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2015.05.14

「女性が活躍する会社ランキング」と「女子大学生の就職人気企業ランキング」をみる〜素晴らしい取り組みをきちっと外部に情報発信しましょう!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

5月の第2日曜日、今年は5月10日が母の日でしたね。カーネーションを求める家族連れを目にすることも多かったような気がします。

一昔前は女性は家庭を守り、男性は外で仕事をするのが当たり前でしたが、少子高齢化が進むなかで女性の能力を活かし新たな日本の成長戦略を描くためにも、女性の活躍が不可欠になっています。

母親はもちろんのこと女性がいきいきと活躍できる社会の実現は重要ですね。

「女性が活躍する会社ベスト100」の傾向

5月7日発売の日経ウーマン6月号に2015年の「女性が活躍する会社ベスト100」が発表になっていました。

これは日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」と働く女性向け月刊誌「日経ウーマン」が実施した企業の女性活用度調査によるもので1988年から不定期で実施、今回が13回目とのこと。

結果は資生堂が2年連続の首位で、2位はセブン&アイ・ホールディングス、3位は全日本空輸(ANA)となっています。「上位には女性の働く意識を磨きながら、リーダー登用に積極的な企業が並んだ」と評価しています。

この調査は1?2月中旬に国内有力企業4293社を対象に実施、過去最多の539社から回答を得たようです。採点の項目は、1)女性役員の有無など女性の管理職登用度、2)ワークライフバランス(仕事と生活の調和)度、3)女性活用度、そして4)男女均等度の4項目で総合点を算出しています。

3位以下のランキングを見てみますと4位がJTB、5位が第一生命保険、6位が日本IBM、7位が高島屋、8位がリクルートホールディングス、9位がパソナグループ、10位が住友生命保険となっています。詳細なランキングは日経ウーマン6月号などをご覧ください。

日本経済新聞は5月9日(土)の紙面で「成長の源泉 女性育成急ぐ」とする見出しでランキングの概要と、ここ3年で著しく順位を上げたセブン&アイ・ホールディングスの妊娠・育児中の社員の意識向上の取り組みやJTBのメンター制・研修による女性幹部育成法、そしてリクルートホールディングスの場所を問わない働き方改革など3社の取り組みを紹介していました。

記事のポイントを拾ってみると、ランキング上位企業の顔ぶれは働く女性を取り巻く環境の変化とともに大きく変わっており、男女雇用機会均等法施行の2年後にあたる1988年に調査した第1回目は小売りが上位11社中7社。女性が活躍できる制度も風土も十分整っていないなか、百貨店やスーパーなど女性社員の数が多い企業がランクインしたとしています。

そして、2006年は日本企業に先んじてダイバーシティー(多様性)を進めた外資系企業が1位(P&G)と3位(日本IBM)に入り、2005年の次世代育成支援対策推進法施行を受け、両立支援やワークライフバランスを強化した電機業界の3社、シャープ(4位)、松下電器(6位)、SONY(7位)がトップ10入りしています。

2012年末に誕生した第2次安倍内閣が女性活躍推進を経済成長戦略の重要な柱と位置付けた以降は、女性リーダーの育成に力を注ぐ企業が増加し、2015年の上位企業で目を引くのは女性役員の育成・登用への取り組みの強化だそうです。上位10社中8社に生え抜きの役員がおり、4社には女性役員登用に関する数値目標がある企業がランクアップされているとのこと。

第1回目のランキングから30年。働く女性を取り巻く環境が大きく変化しているのがわかりますね。

「大学生の就職人気企業ランキング」にみる傾向

その一方で、就職情報会社のダイヤモンド・ヒューマンリソースが5月12日に発表した2016年卒業予定の「大学生の就職人気企業ランキング」にも注目してみました。

女性部門だけを見てみると文系女子は金融が上位にランクインし、1位は三菱東京UFJ銀行(前年2位)、以下、東京海上日動火災保険(同1位)、みずほフィナンシャルグループ(同7位)、三菱UFJ信託銀行(同3位)、伊藤忠商事(同5位)となっています。

一方、理系女子“リケジョ”は食品メーカーの人気が高く、1位はサントリーグループ(同2位)。2位はロッテグループ(同1位)、以下、明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)(同4位)、森永乳業(同6位)、森永製菓(同5位)となっています。昨年3位だった資生堂は9位に下落しているようです。

文系女子はメガバンクなどの金融、理系女子は食品・飲料メーカーの人気が高いようです。この結果については「大手金融機関は採用数が多く、育児休業制度なども充実しており、入社できる可能性の高さと長く安心して働ける点が人気を集めた」と分析しています。

こうしてみてみると、「女性が活躍する会社」と「女子大学生が入社したい会社」の顔ぶれが違うように感じます。

これらの傾向の違いは、女性が活躍している会社なのに女子大学生にはしっかりと情報が伝わっていないことに起因しているのかもしれません。

その時代で就職事情が異なるのは当然ですが、「長く働ける環境を整えているのはどの企業なのか?」 もしかすると企業の素晴らしい取り組みや将来に向けたメッセージがきちっとターゲットに伝わっていないのかもしれませんね。

特に日本企業は外部に誇るべき制度や実績を達成しても、それを外に情報発信することを良しとしない文化がまだまだあるように思います。

経営環境が激変する中で、有能な女性人材の確保がこれからの成長の鍵となる企業にとって、パブリック・リレーションズ(PR)を通じ、きちっと社会やステークホルダーに企業情報を戦略的に発信していくことが、より重要になっているのではないでしょうか。

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