パブリック・リレーションズ

2005.04.11

最短距離での目的達成を可能にするパブリック・リレーションズ

「パブリック・リレーションズ(PR)とは、個人や組織体が最短距離で目的を達成する、『倫理観』に支えられた『自己修正』と『双方向性コミュニケーション』をベースとしたリレーションズ活動である」

これが、専門家として30年以上の経験から得た私なりに端的に言い表した定義です。パブリック・リレーションズの定義は数多くありますが、このブログでは、パブリック・リレーションズに接したことのない方にもわかりやすく理解していただくために、敢えて私の定義を紹介することにしました。

パブリック・リレーションズ(Public Relations=PR)という言葉は、20世紀初頭、米国で登場したといわれています。以降、時代の変遷で、その意味合いや手法は変化してきましたが、米国や英国などアングロサクソン諸国では、企業を始め、政府や地方自治体、学校などの教育機関、国連や世界銀行などの国際機関など実に多方面に浸透し、実践されている手法です。

パブリック・リレーションズのパブリックは一般社会を指しますが、組織体の設定する目的によってターゲットが変わります。たとえば、株式上場の場合はインベスターでインベスター・リレーションズ(IR)、コミュニティとの関わりは(コミュニティ・リレーションズ)、政府への規制緩和等の働きかけはガバメント・リレーションズといった具合に、目的に応じてターゲットも変わり、その関係醸成の戦略や内容も変化します。この様に、多様なパブリックから選択したパブリックをターゲットとし、それらとの関係(リレーションズ)の総体をパブリック・リレーションズといいます。

パブリック・リレーションズの生命は、高い「倫理観」に支えられた「自己修正」と「双方向性コミュニケーション」です。倫理観がなければ、関わる人々すべてにとって良い方向(WIN-WIN)へ導くことはできませんし、戦略を作り上げる過程で、発信した情報に対するフィードバックを行い、誤りを見つけ修正したり、より良い物を吸収する姿勢がなければ、目的を達成するための最適な環境を継続的に作ることができないからです。

世界のさまざまな定義

私が編集した本、「入門・パブリックリレーションズ」PHP研究所, pp38 (2001)に載せた定義
「パブリック・リレーションズとは、自由競争が可能な民族国家や地域で、ツーウェイコミュニケーションに基づいて、倫理観と哲学を持ち自己修正能力のある情報発信者が、公共の利益に沿って社会的に有意義で調和ある行動でグッドウィル(信頼・好意)を醸成しマネジメント・ファンクションとして統合的に調整する継続性のある活動である」

レックス・F・ハーロウの定義

「一企業体とパブリック(一般社会)との間の相互のコミュニケーション、理解、合意、協力閑係の樹立、維持を助け、課題に対する論争に経営者を巻き込み、経営者に世論の動向を知らせ、その対処を助け、公共の利益に奉仕するための経営者の責任をはっきりと認識させ、社会の趨勢を予知するための警報システムとして経営者と一体となって変化を有効に利用し、さらに、その最も重要なツールとして調査と健全かつ倫理に沿ったコミュニケーションに利用する管理機能の役割を果たすもの」出典:入門・パブリックリレーションズ、PHP研究所, pp33-34 (2001)

PRSA〈米国PR協会〉の定義

「パブリックリレーションズは、各種団体、機関の相互理解の貢献することによって多元的社会が意思決定を行い、より効果的に機能することに貢献するものである。これはまた、官民間の政策調整にも貢献する。また、パブリックリレーションズは我々社会の様々な団体、組織に奉仕するものである。これらの団体、組織がそれぞれの目標を達成するためには、従業員、会員、顧客、地方企業、株主などそれぞれ違った分野のパブリック、すなわち社会全体と効果的な関係を育てていかなければならない。」出典:入門・パブリックリレーションズ、PHP研究所, pp34-35 (2001)

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