時事問題

2010.06.07

菅新政権誕生で期待される骨太の成長戦略

こんにちは、井之上 喬です。

鳩山内閣が6月4日に総辞職し、同日新首相に菅直人氏が指名されました。

鳩山首相の在任262日は現行法制下では5番目の短命で、祖父の鳩山一郎氏の745日に届きませんでした。

「政権交代」の錦の御旗のもと圧倒的な数の優位性を持ってスタートした民主党政権でしたが、政治とカネの問題や沖縄問題などで迷走し、国民の期待と信頼を裏切る結果になってしまいました。

後継の菅新首相には、国民、そして海外の信頼回復に待ったなしで取り組んでもらいたいものです。

産業界も今、新興国の台頭や世代交代などで大きな転換期を迎えています。

民主党政権が具体的な成長戦略を描けないまま、日本企業は激化する世界規模の競争の中でもがき苦しんでいるような感じがします。

「産業構造ビジョン2010」

6月1日に経済産業省は、日本の産業競争力強化に向けた「産業構造ビジョン2010」案を公表しました。政府が月内にまとめる予定の『新成長戦略』の骨格になります。

それによると、日本経済を再び成長軌道に乗せるため、原子力発電所や鉄道などのインフラ輸出、次世代自動車など環境・エネルギー産業、医療・介護・健康・子育てサービス、ファッションやコンテンツなどの文化産業、そしてロボットや宇宙などの先端分野の戦略5分野での市場創出を謳っています。

この5分野により、新たに2020年までに149兆円の市場創出と、約258万人の雇用の確保を目指しているとしています。
その目標達成のために、企業の買収・合併を容易にする会社法の見直しや法人税の引き下げなど、制度改正の必要性も盛り込まれています。

最近の日本企業の業績を見てみると、リーマン・ショックからの立ち直りの兆しを見せてはいるものの、欧米そして韓国企業などに比べると回復カーブの角度は鈍いですね。

特にハイテク関連では、海外企業が連続して過去最高の四半期ベースの業績発表を行っているのに対し、日本企業には、円高や価格競争に巻きこまれ苦戦する様相がみられます。

好業績をあげている、ある外資系ハイテク企業の経営陣にその理由を尋ねると、「他社との差別化製品をいち早く市場投入できたこと、中国やインドなどの新興国での販売が好調だったこと」を挙げていました。

まさに日本企業が苦戦している原因はこのあたりにあると思いませんか。製品開発で後手に回り、避けては通れない新興国での販売ではライバルに後れを取っている、これでは業績回復も鈍いはずです。

「リスクを取らない」、「スピード決裁ができない」企業側の問題もさることながら、日本の産業がもがき苦しんでいる今こそ、一刻も早く、明確で統合的な国家支援政策を打ち出すことが新政権には期待されています。

半減した、働く若者。

菅首相が誕生した6月4日の日本経済新聞朝刊にちょっとショックな記事が掲載されていました。

見出しは「働く若者 10年間で200万人減」という記事でした。ご覧になった方も多いかと思いますが、15歳から24歳の若者のうち、職に就いている人が2009年は約515万人で10年前に比べ約200万人減少したとのこと。

何と高度成長期に比べるとほぼ半減だそうで、この数字には正直驚きました。その一方でフリーターの数は6年ぶりに増加したとのことです。

働く若者が減った理由としては、少子化、高学歴化とともに雇用回復の遅れを挙げています。

そして、働く若者が減り続ければ社会から活力が失われ、日本経済にボディブローのように影響してくると警告しています。

まさにこの記事の通り。若者が生き生きと働けない国に成長などありえません。

日本はいまでも、世界に誇れる優れた技術、文化、人材などを持っていると確信しています。ただ、これらが国内で活かせないとなれば、世界に、グローバル市場に足を踏み入れ参入しなければなりません。

そのためには新しい発想とスピードを伴った行動が必要になってきます。勝負はこの3年から5年。まさにパブリック・リレーションズ(PR)の出番です。

今こそ国を挙げて「新生ニッポン」について考える時ではないでしょうか。

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