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2016.09.23
12年ぶり、29作目の和製『ゴジラ』〜ゴジラ史に足跡を刻んだ『ゴジラを飛ばした男』
皆さんこんにちは 井之上 喬です。
昨日(9/22)は秋分の日でした。国民の祝日は、あらかじめ月日が決まっていますが秋分の日と春分の日は前年の2月1日に、それぞれの日付が書かれた「暦要項(れきようこう)」が官報に掲載されることによって、正式決定となるようです。
これは、地球の運行状態などが要因とのことです。地球の運行状態は常に変化しているため、観測した結果が必ずしも計算結果の通りになるとは限りませんが、東京五輪が催される2020年の春分の日は3月21日(月)、秋分の日は9月23日(金) になると推計されているようです。
皆さんは秋分の日、春分の日の日付が実はあらかじめ決まっていなかった、ということをご存じだったでしょうか。
さて、今回は皆さんご存知の『ゴジラ』のお話です。
62年間に及ぶゴジラ史を一変
東宝映画『シン・ゴジラ』は、公開1カ月で興行収入が53億円を超え、今年の邦画1位にランクされたとのこと。人気アニメ『エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明さんを総監督に起用し、固定ファン頼みだった62年間に及ぶゴジラ史を一変させたといいます。
私の会社(井之上パブリックリレーションズ)でも多くの若手社員が『シン・ゴジラ』を観に行っています。
このように新しいファン層を拡大させたのは、商業的に不可欠といわれる恋愛要素などには目もくれず、すべての面でリアリティーにこだわり続けた総監督を務めた庵野さんの演出にあるようです。
過去の作品では破壊される街はミニチュアでしたが、今回は実景などCGを駆使し、でゴジラの移動ルートを全て現実に合わせ詳細に描いています。ゴジラも着ぐるみではなくやはりCG。
1998年には海外で初めて米国のトライスター・ピクチャーズ提供による『GODZILLA』が制作されました。興行収入的には成功を収めたものの、世界のゴジラ・ファンからは「あれはゴジラではない!」と不評を買いました。
そして2014年、再びアメリカでワーナー・ブラザーズ提供、レジェンダリー・ピクチャーズ製作による『GODZILLA ゴジラ』が公開されました。
こうした経緯から「日本でも再びゴジラを!」という声が高まり、約12年振りとなるゴジラシリーズの新作『シン・ゴジラ』が制作されることになったといいます。
ゴジラは空を飛べるか?
日本映画の”伝説”ともいうべき作品『ゴジラ』。1954年に社会問題となっていたビキニ環礁の核実験に着想を得て『ゴジラ』は生まれました。世界で唯一の被爆国である日本だからこそ作ることができた映画といえるでしょう。
以前のブログ(2014年5月29日)にも書いたように、私がまだ小学生の頃、兄弟と一緒に地元の映画館へゴジラを観に行ったときに、水爆実験で目覚め、安住の地を追われ東京の街を破壊尽くしたゴジラが私のゴジラとの最初の出会いでした。
また同じブログでゴジラ・シリーズ第11作目の『ゴジラ対ヘドラ』を監督された坂野義光さんを紹介していますが、85歳にしていまだ衰え知らずの映像クリエイター坂野さんは、この7月に自身の半生記となる『ゴジラを飛ばした男』(フィールドワイ発行)を出版しています。
坂野さんは『ゴジラ対ヘドラ』で、禁断とされたゴジラの飛翔を敢行し、以来ゴジラ・ファンの間では「ゴジラを飛ばした男」として知られた人。
逃げるヘドラを追って、ゴジラが口からの熱線を放射する反動で後ろ向きに空を飛ぶというシーンで当時関係者の間に激しく賛否両論を呼んだようです。
同書で、さまざまなエピソードとともに、70年代後半?80年代に米国から見た日本映画の捉え方や評価が坂野さんの目を通して語られている部分は興味深いものでした。
私のブログでも紹介したように、2014年の『GODZILLA ゴジラ』の実現は、レジェンダリーのトーマス・タル会長が世界ワースト映画50(米国にて)に選ばれた「ゴジラ対ヘドラ」を少年時代に観て感動したことがきっかけとなっています。
また同書では、「ゴジラ対ヘドラこそ、最初に環境問題を訴えた価値ある映画」と米国の学生が評した話など、これまで書かれなかった秘話も入っていて70年代後半以降の昭和の日本映画の状況を知る上で面白い本だと思います。
坂野さんとは何年か前の夏、私の母の郷里弓削島(愛媛県)に招待したときに、今治の彼の生家に立ち寄ったことがあります。『シン・ゴジラ』公開を機会に、ゴジラ史に足跡を刻んだ『ゴジラを飛ばした男』、一度是非お読みください。昭和世代の方には懐かしさがこみあげてくるはずです。