仕事歴

2011.02.14

「スキー伝来100年」  〜スキー人口減少にどう歯止めをかけるか

こんにちは、井之上喬です。
先週は都心でも積雪がありましたが、皆さんいかがお過ごしですか。

いまから100年前の1911年(明治44年)、旧オーストリア・ハンガリー帝国の軍人レルヒ少佐によってスキーが日本に伝えられました。新潟県の高田(現上越市)で指導したのがその始まり。

私は高校時代に水泳をやっていた関係もあり、はじめはスキーに興味が持てませんでした。しかし社会に出て、1976年のオーストリアのインスブルックで行われた冬季オリンピックに、日本楽器製造(現ヤマハ)のスキー板が使用されことがきっかけで、井之上パブリックリレーションズがそのPRに関わることになります。そこで初めてスキーのもつダイナミズムに圧倒されました。

それは、インスブルックで、当時オーストリアのフランツ・クラマー(滑降で金メダル)やイタリアの花形選手トエニ(回転で銀メダル)達のスキーを目のあたりにしたときでした。時速200キロのスピードで人間が滑り下りる迫力に驚愕したのです。

その後1998年の長野オリンピックでは、オーストリア商務省のPRのコンサルテーションを行っていた関係で白馬村に設営された『オーストリアハウス』開館のPRも担当することになりました。

私もこの開館式に同席しましたが、長野の大回転で金メダルをとったヘルマン・マイヤーや先のインスブルック金メダリストのクラマーなど、そうそうたるアルペン王国オーストリアのスキーヤーを間近にみて魅了されたものです。

年々下降するスキー人口

日本人スキーヤーの猪谷千春さんが1956年のイタリア、コルティナダンペッツォ・オリンピックで日本人初の五輪スキー回転でメダリスト(銀メダル)となったのは、有名な話。その後、「黒い稲妻」といわれたオーストリアのアルペン3冠王、トニー・ザイラーの来日などで日本にスキー・ブームが起きます。

日本のスキー人口の増加は、日本の高度成長と軌を一にしています。つまり50年代半ばから普及が始まり、93年には1,860万人のピーク(レジャー白書)に達したものの、現在は3分の1程度までに減少(下図参照)。当然、スキー場の淘汰も進行中で、閉鎖に追い込まれるスキー場が急増しているようです。

スキー&スノーボード人口の推移?『レジャー白書』2010年版

スキー人口が減少した要因として、バブル崩壊によるものが大きいとされていますが、娯楽の多角化や若年層の数の減少や自動車離れ、スノーボードへの移行、またスキーを愛好する年長者の高齢化、そしてアルペン競技におけるフィギュアの浅田真央のようなスター選手の不在などが挙げられます。

一方、その改善策として若い女性を増やすこと、子供連れを増やす、50歳以上のリピーターを増やす、そしてSAJ(財団法人 全日本スキー連盟)が欧州のようにスキー選手育成のプログラムを作成してスター選手の輩出に努力するなどが挙げられています。

しかし、これまでのような国内だけを見据えた施策だけでスキー人口を増やすのには無理があります。

スキーと観光事業で国際化

私はスキー人口減少の歯止め策として、あるいはよりポジティブな表現として、スキー人口拡大には、国内スキー場の国際化が最善の策であると考えています。

そのためには、施設やスキー場までのアクセス改善といった面ばかりでなく、温泉や料理など日本文化を採り入れた「おもてなし」をパッケージにしてスキー場価値を高める努力が重要であると思います。

これらの点に関して日本経済新聞(2011.1/12夕刊16面)「中国語案内、ウォン両替、地元文化紹介、蔵王や白馬、外国人おもてなし」の記事は示唆に富んだ内容となっています。

「‥‥前略)蔵王温泉観光協会によると、外国人客は年々増加。2009?10年のシーズンは毎月千人以上が訪れ、うち9割は韓国や台湾などアジアから。大半が個人旅行でスキーや樹氷観賞が人気という。」とアジアから多くのスキー観光客が押し寄せていることを伝えています。

そして、「蔵王で旅館やホテル計5軒を営むタカミヤホテルグループは、韓国語や中国語を話せるスタッフを配置。周辺の銀行が扱わない韓国の通貨ウォンをフロントに準備し、両替に対応した。」と日本人スタッフだけでなくネイティブ・スタッフを配置していることがわかります。

また同紙は、長野五輪のアルペン競技などの会場となった長野県白馬村への外国人スキー客の急増も紹介し、村観光局の発表数字を紹介し、08年の外国人観光客数が約4万9千人で、4年間で約5倍に跳ね上がったとしています。

白馬村への外国人観光客の約4割を占めるのがオーストラリアからのスキー客のようで、「1?3週間程度の長期滞在者が多く、地元の観光会社が温泉や寺社などを巡るバスツアーを企画したり、村観光局がそば打ち教室などを開いたりしている‥‥」としています。

先日テレビ番組で、志賀温泉が外国人観光客でにぎわっているニュースが流れていました。番組によると、雪中のニホンザル親子の写真が国際的なコンテストに入選し、写真がインターネットで世界中に流れたことがきっかけで、広くアジアや欧米からの観光客が「地獄谷温泉」につかるサルを見にきているとのことです。旅館のスタッフも日本語に加えて、英、仏、中、韓とじつに5カ国語。

いま日本には、冬の観光にスキーを中心として、温泉とおいしい日本料理、そしておもてなしの心で外国からの観光客を誘い込む知恵と行動が求められています。

こうした面でも私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家の役割が期待されています。

 

書籍

注目のキーワード
                 
カテゴリ
最新記事
アーカイブ

ページ上部へ