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2014.11.20
食欲の秋を「食育の秋」に!〜「和食の日」を前に食習慣のチェックをしてみてはいかがですか
皆さんこんにちは井之上 喬です。
一気に寒さが増してきましたが、この季節は食欲をそそる、美味しい食材がたくさんありますね。会社近くの居酒屋さんからは「鮟鱇(アンコウ)鍋始めました」の手紙も届いていました。旬の食材を最も美味しい旬の時期にいただくのはうれしいものですね。
思わぬ「和食ブーム」効果も
11月は農林水産省が推奨する「和食月間」だそうです。昨年、「和食」はユネスコの無形文化遺産に登録され、15日は「こんぶの日」そして24日は「和食の日」と続き、和食に関連するさまざまな取り組みが全国各地で行われているようです。
2013年10月に「和食」文化の保護・継承国民会議(略称:和食会議、会長:熊倉 功夫静岡文化芸術大学学長)が、一般社団法人日本記念日協会の認定を受けた「和食の日」である11月24日は語呂合わせで「いいにほんしょく」となっています。
和食会議のホームページを見ると、日本の食文化について見直し、「和食」文化の保護・継承の大切さについて考える日、となっています。
そして「和食」文化の特徴としては、1)多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用、2)バランスがよく、健康的な食生活、3)自然の美しさの表現、4)年中行事との関わり、の4点を挙げています。「和食」を料理そのものではなく、自然を尊ぶという日本人の気質に基づいた「食」に関する習わしと位置付けているのは非常に興味深いですね。
文化としての「和食」に加え栄養バランスのとれた健康的な和食は、世界的なブームとなっています。
その和食ブームが思わぬ経済効果を起こしているようです。貿易収支(通関ベース)で大幅な赤字が続くなかで、1月から9月までの食品輸出は約3360億円で前年同期比9%の増加、過去最高だった前年の輸出額4360億円を超える勢いを見せているようです。なかでも農林水産物の輸出の約4割を水産物が占めており、海外での和食ブームを背景に魚介類の輸出が拡大しており、国内市場の縮小に悩んでいた水産物業界には和食ブームが大きな追い風になっているようです。
特にアジアでの和食ブームは顕著で、農水省によれば2013年のアジアでの日本食レストラン数は約2万7000店で3年前の1.7倍という大きな伸びだそうです。また、文化遺産登録効果もあってかJETROの調査では東南アジアなどで好きな外国料理の1位に和食がランクされているようです。
海外から安価な農産品を輸入して、高付加価値のある食品加工をすることで、ドイツやオランダのような食品輸出大国になるのも夢ではありません。また農業製品が多少高くても、他を寄せ付けない和食の提供で成功するチャンスもあるはずです。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で農業自由化が論議されていますが、思い切った関税自由化で日本の農業・食品産業の構造改革が実現できるのではないでしょうか?
子供のころからバランスのとれた食習慣を
私が経営する会社ではこの季節に健康診断を実施しており、つい先日私も受診しました。詳細の結果はまだですが検査の最後に問診したお医者さんからは、「油っぽい食べ物は控えましょうね」とアドバイスをいただきました。
年齢もあるのでしょうが、食事の傾向がちょっと洋風に偏っていたかなと、反省させられました。本当に食習慣の大切を実感しました。
毎日新聞社が発行する「10歳からのニュース百科 月刊Newsがわかる 12月号」では表紙にハンバーガーとジュースを食べる少年のイラストと「その食べ方でいいの? 老化は子どものころから始まる」とのショッキングな見出しが躍っていました。
この『食育』に関する7ページの巻頭特集では、世界の3人に1人が太りすぎと指摘、先進国の子どもや若者で1990年代に肥満が急増、肥満大国アメリカに加え経済成長が著しい中国やインドでも肥満が増えると予想。世界保健機関(WHO)は2025年に肥満増加を止める目標を掲げているが達成できるかわからないと、世界の肥満事情を解説しています。
その中で肉ではなく魚を中心とした日本本来の食生活を見直そうとし、特集の最後のページにはご飯とみそ汁、白身魚の煮つけといった典型的な和食の献立、秋刀魚を3枚におろす女性の写真には「日本人は古来、魚を食べて健康を保ってきた」の説明がされていました。
戦後の日本人の食習慣の欧米化による弊害は多方面から指摘されてきました。すべてを元に戻すのではなく、バランス良い食習慣を身に付けることが何より重要ではないでしょうか。
そのためには子供のころから和食に親しむ機会を増やすなどの教育現場の取り組みとともに、適切な情報提供がますます重要になってきますね。