交遊録

2009.11.09

「日本黒龍江省経済文化交流促進会」が設立 〜日中の真の友好関係とは

こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか。

先日、日中経済文化の発展と交流を促進するために設立された「日本黒龍江省経済文化交流促進会」の設立祝賀パーティーに招待されました。この団体は特定非営利活動法人で、在日黒竜江省人を主要メンバーとして組織され、黒竜江省と日本との文化、経済分野の交流を促進することを通じて、黒竜江省と日本の民間人の友好交流を目的に設立されたものです。

私と黒竜江省との関係は、大学の先輩でもあり、元NEC専務の島山博明さんの紹介で、島山さんの友人の何治濱(同交流促進会理事)さんと出会ったことに始まります。何さんは20年前に奥様と幼い娘さんの3人で来日し、東京大学大学院で経済学を学び、同大学から経済学博士号を授与され、日中間のビジネス発展のために東奔西走している方です。

このたび、何さんの強い要請もあり島山さんと一緒にこの交流促進会の顧問を引き受けることになりました。

日本と関係が深い黒龍江省

黒龍江省は東北地区の最北部に位置する人口3800万人の省。旧満州国(黒竜江・熱河・吉林・遼寧・興安)の中でも北部はアムール川(黒竜江)をはさんでロシアと国境を接し、日本人には戦前からなじみ深いハルビンが省都です。

黒竜江省は日本の若者の間ではあまり知られていないようです。省都ハルビンは明治時代に伊藤博文が暗殺された(1909年ハルビン駅で)ところとして歴史に名を刻んでいますが、1300年前は当時の渤海国が日本と交流していました。日本の高齢者の間では、戦前日本の満州開拓団が切り開いた場所としても一定の知名度があるところです。

地理的にも日本に近いことと、旧満州国であったことが関係しているのか分かりませんが、黒竜江省からの日本滞在者は、お隣の遼寧省(大連のある)に次いで二番目に多く約6万人。日本黒龍江省経済文化交流促進会の理事長、陳立新さんは日本には20年近く滞在し、自ら日中間の医療機器の輸出入会社を経営する女性です。

会場には陳さんのように、日本でITソフトウエア会社や日本語学校などを経営する人など、さまざまな黒竜江省人が集まっていましたが、彼らは将来、同省と日本との間の広範な文化、教育、芸術、スポーツを通した交流や日本からの観光客の誘致促進、また同省にある豊富な天然資源の共同開発などで日本との強いパートナーシップを期待しています。

良好な相互補完関係の構築・維持

日中関係の歴史は2千年に及びます。その間さまざまな形で交流関係を築いてきましたが、中国は漢字や仏教、儒教など日本社会の精神的インフラストラクチャーに多くの影響を与えてきた隣国といえます。

近年の中国の経済成長には目を見張るものがあり、先日発表された国内総生産(GDP)の成長率は、景気回復が遅れている日、米、欧など他の先進国の成長率をはるかに上回って世界の牽引車として注目を浴びています。中国国家統計局が10月22日発表した2009年第3四半期(7?9月)の国内総生産(GDP)の速報値によると、中国の実質成長率は前年同期比8.9%。また、中国のGDPは、2009年にも日本を上回り、世界第二の経済大国にとってかわることが予測されています。

かって世界の工場といわれた日本のものづくりの拠点は中国へ移転し、産業の空洞化が叫ばれて久しい日本にとって、今後成長著しい中国とどのように付き合っていけばよいのか総合的に考える時期に来ているといえます。

真の友人として中国と正面から向き合うためには、両国の歴史認識を共有し、未来に向かって両国が双方の国民および世界に対してどのような貢献ができるかを一緒に考えなければなりません。とりわけ13億人の国民を豊かにする目標を掲げる、中国の経済成長過程で発生するであろう環境問題は、両国間の枠組みを超えたグローバル・イッシュ。

両国が同じ土俵で競争することは、避けられないとしても、できる限り相互補完関係を作り出すことが必要と思われます。高度成長の下で置き去りにされがちな公害問題やCO2などの環境問題解決のための諸技術や自然災害への対応技術など、日本が中国にはない付加価値性の高い商品やサービスの提供と開発を行うことは極めて重要といえます。つまり日本がこれまで培ってきた一流の制度や技術そして人材を有効に使い相互の補完関係を構築・維持することが重要だと思うのです。

13億人の民を食させることは大変なことだと思います。20年前と比べても、中国の民主化が少しずつ進んでいることは感じ取れますが、中国が巨大な経済力を持ったいま、更なる民主化を推進することが世界の平和と繁栄につながることを世界の多くの人は知っています。

このブログの2009年9月7日号にも紹介しましたが、パブリック・リレーションズ(PR)は民主主義社会でのみ力を発揮します。それゆえ、中国でのパブリック・リレーションズの進展は、私たちプラクティショナー(実務家)にとって関心の高いテーマとなっているのです。

書籍

注目のキーワード
                 
カテゴリ
最新記事
アーカイブ
Links

ページ上部へ