時事問題

2016.07.14

課題残す初の18-19歳選挙権〜投票率は45.45%、全体投票率を9.25%下回る

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

7月10日に投開票された第24回参院選で私は、様々な争点がある中で特に2つのことに大きな関心を寄せていました。

一つは与党勢力が3分の2の議席を確保するのかどうか、そして二つ目は、今回初めて選挙権を行使する18、19歳の人たちの投票行動についてでした。

周知の通り今回の参院選は、自民、公明両党で改選過半数を獲得。おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党や非改選・無所属議員など憲法改正に前向きな勢力が全体で「3分の2」の162を超えました。これにより憲法改正の国会発議ができることになりました。

高い若者層の自民党支持

参院選での18-19歳の投票率について総務省は11日、45.45%の投票率だったと発表。全体の投票率54.70%より9.25ポイント低い数字となりました。

18歳選挙権を初めて適用した選挙で、与野党は若者層の取り込みと政治への関心を高める取り組みを強化したものの、課題を残す結果となりました。

18歳と19歳別に投票率を見てみると、いずれも女性の方が高い投票率を示しているものの18歳は51.17%(男性49.43%、女性53.01%)、一方、大学生や社会人が多い19歳は39.66%(男性37.31%、女性42.11%)と18歳を大きく下回りました。

18歳と19歳別に投票率が全体よりも低い結果終わった理由について「国政選挙で争点になる経済などの話題は、多くが扶養家族になっている18-19歳にとって縁遠く関心を持ちにくい」と東北大の河村和徳准教授は分析。

また、自民党の稲田朋美政調会長は11日、日本経済新聞の取材に「政治家と意見交換する場を増やすべきだ。学校でも社会の課題について討論する機会を増やし、政治を身近な存在にする必要がある」と語っています。

共同通信の出口調査を年代別に分析すると、18歳、19歳だけでの選挙結果は、与党が約59%で野党が41%という結果でした。

こうした結果を踏まえて民進党の岡田克也代表は、参院選直後の10日夜、「自民党支持の若い人が増えていることは間違いない。アプローチが十分でなかった」と述べ、初の18歳選挙での敗北を認めたようです。

そして、与野党がともに課題としているのが選挙情報の発信手法。自民党は動画を積極的に活用し若者に対し分かりやすい発信を続け、候補者ごとの紹介動画を作り公式ツイッターで拡散。民進党もツイッターのほか無料通話アプリ「LINE」も活用し、登録者に街頭演説の案内などを発信し、若者に投票を呼びかけるなどしています。

しかし、SNSなどの有効活用については相変わらず試行錯誤状態が続いているようです。こうした面では私たちパブリック・リレーションズ(PR)専門家の知見が、大いに役立つはずです。

18-19歳の都知事選での投票行動は? 

さて参院選に続き首都東京では都知事選挙が行われます。今日14日は、東京都知事選の告示日です(31日投開票)。与野党の主要候補が、告示直前の12日に出そろい、選挙戦の構図がほぼ固まった様子です。

17年ぶりの分裂選挙となる自民党に対し、民進党も有力候補が二転三転。都議からは党本部主導の決め方に不満の声が高まるなど各陣営とも火種を抱えたまま首都決戦が始まろうとしています。

東京都の人口は約1,361万人(2016年1月1日現在)で有権者は1,127万人となります。この中で、18歳人口は約10万3,200人で19歳人口は約11万3,400人、合わせて21万6,600人を数えます。

参院選の反省を踏まえ与野党が21万を超える18-19歳有権者に対してどのような選挙活動を展開するのか。そして、次代を担う若い世代の投票率や投票行動にどのような変化が見られるのか、ウオッチしていきたいと思います。

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