交遊録

2008.09.20

70歳の起業家三澤千代治さん〜200年住宅HABITAが本格稼動

HABITA

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

皆さん「200年住宅」ということばを聞いたことがありますか?これは長寿命住宅のことです。従来日本では住宅の寿命は30-35年とされ、十分に住める家屋でも取り壊し、立て直しするのが常識となっていましたが、近年の地球温暖化の影響で、資源の無駄遣いをやめできるだけ地元で生産し、地元で消費する「地産地消」の考え方が浸透するようになってきました。

「使い捨てをやめて資産価値のある住宅に」という200年住宅の考え方で、新しい日本の住まいのブランド「HABITA(ハビタ)」を推進している人は三澤千代治さんで元ミサワホーム社長。その後ミサワホームを離れ、2004年にMISAWA International株式会社(ミサワ・インターナショナル)を設立し、70歳のベンチャー企業社長として、誰でも家を持つことができる社会の実現のために、200年住宅の普及のために休むことなく、日夜仕事に励んでいます。

そのミサワ・インターナショナルが、3タイプのHABITAモデルハウスを完成させ、9月13日から15日の3日間、「さんぶの杜(千葉県山武市)」で一般に初公開されました。

業界初、超長期住宅先導的モデル住宅

200年住宅ブランドHABITAの語源はHabitationで「(快適な)住まい」。今回発表したHABITAモデルは、「岩瀬牧場」、「SORA・MADO」、「出居(でい)民家」の3タイプ(写真左から)。柱はこれまでのものより一回り太い5寸角の国産材。柱、梁の骨組みは仕上材で覆わず、そのまま骨組みを見せる「現(あらわ)し」構造。強度維持のための集成材の使用や真壁での外壁通気工法による耐久性など数々の優れた特性を有しています。

200年住宅の考えは、福田首相や国土交通省による超長期住宅の実現に向けた取り組みを加速させ、HABITAは今年7月、国土交通省の「第1回・超長期住宅先導的モデル事業」に選定されました。今回の発表は、その具体的なものとしては業界初。

三澤さんが200年住宅を目指す最大の理由が地球環境問題。30年余りでとり壊されてきた日本の住宅の耐用年数が 約6倍に伸びることで、森林の乱伐を防ぎ、省資源、省エネルギー、に効果を発揮し、産業廃棄物も大幅に削減できます。また、木材は加工された後も焼却などしない限り、 CO2を固定しつづけます。木造住宅がCO2を貯蔵する第二の森と言われる理由です。200年住宅はサスティナブルな循環型社会に貢献できるからです。

「HABITA」は、三澤さんがアメリカの200年住宅に啓発され、世界160地方、国内344ヶ所の古民家に学び、国産の大断面木構造体を核とし、新しい技術で日本の住まいの在り方を変える住宅として、強力に推進されています。

400年周期で変わる様式

三澤さんは、現在は日本の住宅様式が変わる重要な時期と主張しています。その理由は、日本の住宅の歴史を400年周期でとらえているからです。「最初は西暦0年頃、竪穴住宅から床高式に変わり、その後400年ごとに、寝殿造り、武家(書院)造り、そして1600年頃から現在の数寄屋造りと変化し、新しい節目となる2000年は、環境問題への配慮から住宅様式が変わる」といいます。つまり21世紀初頭の今は、日本の住まいが大きく変わる節目にあると言っているのです。

200年住宅の発想は、三澤千代治さんがミサワホーム社長時代の1976年、建国200年祭のアメリカで見た建国以来の住宅がきっかけとなったようです。その時、使い捨て同然にされている日本の住宅との質の差に愕然としたといいます。

HABITAは、古民家に見られるポスト&ビームの木構造を採用。近年、古民家再生が活発になっていますが、これも柱と梁を等間隔に配置した簡素な間面(けんめん)の構造が要因といわれています。30年ごとに改修工事をし、100年前後に一度再生工事を行ない、それを繰り返します。200年の超耐久性には、古民家再生に学び、そのつくりをHABITAの木構造に採用しているとされています。欧米のように、住宅を資産とするコンセプトです。

HABIITAのビジネスモデルは、日本で初めてパネル工法を本格導入した三澤さんならではの斬新なものです。これまでの住宅より30%程度安い価格で建てられるモデルの特色は、1)地域工務店との連携による住まいづくり 2)地域の工務店、不動産業者、設計事務所が連携する住宅事業の再構築 3)国産材など地産地消(地材地建)で地域経済の活性化を図り 4)原価公開による正価販売、などから成り立っているようです。

三澤さんは、日本人は生涯8回住まいを変わると分析しています。現在、超長期(100年)の住宅ローンの実現に向けて関係各方面と折衝していますが、「超長期ローンの実現により、支払ローンは3,000万円ローンで毎月15万円弱、1,500万円ローンで7万5千円ほどで、誰もがふんだんに木を使った天井の高いがっしりした家に住むことができる」とその思いを語っています。

29歳でミサワホームを起業し、わずか4年で、当時史上最短、最年少で上場を果たした三澤さん。先進諸国と比べ、日本の住宅事情は劣悪と言われています。

HABITAのコンセプトは「家・人・歴史・環境」が抱合されたもの。すべての人に、豊かな住環境が与えられる日本であってほしいと、三澤さんは今日も全国を駆け巡っています。

最後に、ミサワホームの創業以来、40年を超えて住宅の普及につとめた三澤社長は、今回のモデルハウス公開に当たって次のように語っています。

「この度、地球環境や歴史・文化を内含させた、新しい日本の住まいのブランドとして『HABITA』構想を描き、超長期住宅の一つのかたちとして提案させていただくことになりました。その重要性をご理解いただき、多くの方々に支持されることを願っています」。

三澤さん、これからも健康には留意されてください。一人でも多くの日本人の幸せの実現のために、はたらくことができますようお祈りいたします。

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