パブリック・リレーションズ
2007.04.06
井之上ブログ 開設2周年
皆さんこんにちは。お花見は楽しまれましたか?
パブリック・リレーションズは「個人や組織体が最短距離で目的を達成する手法」。この考え方をできるだけ多くの皆さんと共有し、その輪を広げていくこと。これが井之上ブログを開設した目的です。読者の皆さんに支えられ、この号で2周年を迎えることができました。まことにありがとうございます。
PR理論を学んだ専門家が増加
パブリック・リレーションズを取り巻く環境はこの2年で大きく変わり、ますます追い風になっています。
財界では、頻発する不祥事による組織体の危機を未然に防ぐ危機管理への注目が高まっています。また、時価会計やキャッシュフロー会計の導入、M&A(企業の買収・合併)の活発化によりインベスター・リレーションズ(IR)やコーポレート・ブランディングの重要性が認識されるようなりました。
政界では、安倍政権の下、官邸機能強化の一環として、首相補佐官(広報担当)を設置し広報体制が拡充されたことを受けて、広報やPRについての関心が急速に高まりメディアへの露出度が格段に増えました。
私は、PRの専門家育成が火急であるとの強い問題意識から、3年前より早稲田大学で教鞭をとっています。その受講者の中からPR会社や企業の広報担当者としての道を選ぶ人も出てきています。PR会社へ就業する受講生は、3年前には2人でしたが、今年度は6人へと確実に増加しています。
企業広報の担当者の道を選んだ人の中でも特に印象的だったのは、日本女子大学から単位交換制度を利用して「パブリック・リレーションズ 概論」を受講した学生です。広報担当者1名だけのある大手グローバル企業の採用枠へ、1400倍の倍率という難関を突破し、見事に採用を勝ち得たのです。このように今後、本格的にPRの理論を学んだプロフェッショナルが輩出されていくことでしょう。
一方、PR業界のプロフェッショナル育成も着実に進んでいます。今年9月より社団法人日本パブリックリレーションズ協会( http://www.prsj.or.jp/ )主催による「PRプランナー資格認定制度」がスタートします。
これは基本的な広報知識からパブリック・リレーションズのプロフェッショナルに求められる実務的な知識とスキルまでを評価認定する試験制度です。PR・広報に従事する実務家に対しプロフェッショナルとしての自覚を促し、業界全体のレベル向上をはかり、日本社会へのパブリック・リレーションズの導入を加速させることを主眼においています。
PRは世界平和と繁栄のキー・ファクター
日本を視座にパブリック・リレーションズの果たす役割を考えたときに、パブリック・リレーションズの実務家は、民間レベルにおいては日本企業のグローバル化を手助けする戦略やソリューションを提供し、国家レベルでは国際社会へ向けた強力な情報発信の担い手とならなければなりません。
これらの人材を育てるには確固たるバックボーンを自らの中に確立する教育が不可欠です。
3月30日の朝日新聞に「政府の教育再生会議は学校再生分科会(第一分科学会)で―「道徳の時間」を国語や算数などと同じ「教科」に格上げし、「徳育」(仮称)とするよう提言する方針を決めた―と報じられました。「我が国が培ってきた倫理観や規範意識を子供たちが確実に身につける」と提言された道徳教育。こうした状況に対して主査の白石教授は、「戦前の修身のように先祖返りするのではなく、全体主義になったり、右になったりするわけではない」と強調していますが、その内容は未だ明確に示されてはいません。
パブリック・リレーションズは倫理観を判断基準として、双方向のコミュニケーションを行い、自己修正を図っていく手法。私は、このパブリック・リレーションズを通して「人間の行動規範」を示し、人格のバックボーンとなりうる手法を道徳教育の枠組みのなかに組み込むことが可能ではないかと考えています。道徳教育へのパブリック・リレーションズ導入については後日このブログお話したいと思います。
いま世界は混沌としています。パブリック・リレーションズに対する社会的要請の高まりのなかで、PRパーソンには、グローバルな視座を持ち、内外の諸活動を通して世界の平和と繁栄に寄与することが強く期待されています。
このブログでは、そのような役割を担う実務家や広報担当者、そして将来その道に進みたいと考えている人々に必要な情報や心構えなどを提供していきたいと考えています。
これからも多くのことを皆さんと共有していきたいと思います。また、皆さんの身近にPRに関心を持っている方がおられたら是非このブログをご紹介ください。
今後とも井之上ブログにご期待いただくと共にご支援くださいますようお願い申し上げます。