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2014.08.29

新聞の電子版拡大に思う読者に信頼される記事と真実を見極める読者の視点も

皆さんこんにちは井之上 喬です。

広島市北部で大規模土砂災害が発生してから1週間が経ちました。亡くなられた方が70名を超え、いまだ行方不明の方も10名を超えている(28日現在)とのこと。さらに約1400名の方々が避難生活を余儀なくされているようですが、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。一日も早く平穏な日常生活に戻れることを心よりお祈りいたします。

お盆休みを終え東京には通常の通勤ラッシュが戻ってきました。自宅から会社までの通勤時間はさまざまな情報入手のために貴重な時間ですが、情報入手の方法は大きく様変わりしています。電車などで新聞片手の人が少なくなり、圧倒的にスマートフォン(スマホ)、タブレットが主流になっています。

新聞の部数減が続く、読売新聞も大台割れ

新聞・雑誌の実売部数を調査する第三者機関である一般社団法人日本ABC協会がまとめた新聞発行社レポートによると、2014年上半期(1月から6月)の新聞部数は消費税率が8%にアップした影響もあってか前年同期比で部数を減らした社が多かったようです。

全国紙は5紙すべての本社・支社で部数が減少しており、読売新聞は前年同期比で31万部以上減少、1000万部の大台を割り956万部となっています。

朝日新聞は743万部で前年同期比約18万部の減、毎日新聞は332万部で同約7万部減、産経新聞は161万部で同約1500部減、日本経済新聞は276万部で同約11万部の減となっています。各紙とも大部数の東京、大阪での部数減少が響いているようです。

ブロック紙も同じ傾向で中日新聞は256万部で前年同期比約8万8000部減、北海道新聞は108万部で同約2万7000部減、西日本新聞は72万部で同約1万5000部の減。

ちなみに前年同期比でプラスだったのが河北新報、デーリー東北新聞、福島民報、福島民友新聞と山陰中央新報と5紙ありますが、消費税率アップが要因だけでなく以前からの全体的な部数の減少傾向は続いているようです。

新聞の軸は電子版、世界の流れに乗り遅れるな

そのようなデータの一方で8月12日の日経産業新聞には「欧米新聞の軸 電子版移行へ」とする見出し記事がありました。

それによると、欧米の新聞大手は電子版を成長の軸に据えた「デジタル・ファースト戦略」で成果を挙げ、会員数の順調な拡大で電子版が新たな収入源として機能し始めているとのことです。

電子版の契約者数をみると、米国ニューヨーク・タイムズ紙が6月末現在で有料会員数が83万1000名、前年同期比19%増で2011年3月の電子版立ち上げから拡大傾向とのことです。

英国フィナンシャル・タイムズ(FT)は6月末時点の電子版の契約者数が45万5000件、前年同期比で33%増、紙と合わせた契約者数の67万7000件は同社126年の歴史の中で過去最高だそうです。

またドイツのアクセル・シュプリンガー傘下の大衆紙ビルトと高級紙ウェルトの電子版会員数も合計で26万名を超え順調に拡大しているようです。

米国ニューズ・コーポレーション傘下のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の電子版会員数は3月末時点で92万4500名と順調に拡大。

日本の全国紙の中で唯一、電子版の会員数を定期的(半年ごと)に公表している日本経済新聞の7月1日時点によると、電子版有料会員数36万3492名(前年同月比約19%増)のうち、電子版単体会員数の比率は51.5%、2014年1月に初めて50%を超えてから順調に拡大しているようです。

ただし無料登録会員を含む電子版会員数は234万2697名(同20.5%増)でまだまだ電子版は無料との読者感覚も強いのではないでしょうか。

新聞報道に関しては従軍慰安婦問題、政府の福島原発事故調査方向書などを巡り新聞、週刊誌などで様々な論争が展開されているのは皆さんもご存じのことと思います。

日本の新聞業界は、宅配制度など長い歴史の中で構築された日本独自のシステムの上に成り立っています。

つい先日、ネット書店最大手アマゾンが電子書籍の販売条件で出版社の「格付け」発表を行い業界に激震が走りましたが、新聞電子版への移行は大きな業界の流れとなっています。

新聞各社にはこの流れを的確に読み、従来のシステムに胡坐をかくことなく、まずは本来の使命である読者の信頼を得られるような記事掲載を期待します。

同時に、読者である私たちにも事件や事故の真実をさまざまな情報から見極める視点と力が、紙であれ電子版であれ必要だと思うのです。

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