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2014.11.06
「ESD」ってご存知ですか?〜国連ESDの10年を締めくくる「ESDユネスコ世界会議」が開催へ
皆さんこんにちは井之上 喬です。
11月2日の「世界とつながる日曜版 朝日新聞グローブ」の終面に文部科学省の「ESDに関するユネスコ世界会議」に関する全面広告が掲載されていました。気が付いた方も多かったのではないでしょうか。
しかし、ESDってなに?と思った方も多かったのではないかと思います。
持続可能な開発のための教育
文部科学省のホームページによる『ESDは、Education for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。
現在、世界には、環境・貧困・人権・平和・開発といった様々な地球規模の課題があります。
ESDとは、地球に存在する人間を含めた命ある生物が、遠い未来までその営みを続けていくために、これらの課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが自分にできることを考え、実践していくこと(think globally, act locally)を身につけ、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。
つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育と説明されています。
2005年からユネスコ主導で取り組んできた「国連ESDの10年」の最終年となる2014年は、11月に名古屋市(10日から12日)と岡山市(4日から8日)で「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催され、ユネスコ加盟の世界195カ国から約2000人が参加を予定、日本で開催されるユネスコ関連の会議では過去最大規模になるとのことです。
来週11月10日(月)から12日(水)に名古屋で開催される閣僚級会合および全体のとりまとめ会合では、過去10年の取り組みを総括し、次のステップ「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」を発表することになっています。
一般参加者の募集期間は11月7日までとなっています。名古屋近郊の方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
http://www.esd-jpnatcom.jp/
世界のティーカンパニーを目指すある企業のユニークな取り組み
このESDユネスコ世界会議併設のイベントとして「お?いお茶」で知られる株式会社伊藤園が、11月11日にシンポジウムを開催します(場所は名古屋国際会議場1号館3階、時間は14時30分から16時)。
http://www.itoen.co.jp/csr/
テーマは「みんなで学ぶ 食と農のOMOTENASHI(おもてなし)・MOTTAINAI(もったいない)・SATOYAMA(里山)のこころ」。
パネリスト(50音順)には、熊倉 功夫氏:「和食会議」会長、静岡文化芸術大学学長。馬越 恵美子氏:異文化経営学会会長、桜美林大学教授。松浦 晃一郎氏:第8代ユネスコ事務局長。マリ・クリスティーヌ氏:元国連ハビタット親善大使、あいち海上の森センター名誉センター長。鷲谷 いづみ氏:「田めになる学校」校長、東京大学教授が名を連ね進行役は中嶋美年子氏:元アナウンサー、三菱地所? 開発推進部マネージャー、そしてプレゼンター・ファシリテーターは、伊藤園常務執行役員CSR推進部長の笹谷秀光氏が務めることになっています。
伊藤園はトリプルSを経営に取り入れたユニークな「伊藤園モデル」を展開しており、以前から私も注目していました。トリプルSとは、1つ目は企業が社会から信頼を得られるための「CSR」、2つ目は企業と社会の双方の利益になる「CSV」(共有価値の創造)そして「ESD」の3つのSとなっています。
このトリプルSを経営に取り込み、本業に紐付く活動として茶産地育成事業、茶殻リサイクルシステム、茶文化の普及を目指したティーテイスター制度、俳句募集といった企業、社員そして社会(消費者)を巻き込んだ活動を展開しています。
今回もESDユネスコ世界会議開催に合わせ応援メッセージ(自由俳句)を募集、応募1997句の中から選ばれた環境大臣賞など計6句を掲載したパッケージの「お?いお茶」が10月中旬から店頭に並んでいます。
ビジネスのグローバル化、ボーダーレス化がますます加速するなか、パブリック・リレーションズ(PR)の視点から企業の社会に対する関わり(CSR活動)は、ビジネスマンの名刺交換のようなものだと思います。
伊藤園の例にみるような本業に紐付いたユニークな社会貢献活動を継続する企業が1社でも増えることを願います。