時事問題

2010.11.29

「売れ過ぎてすみません」 〜販売予測が大幅に外れた理由は

こんにちは、井之上 喬です。

「売れ過ぎてすみません」。これは、11月26日の日経MJ(日経流通新聞)の1面トップの見出しです。
紙面では、販売好調なため供給が追いつかず、販売休止や出荷調整に追い込まれた3つのヒット商品を大きく紹介しています。久々に読者を元気にする内容の記事で溢れていました。

予想がはずれたヒット商品

1つ目の商品は、日清食品が8月16日に近畿地区限定で発売した「日清カップヌードルごはん」(カップヌードル味とシーフード味の2種)。

出荷数量が当初目標の約2倍となり発売から5日目には販売休止を発表。9月27日にはカップヌードル味のみを販売再開しました。

2つ目はライオンが1月20日に発売した衣料用液体洗剤「トップナノックス」。
従来の液体洗剤の2分の1の量でナノ(10億分の1)メートルレベルまでの汚れを落とすという商品。注文は想定を上回り、エリア特性や販売実績を基に出荷調整したものの一部で欠品もでる人気。

3つ目の商品は、三洋電機が11月11日に発売した「GOPAN(ゴパン)」で米粒をペーストにしてパンを作る世界初のホームベーカリー。

7月に10月からの発売を発表したところ、注文が殺到したため11月に発売を延期。それでも注文数はうなぎ登りで予約受付の一時中止を決めたといいます。

これら3つの商品以外にも「販売休止・発売延期や店頭で品薄になった主な商品」のリストでは次のような商品を紹介しています。

桃屋の調味料「辛らそうで辛くない少し辛いラー油」(発売:09年8月)、永谷園の即席みそ汁「1杯でしじみ70個分のちから」(同09年9月)、ロッテのアイスクリーム「ザクリッチ」(同10年3月)、キャドバリー・ジャパンのガム「ストライド」(同10年5月)、サントリーのビール風味飲料「オールフリー」(同10年8月)、エステーの防虫剤「かおりムシューダ」(同10年8月)。

ソーシャル・メディアの影響力

普段は、なぜ売れないのか、どうしたら売れるようになるのかと頭を悩ます開発、マーケティング担当者。
日経MJの記事からは、販売予測がものの見事に外れ、大売れしたことに対して各社の担当者が真剣に反省し、その要因について語っている様子はいつもと違い、読んでいて楽しくなります。

「カップヌードルのブランド力が消費者を引き付けた。」(日清食品)、「CM内容も、におい汚れまで落とすナノ洗浄を強調する科学的なものにした。」(ライオン)、「商品の独自性に加えプロモーションの効果が大きかった。」(三洋電機)と、それぞれの担当者はその勝因を分析しています。

そして3つの商品の好調な売れ行きに共通して関係しているのがインターネットやソーシャル・メディアの影響力です。
「エリア限定の希少性もありネット・オークションにも登場。」(日清食品)、「消費者に現品を試してもらい、ブログに載せてもらった。」(ライオン)、「ブログやツイッターでも大きな話題となった。こうした消費者の反応に接したバイヤーが売れると確信し、思った以上の発注につながった。」(三洋電機)という分析のなかに、その影響力を計ることができます。

最近、私の経営する会社(株式会社井之上パブリックリレーションズ)の社員からこんな話を聞きました。
先月、米国パブリック・リレーションズ協会(PRSA)の総会に出席した彼の友人が、「アメリカのPR会社は『プレス・リリースのマルチメディア化』を推進していて、YouTubeやtwitterなどのメソーシャル・ディアを複合的に活用している姿勢には目を見張るものがあった」といった趣旨のことです。

日本においてもメソーシャル・メディアは、特に、BtoCのマーケティングPRにおいて大きな影響力をもつようになりました。

ソーシャル・メディアをパブリック・リレーションズ(PR)の新たなコミュニケーション・ツールとしてもっと研究を深め、PR戦略の構築に活用していくことが、今後、ますます重要となってきます。

 

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