読み取り、自らの役割を果たせる環境を創出し、ソリューションを提供することが求められています。大切なことは、個人が確固とした信念の下に日々行動することなのです。

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