時事問題

2011.11.14

地球規模の課題、世界人口が70億人を突破 〜食糧やエネルギーなど、このまま膨れるとどうなるのか?

寒さを感じるようになりました。皆さんお元気ですか、井之上喬です。

10月31日に「世界人口が70億人を超えた」と国連人口基金(UNFPA)から発表されました。これにともなって31日に生まれた赤ちゃん全員を「70億人目」と認定し、日本ではUNFPA日本事務所から認定証が発行されることになりました。全世界で21万人の新生児が認定されたと推計されます。

厚生労働省の「人口動態統計」によれば日本での2009年中の出生数は107万35人。実際の一日当たりの出生数は日によって大分異なるようですが、これを365で割って一日平均を算出すると2,931人となります。日本では約3,000の新生児が「70億人目」と認定されたことになります。

今世紀末に世界人口は100億人を突破

世界人口は1950年代から急激に増加しています。UNFPAが発行している世界人口白書によると、世界の平均寿命は1950年代の48歳から現在は68歳に伸び、医療技術の進歩は乳児死亡率を出生1,000あたり133から三分の一の46に減少させたと報告しています。

1800年代初頭の世界人口は10億人でした。120年の時を経て1927年には20億人に達しています。世界人口が30億人に達したのは59年で、74年に40億人、87年には50億人、1999年には60億人を突破しました。

1804年から1927年まで世界人口が10億人増加するのに120年かかっていました。しかし、1987年以降は恐ろしいほど加速され、10分の1の12年ペースで10億人が増加しています。

これからは先進国を中心に少子化が進み、人口増加のペースは緩やかになるものの、UNFPAは今世紀末に世界人口は100億人に達すると推計しています(下図参照)。

また、世界人口白書では60歳以上の人口は現在の8億9,300万人(全体の13%)から、2050年には24億人(同26%)となり、世界的にも老齢化が進むとしています。

世界人口の急増は、医療・保健基盤の強化や飢餓・貧困からの救出など世界を健康で豊かな社会へと導くさまざまな努力の成果といえる半面、70億人を支える水や食糧、エネルギーを今後どのように確保し、分配するかといった地球規模の課題も浮上しています。

課題解決先進国日本の役割

2021年にはインドの人口は14億人に達すると推計され、「一人っ子政策」を掲げる中国を抜いて人口世界一となる可能性があります。
インドでの今年度の国勢調査によると人口12億人のほぼ半数は24歳以下の若年層で構成されています。2021年には何とも若い世代で構成される世界一の人口大国が誕生しそうですね。

インドと対照的なのが人口の減少傾向と老齢化が進行する私たちの日本。有効な少子化対策が施されなければ長期的にみて日本の総人口は、2050年頃から1億人を割り込み、2100年には6,250万人程度になると推計されています(人口問題研究所データ)。

年齢別でみると2010年では65歳以上の高齢者が総人口に占める割合が23.0%でした。2050年になると35%を超えると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所)。なんと2.8人に一人が65歳以上ということになります。

私のブログ(2011年6月6日)でも紹介したように、この地球では環境問題やエネルギー問題、人口問題、核拡散問題などさまざまな問題が噴出しており、これらの課題をどのように解決していくか人類の叡智が求められていると思います。

世界が抱える課題に対して日本は、課題解決先進国としてそのソリューションを提供しうる多くの経験を重ねてきています。
日本ほど急速な高齢化社会を迎えている国は世界にありません。国の人口の増減は国力、産業構造、ライフスタイルなど経済や産業、文化、そして日常生活などのあらゆる面に影響を及ぼします。この面でも日本は、世界の範となる高齢化社会モデルを打ち出すことができるのではないでしょうか。

地球上の人類の営みがどの程度の人口まで許容できるのか分かりませんが、人口増加が前提になっている、現在の経済成長モデルから人口減少社会でも人々が享受できる高齢化社会型の新しいモデル開発に取り組む意義は大きいはずです。

野田総理は先週末(11/11)、ハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前にTPP交渉参加について「関係国との協議に入る」と微妙な表現ながらも参加方針を表明しています。

このTPP交渉参加についても、人口問題や50年後には確実に訪れる超・高齢化社会を見据えた視点からの議論があってもよいのではないかと思います。
私事になりますが10月から「国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会」(座長:藤田幸久財務副大臣)のメンバーにパブリック・リレーションズ(PR)の専門家として参画しています。

高齢化社会モデルづくりといった国家的プロジェクトのなかでも、私たちPR専門家の果たす役割は大きいと考えています。

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