時事問題
2010.09.16
菅氏が民主党代表に再選 〜求められる強力なリーダーシップ
こんにちは井之上 喬です。
9月14日、民主党代表選挙が臨時党大会で行われ、菅直人首相が小沢一郎前幹事長を大差で破り、再選されました。9月1日に告示された、2人の激しい戦いは最終的に菅氏が制しました。
国会議員など3つのグループによる、ポイント制で行われた投票結果は、国会議員が菅氏、小沢氏それぞれ412(206票)、400(200票)、同じく地方議員は、菅氏60(1360票)、小沢氏40(927票)また、党員・サポーターでは、菅氏249、小沢氏51となり、合計は菅氏が721ポイントに対し小沢氏は491ポイントと数字の上では菅氏の圧勝に終わりました。
しかしよく分析すると、党員・サポーター票については「総取り制」のために、ポイント差では菅氏が小沢氏の約5倍であったのに対し、得票差では1.5倍(約6対4)。全体の得票数でも、「政治とカネ」の逆風の中で6対4と小沢氏が善戦していたことが判ります。
「日替わり弁当」のリーダー交代
民主党代表選は98年4月の結党以来、今回の菅氏再選までの12年5カ月の間で、7回行われたことになります。
国政選挙の敗北やスキャンダルに巻き込まれたり、また任期途中に代表が辞任するなどその変遷のさまをみていると、民主党と自民党には共通点がみられます。
日本を変えるにはまず、日本の政治風土を変えることが必定といえます。
それにしても、日本の首相はなぜ日替わり弁当のようにころころ変わるのでしょうか。
新代表が選出される前の9月12日の朝日新聞(朝刊)には、次のような見出しで欧米の有識者が日本の首相交代の頻度の異常さを憂慮していることを報じています。
「短命政権 世界も憂慮:日本の指導者交代にめまい 首相の権限弱い」とするヘッドラインで、「経済大国日本の機能不全は、世界にとっても好ましい事態ではないとの思いが広がっている」としています。
そして、日本研究の大家とされるオックスフォード大学のアーサー・ストックウイン名誉教授の、「昨年の政権交代は日本の民主主義にとって非常によい転機だった。私個人としては2人のどちらが勝てば良いとはいえない。問題は選挙後に握手できるかどうかだ」とそのコメントを紹介し、選挙後に菅、小沢両陣営が分裂することなく挙党態勢で、国政にあたるべきことを論じています。
緊急経済対策を
さっそく菅氏勝利のニュースを受け、東京外国為替市場では円が急騰。NY市場では一時、1995年5月末以来の1ドル82円台に突入しました。
新政権にとって最優先課題は、円高、株安など日本経済を弱体化させている環境を早急に変える緊急経済対策。
成長戦略を策定し、その実行に弾みをつけることは言うまでもありませんが、「雇用の確保」のためにも日本企業の競争力強化のための政・官・民が一体となった対応が強く求められています。
とくに、日本の産業を支えている中小企業への金融支援などは待ったなし。お金は、人間の体でいえば血液。しかしながら日銀がいくら通貨量を増やしても、経済環境が劣悪な中で、これら中小企業へ資金が回らなければ企業生命に支障をきたすことは明白です。
企業生命を維持するための思い切った方策を早急に講じるなど、政治の強いリーダーシップが期待されています。
今回の民主党代表選で感じたことは、個人や組織体にとって、イメージがいかに重要であるかということです。
小沢氏の敗因は、長年にわたって醸成されてきた「小沢一郎」のブランドが、「政治とカネ」、「密室を好む古い体質」、「剛腕」などのマイナス・イメージにあったといえます。
多くの国民は、連日報道されるニュースでその人を理解しようとします。メディアを意識し過ぎポピュリズムに走ることは避けなければなりませんが、自分のイメージはメディアを通して形成されていることを自覚することもリーダーにとっては大切なことといえます。
パブリック・リレーションズ(PR)はそのソリューションを提供することができるのです。