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2014.03.27

桜咲く〜北上ではなく南下する桜前線

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

都心で22.3度と5月上旬並みの暖かさとなった3月25日、東京で桜の開花宣言がでました。

周知の通り、東京の桜の標本木があるのは靖国神社境内。25日にソメイヨシノの花がほころび始め、午後2時半ごろに気象庁の担当者が「5輪咲いているのを確認できました」ということで東京都心の桜の開花が発表されました。平年に比べて1日早い宣言になったとのこと。

3月18日の高知市の桜の開花宣言を皮切りに桜前線は本州へ渡り、静岡と名古屋で24日、大分や広島では25日、27日には大阪も開花し、来週の中頃にかけて中国地方から関東地方は桜の開花ラッシュが続く見込みです。

その後も桜前線は北上を続け、新潟と仙台で4月10日頃、盛岡が20日頃、青森が30日頃、そして札幌が5月10日頃と予想されています(日本気象協会3/26発表)。

桜の「春化作用」

東京の桜の標本木はソメイヨシノですが、沖縄で開花の観測に用いられている桜はカンヒザクラ(寒緋桜:写真)。

1月に入ると沖縄本島(沖縄県名護の開花の平年値は1月2日)から開花が始まって徐々に八重山諸島(与那国島の開花の平年値は1月31日)まで南下するといいます。

もともと桜の開花は北へ北へと向かうはずが、なぜこのような南下が起こるのか不思議な感じがします。桜が開花するためには花の芽をつくるために寒さ体験が必要となります。

寒さ体験をした後に平均気温が10度以上になると開花するとされていて、この寒さ体験が「春化作用」と呼ばれているものです。

つまり、沖縄地方では開花に必要な寒さをもたらす冬の寒波の南下につれて桜は、寒さ体験の早い北の島から開花となり、与那国島へと桜前線が向かうという仕組み。

逆に本州以北の桜は、寒さ体験は十分なのですが、平均気温が10度に上がるのを待って開花となるため、桜前線はどんどん北上していくということになるそうです。こうした桜の開花メカニズムには驚かされます。

世界の桜名所スポット

米国ワシントン州のポトマック河畔の桜並木は、世界の名所の一つになっています。開花シーズンには盛大な「桜まつり」が催され、全米から観光客が訪れるそうです。

この桜は明治45年(1912年)に、第27代大統領ウィリアム・ハワード・タフトの夫人の希望により、当時東京市長であった尾崎行雄がプレゼントしたもの。日米親善の証として桜はその後、多くの人々の熱意によって守られ、見事に成長し、今ではワシントン市民にとって、なくてはならない存在となっています。

ポトマック河畔の桜並木以外でも、桜は世界の名所スポットとして多くの人々を楽しませてくれています。

海外旅行などでタイミングが合えば外国でお花見を楽しむのも一興かと思い、いくつか世界の桜名所スポットを紹介しましょう。

米国マンハッタンのセントラルパーク。大都会の中心で咲き誇る桜の花はニューヨーカーの癒しの場となっています。桜のトンネルの下で散策を楽しむのも素晴らしい旅の思い出となるはずです(見ごろは4月上旬-下旬)。

大自然と大都会が共存し、世界で最も住みやすい都市と称されるバンクーバー。街中の公園が春になるとサクラ色に染まるといわれます(見ごろは3月下旬-4月中旬)

スイス中央部に位置するトゥーン湖は、アルプスから流れる綺麗な水と雄大な景色で人気の観光スポット。奈良県から贈られた100本の桜が咲き誇る様は圧巻とのこと(見ごろは4月中旬-下旬)。

パリと並ぶ花の都として有名なイスタンブール。古代から文化の交流地点として栄えたこの地では、桜に限らず実に多くの花を楽しむことができます。(見ごろは3月中旬-4月上旬)。

歴史と文化の街、慶州市は、春になると世界有数の桜の街に姿を変えます。まさに一面桜、桜、桜。そしてこの時期には「慶州・桜マラソン&ウォーク大会」が開催され、延々と続く桜並木を1万人が走るといいます(見ごろは3月下旬-4月中旬)。

このようにグローバルな広がりを見せる桜は、日本と世界の国々や都市とのリレーションシップ・マネジメントのキーファクターの一つとして、重要な役割を担っています。

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