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2016.02.04

AIの進化でコンピューターが囲碁でも人間に勝利〜開発したグーグルが時価総額でトップに躍り出る!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

今週は2月3日が節分、翌日が立春で暦の上では冬から春へ。皆さんは、「鬼は外、福は内!」豆まきをされましたか。

そして来週は中華圏では最も重要とされる祝祭日である春節を迎えます。新暦の正月に比べ盛大に祝賀され、中国や台湾のみならずシンガポールなどでは数日間の祝日が設定されています。

私が経営する井之上パブリックリレーションズのクライアントでも、来週1週間は休業といったケースが結構あるようです。改めて新年が良い年でありますように。

ついに囲碁の世界でもコンピューターが人間に勝利

その1週間前に非常に興味深いニュースを目にしました。米国グーグルが米国時間の1月27日、同社傘下の人工知能(AI:Artificial Intelligence)ベンチャーであるDeepMindが開発したAIシステム「AlphaGo(アルファ碁)」がコンピュータープログラムで初めて囲碁のプロ棋士に勝ったことを明らかにし、詳細な論文を英国の科学雑誌「Nature」で発表したとのこと。

以前このブログでも紹介したように、コンピューターと人間の頭脳対決では、1997年に米国IBMのスーパーコンピューターDeep Blueがチェスの世界チャンピオンに、将棋では2010年に女流棋士にそれぞれコンピューターが勝利しています。しかしながら正式なルールの囲碁でプロ棋士にコンピューターが勝ったのは今回が初めてだそうです。

ニュース解説によると、囲碁はチェスや将棋に比べて盤面が広く、局面の数は10の360乗に達するといわれ、天文学的な数の局面をすべて計算し予測するのはさすがの最新のコンピューターでも勝つのは不可能とされ、プロ棋士に勝利するのは早くて10年先とみられていたようです。

今回は、従来のAI手法だけではなくディープラーニング(深層学習)を組み合わせたアプローチをとったとのこと。

つまり盤上の石の配置などを情報としてインプットし、12層のニューラルネットワーク(神経回路網)によって、次に打つべき手を判断する。人間同士の対局の3000万手についてトレーニングしたのち、新たな戦略を見つける訓練や、ニューラルネットワーク同士で戦わせるなどの強化学習を重ねたそうです。

結果、アルファ碁は2015年10月に英国ロンドンで欧州チャンピオンのプロ棋士ファン・フィ氏に挑み、5戦すべて勝利したとのこと。この勝利に続き、3月には韓国ソウルで世界トップと言われるイ・セドル九段との5回戦に挑む予定だそうです。

その結果やいかに!

AIの研究開発は、1950年代に米国でスタート、半導体技術の進化でコンピューターの処理能力が飛躍的に成長したことが開発を後押してきました。

1980年代に、私もMITの人工知能研究所とかかわりを持ちましたが、当時は人間の脳がまだ勝っていました。しかし2000年代に入って人間の脳の働きをまねた情報処理方法ディープラーニングが開発されたことで人工知能は一気に進化し実用化が進んできました。

AIはゲーム以外にも自動運転、人協調型ロボット、医療など幅広い分野への応用が可能で新たな産業を生み出す原動力として期待されています。IBMはあのAIワトソンをビジネスに活用するサービスを始めるなど、商用にも動き出しており、世界的にAIの研究開発が盛り上がると期待されています。

ついにグーグルが時価総額でアップルを抜いた

そんななか2月1日のニューヨーク株式市場の時間外取引で、グーグルを傘下に持つ米国アルファベットの時価総額が約5700億ドル(約69兆円)に上昇し、2011年夏以降、トップを守ってきた米国アップル(約5350億ドル)を抜いて、世界首位に躍り出たとのこと。

時価総額ランキングでこれまでトップを独走していた感のあるアップルの時価総額は、主力のスマホiPhoneの販売が鈍っていることへの懸念から同社株が売られ、このところ6000億ドルを割って推移していました。

一方、グーグルの持ち株会社であるアルファベットは、主力の広告関連事業が好調で、売上と純利益ともに四半期ベースで過去最高を記録、これが好感され、買いが集まり初めて時価総額でアップルを上回ったようです。

なお米国メディアによると、2月1日時点での米株式市場での時価総額ランキングは、3位がマイクロソフト(約4350億ドル)、4位エクソンモービル(約3240億ドル)、5位フェイスブック(約3200億ドル)と続き、エクソン以外の4社はすべて新興勢力。

豊富な資金力をバックにグーグルは次々と企業買収を行っていますが、M&Aをてこに自動運転やロボットなど成長分野でのビジネス創出を着々と進めているのは皆さんもご存じのとおりです。

自動車、そしてロボットと日本が世界をリードしているといわれている分野でのグーグルの脅威。今こそ日本の英知を結集しクラウド、IoT、Industry 4.0そしてAIなどの分野での新産業創出競争を勝ち抜きたいものです。

積極的なパブリック・リレーションズ(PR)の導入が急がれています。

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