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2014.09.04

教育現場のIT化を促進しよう〜学校でも1人に1台タブレットの時代が目前に

皆さんこんにちは井之上 喬です。

今週から9月。学生の皆さんは夏休みも終わり新しい学期に入りますね。秋は食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋など何かに集中して取り組むのには凌ぎやすい良い季節ですね。私も時間を見つけてスポーツや美術展巡りなどをしたいと考えています。

遅れている日本の教育分野の情報化

9月1日の日本経済新聞に「教育の情報化をもっと急げ」とする社説が載っていました。学校教育の情報化促進は国を挙げての大きな課題になっています。

文部科学省は2009年から「スクール・ニューディール構想」をスタートし、学校耐震化の推進、太陽光発電導入をはじめとしたエコ化、ICT(情報通信技術)環境の整備などに取り組んでいますが、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中での教育機関への公財政支出の対GDP比率(2012年)をみると平均の5.4%に対し、日本はまだ3.6%にとどまっているそうです。

今後の日本の国力を維持していくうえでも教育分野の強化は不可欠です。教育予算の増額、人材や学校環境の整備は国家的な急務だと強く感じています。

そのような状況の中で文部科学省と総務省が連携して、新たに「先導的な教育体制構築事業」に取り組むことになり9月5日の締め切りで提案を公募しています。

まずは実証研究を3地域(1地域あたり4校)で行うことにしており、クラウド・コンピューティング技術など最先端のICT技術を活用し、学校間や家庭をつなぎ学習環境の新たな共通基盤づくりを目指すとしています。

社説では「文科省と総務省は今春まで3年間、デジタル教材を使った実証実験を進めてきた。ところがこの間にクラウドやタブレット(多機能携帯端末)などが普及、新たな実験が必要と判断したためだ」と解説しています。

つまり国民の税金を使った実証実験の間に、ICT技術、機器が予想を上回るスピードで進展した結果、新たな取り組みが必要になったということだと思いますが、IT分野の変化のスピードに政策が追いついていないということになります。

IT化促進に不可欠な民間との連携

ICT技術は驚異のスピードで進化しており、日本でも2020年の東京オリンピック開催に向けハードそしてソフト面での最先端化の取り組みが加速するのは必然です。

特に教育分野でのIT化は決して進んでいるとは言えず、野村総合研究所の調査では、小学校から高等学校までの公教育のICTの市場規模として2012年の730億円から2020年には約4.4倍の3222億円に急拡大するとしています。

2020年の内訳はハードが1587億円(2012年400億円)、ソフトが1636億円(同330億円)となっています。(四捨五入のため合計は一致しない)

国は2020年までに児童・生徒に1人1台のタブレット端末を整備する方針でハード面では無線LAN、多機能プロジェクター、電子黒板などの普及が見込まれており、関連企業は熱い視線を送っています。

ハード面の整備と並行して教材のデジタル化にともなう基本ソフトや記述言語の標準化問題、配信方法、セキュリティの問題など課題が多いのも事実だと思います。

実証実験を進めるのは当然ですが、先生など教育現場の関係者だけに任せるのは得策ではないと思うのは私だけではないでしょう。思い切ってさまざまな民間企業との連携も模索し、一気に教育現場のIT化を進めることが重要ではないでしょうか。

日本には多くの国内企業そして外資系企業がIT投資で世界をリードする実績を持っています。今こそ官民が協力して、ハード面の整備だけでなく人的な交流も含め積極的に学校のIT化に取り組む時だと思います。

私は1980年代、当時マサチュセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所のシーモア・パパート博士が開発した、子供用コンピュータ言語(LOGO)の日本の教育現場への導入にパブリック・リレーションズ(PR)の専門家として携わったことがあります。そのとき、高い関心を持った日本の教育機関と政府の政策がかみ合わず苦労した経験がありますが、いまはインターネットが登場し、その普及でIT環境は当時と比べ更に激変しています。

日本はこれまでの日本流スピード感ではなく、グローバルのスピードに負けないような、言ってみれば民間企業のビジネス感覚が必要ではないでしょうか。そうしないと国の基幹である教育分野でも世界に後れを取ることになりかねません。

昨日、第二次安倍内閣が新しい陣容でスタートしましたが、政府の迅速な対応が望まれます。

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