時事問題
2013.09.19
東日本大震災、福島第一原発事故を風化させない!〜汚染水対策に自衛隊投入と大型タンカーの活用を
皆さんこんにちは井之上喬です。
先週末はせっかくの三連休でしたが大型の台風18号が日本に上陸、各地に大きな被害をもたらしました。被災された皆さんに、心よりお見舞いを申し上げます。
テレビでは京都の名勝地嵐山の様子を何回も映していましたが、これまでに経験したことのないような大雨で、今にもあふれだしそうな桂川の水の勢いは想像を絶するものでした。その映像を見ながら脳裏をよぎったのは福島の東京電力福島第一原発の汚染水問題でした。
オリンピック招致活動に影を落とした福島第一原発汚染水問題
東日本大震災そして東電福島第一原発事故発生から2年半が経過し、地元からは一向に進まない復興作業への不満とともに、東日本大震災の風化を懸念する声が高まっています。
そのような状況下で「フクシマ」をクローズアップさせたのが、皮肉にも2020年の東京オリンピック招致活動でした。
東京は2020年のオリンピック招致レースをスペインのマドリード、トルコのイスタンブールと争いましたが、都市基盤が整備されていること、治安の良さなど安全、安心面とともに財政力をアピールし優位な戦いで最終コーナーを迎えていました。
しかし、IOC総会直前になって福島第一原発の汚染水問題が「メルトダウン以来の最大の試練」(ウォールストリートジャーナル)などと海外メディアでも大きく取り上げられ、オリンピック招致レースの大きな懸念材料に浮上しました。
最終的にはIOC総会で安倍晋三首相が最終演説の中で福島第一原発の汚染水問題に触れ、「状況はコントロールされている。汚染水による影響は福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内でブロックされている。今後も東京にダメージを与えることはない。私が保証する」と明言し福島第一原発汚染水問題の不安を一掃し、結果的にオリンピック招致レースで圧勝しました。
汚染水対策はいわば首相自らがその解決を保証し、自らの「国際公約」として世界に責任を持ったのです。
しかし、9月14日の朝日新聞朝刊トップ記事に見られるように、安倍首相の発言に対し、東電の山下和彦フェロー(技術顧問)は「想定を超えてしまうことが起きているのは事実。今の状態はコントロールできていないと考えている」と述べ、福島第一原発の汚染水対策問題での迷走ぶりを露呈しています。
また、現場は被爆線量の問題もあり人員が足りないとの報道も流れています。
問題解決に大胆な発想と決断を
政府は、9月10日に平成25年度予算の予備費約205億円強を支出し遮水壁の整備と多核種除去設備を整備することを閣議決定しました。
合わせて「廃炉・汚染水対策チーム」(チーム長:茂木経産相)を設置し追加対策をまとめるとともに、いまさらながら海外メディアへの情報発信の仕組みも整えるとしています。
しかし、いま政府には安倍首相の「国際公約」を早期に実現するための英知が求められています。
そこで私からの提案です。まず、自衛隊の投入です。
「野戦病院のような状態」(東電相沢副社長談)の福島第一原発の汚染水対策を、東電任せではなく政府が本腰を入れるのであれば、早急に相当規模での自衛隊の投入を決断してはと考えます。
自衛隊が一企業のために?など様々な問題点もあるかと思いますが、元来福島の現在の状態は民間企業一社で解決するレベルをはるかに超えています。
戦後自衛隊は、全国で地震や水害などが起きると必ずと言っていいほど現地に派遣され復旧に力を貸していました。1959年の伊勢湾台風、1964年の新潟地震、そして1995年の阪神・淡路大震災など自衛隊が災害などの復旧で果たした役割は計り知れません。
また組織内には、対応にあたる人員はもとより多くの経験と知見が蓄積されているはずです。
今こそ放射能汚染の専門部隊も持つ自衛隊を福島第一原発汚染水問題対策に投入すべきではないでしょうか。
また、汚染水の保管を東電敷地内に設置していますが、急場しのぎのタンクのようで、あちこちで汚染水漏れが始まっています。1日400トン増える汚染水を保管するタンクが敷地内で一杯になるのは時間の問題。
設置後まだ数年しか経っていない段階でこの状況となっており、今後、汚染水漏れが次々と起こり処置不能になることも想定しなければなりません。
汚染水タンクは現在1000基あり、試算では2016年末までに原子炉の冷却水と地下水で160万トンの汚染水が出ると予測されています。タンクの容量は1基1000トンで1600基が必要になる計算になります。
政府は汚染水処理対策委員会を開き対応を検討しているようですが、思い切り発想を変えて、タンク汚染水の保管に今のフランジ型タンクではなく、例えば大型の50万トンクラスのタンカーを活用してはどうでしょう。
1日400トンの汚染水をタンカーに移し、そこで放射能を除去し、分離された真水は海洋に廃棄(厳格な検査による)、固形化された高濃度放射性廃棄物は陸地の中間処理施設に持ち込む。この工程をタンカー内でシステム化します。
Wikipediaによれば大型タンカーは船体全部がダブルハル(二重船殻)構造になっているようですが、船倉での汚染水漏れが起きないよう十分な対応をします。
係留場所やタンカー自体の維持費などクリアしなければならないハードルもあるかと思いますが、今の陸上のタンク方式に頼ることには限界があるなら、こんなアイディアもあるのではないでしょうか。
国際レベルでさまざまな英知を結集し福島第一原発汚染水問題を解決する。それなしに2020年の東京オリンピックの成功はないと思うのです。