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2014.06.19
世界で最も働きたい国、働きたくない国は?〜日本はスイスなどと上位にランキング
皆さんこんにちは井之上 喬です。
梅雨のさなかですが、6月19日は「桜桃忌」。1948年6月に玉川上水(東京都三鷹市付近)で入水自殺した太宰治の遺体が発見され、奇しくもその日が太宰の39歳の誕生日と重なったことに因んでいます。
「桜桃忌」の名付け親は、同郷で太宰と親交の深かった直木賞作家の今官一さん(1909-83)。太宰晩年の短編小説「桜桃」から命名されたといわれます。毎年この日、太宰の墓があり、法要が営まれる三鷹市禅林寺には全国から多くのファンが集り、相変わらず世代を超えて人気が高いようです。
禅林寺は、私の実家から歩いて10分程度のところ。桜が満開の中、この寺で30数年前に父の葬儀が行われたことを昨日のように覚えています。
さて今回のブログでは、世界中の労働組合を束ねる組織「国際労働組合総連合」(ITUC)がこの5月末に公開した「労働者の権利」に関する報告書(139カ国・地域をカバー)をベースに「世界で最も働きたい国、働きたくない国」を中心に紹介します。
満点は世界中でデンマークだけ
ITUCは「2014 Global Rights Index」(世界権利指標2014年版)で、労働者の権利に関する指標を、「労働組合に加入できるか」、「法的保護や、法に基づく適正な手続きを受けられるか」、「暴力的な状況がないか」など、97項目について評価しています。
その評価項目を国・地域ごとに集計し、「1」(最高)から「5」(最低)までのカテゴリーを数値でランクづけしています。
満点を獲得したのは世界中でデンマークだけだったようです。つまり、デンマークは労働者の権利に関する97項目の指標をすべて順守しているとのこと。
アメリカは、不名誉なことに「4」と評価されました。これは、「組織的な権利侵害」や「労働者の集団的な声を抑圧するための重大な取り組み」などネガティブ回答が寄せられたことに起因しているようです。
満点ではないもののカテゴリー「1」の評価は「権利侵害が不定期に起こっている」諸国で、デンマークを含むウルグアイなど18カ国。「2」は「権利侵害が繰り返し起こっている」諸国で、日本やスイスなど26カ国でした。
「3」は「権利侵害が定期的に起こっている」で、チリやガーナなど33カ国。「4」は「権利侵害がシステム的に行われている」で、アメリカやケニヤが含まれています。
シリアやスーダンなどに見られるスコアの「5+」は、「国家内部の紛争が激しいことによって、労働者の法的保護が完全に妨害されていることを示しているとのことでした。
それでは、「2」という上位の評価を得た日本で、どんな企業が労働者にとって「働きたい企業」なのか、DODAの社会人62,000人を対象にした転職人気企業ランキング(DODA:2014年調査)を探ってみました。
グーグル、トヨタ、ソニーが4年連続トップ3
アベノミクスに加え、オリンピック東京開催も追い風となって、景気回復基調が見られる日本経済。リーマンショック後の2009年には有効求人倍率は0.42倍(厚生労働省発表)にまで落ち込んだものの、その後右肩上がりで2014年4月には1.08倍になり、転職市場は活況を呈しているとのこと。
業績が安定し、事業成長が見られる企業の間では、採用目的を「足元の人員不足解消」から「将来を見据えたビジネス拡張のための人材確保」に切り替える動きも見られるようです。こうした背景もあって、転職して「憧れの企業で働くチャンス」も増えています。
2014年の転職人気企業ランキングは、1位グーグル、2位トヨタ自動車、3位ソニーとなりました。
この上位3強は4年連続で順位に変動はないとのこと。ソニーは業績回復が遅れているものの、技術力や商品力への期待は高く、転職マーケットにおけるブランド企業としての地位を保っているようです。
そのほかでは、全日本空輸(5位)、ベネッセコーポレーション(13位)、ジェイティービー(16位]、ソフトバンク(21位)、そしてアマゾンジャパン(25位)などBtoC企業の上位進出が目立つようです。
特に旅行関係では、昨年圏外だった帝国ホテル(211位)、アマンリゾーツ(266位)、マリオット・インターナショナル(275位)の3社がランキングで300位内に入りました。さらに、東京オリンピック開催決定による今後のビジネス需要への期待感から三菱地所(86位)、森ビル(148位)、清水建設(129位)が順当にランクアップ。
「女性の活用」を先進的に行っているパナソニック(8位)、ベネッセコーポレーション(13位)が、女性の支持を受けて躍進するなど、時代の流れが反映された結果となったようです。
上位50社につき、その企業に投票した理由や、投票者の属性などのデータを下記URLで見ることができます(「詳細」をクリック)。
http://doda.jp/guide/popular/
転職人気企業ランキングを私なりに見ると、上位企業はおしなべてパブリック・リレーションズ(PR)が上手な企業といえそうです。
また、下位の企業でもPRを戦略的に行っていけば、さらに上位に喰いこむ可能性を十分持っていると感じました。