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2013.06.03
今日は「測量の日」、最近紙の地図を使っていますか?〜便利なツールを支える最先端技術に目を向けよう
皆さんこんにちは井之上 喬です。
関東地方は平年より10日早く梅雨入り。紫陽花の季節到来ですが、暫くはじめじめした蒸し暑い天気が続くと予想されます。体調管理には留意し元気で夏を迎えたいものです。
今日6月3日は「測量の日」だそうです。この記念日は国土交通省が、測量法が昭和24年6月3日に公布され、平成元年に満40年を迎えたことを機に、測量の意義と重要性に対する国民の理解と関心を高めることを目的に制定したものです。
国土交通省のホームページによると測量の有用性について、「地域に関する情報と地図をコンピュータで結合させて検索・解析・表示するGIS(地理情報システム)が注目を集めるなど、測量の成果である地図に対する国民のニーズは、高度情報化社会の進展に伴って、より高度かつ多様になってきている」と説明しています。
また「マイカーへのカーナビゲーションシステムの普及、携帯電話への地図情報の提供など、測量は国民の日常生活の様々な場面に深く浸透してきています」と、測量=地図がより身近な存在になっているとしています。
確かにトラディショナルな紙の地図に接する機会は少なくなっていますが、ITを使ったカーナビやPC、スマホなどで訪問先を検索し地図を表示させることなどはこれまで以上に日常化しています。
驚異の誤差1センチの位置測定技術
便利な時代になったものです。登山などでコンパスと紙の地図を使い、自分の位置と目的地を確認し進路を決定するといったアナログの手法はすでに時代遅れということでしょうか。今流行の山ガールはどのようにしてルートを見極めているのでしょうか?
そう言えば先日、「GPS誤差1センチ、精度世界最高 2018年にも実用化、車や鉄道の無人運転に道」との見出しで、画期的な日本発のGPS技術を紹介する日本経済新聞の記事(5/31朝刊1面)がありましたね。
記事によると「三菱電機とNEC、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は次世代衛星を使う世界最高精度の位置測定技術を共同開発した。現在の全地球測位システム(GPS)と比べ位置の測定誤差を1000分の1の1センチ程度にできる」としています。
また、この測定技術が自動車や鉄道の無人運転など、次世代交通システムの基盤技術となり、2018年には企業が国内でサービスを始めるとしています。安倍政権が力を入れている日本のインフラ輸出の切り札としても期待できそうです。
政府も2018年に衛星や基地局設備などを整え、民間企業が高度な位置情報サービスを24時間提供できるようにするため、今年7月には東芝やホンダなど約200社が参加するGPS関連の協議会を発足させ、参加各社は用途開発で世界に先行し成長事業に育てる方針も出しているようです。
記事では「自動車や鉄道車両に位置情報を受信するチップを組み込めば、道路の渋滞を避ける信号の制御や交通案内のほか、鉄道車両の自動運転も可能になる。車道のレーン識別もできるため、将来の自動車の無人運転の基盤技術になる。建機や農機の操作の無人化にも役立つ」と応用分野が幅広いことを示しています。
農業分野への応用では、穀物などの育成状況が把握でき、農薬散布やより効率的な収穫が可能になるようです。
またスマホなどに専用チップを搭載することで、自分の位置をより正確に確認し目的地にたどり着くことができ、災害時には人の流れを正確に把握し、避難ルートを的確に指示できると多方面での可能性を示唆しています。
まさに「半導体は産業のコメ」
1センチ単位でのGPS精度には驚くばかりですが、応用範囲が広いこの技術は、鉄道、通信システム、発電システム、放送技術などの日本のインフラ輸出に新たな付加価値を付けてくれそうです。
私が経営する会社は長く半導体業界の有力企業のパブリック・リレーションズ(PR)活動の幅広いサポートをおこなっていますが、最近のクライアント企業のプレス・リリースを見てみますと新技術が製品開発に大きく関わっていることがよくわかります。
たとえばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)で世界の最先端を走るザイリンクス社。同社が次世代のFPGA製品化に16nm(ナノメートル:10億分の1メートル)プロセスを採用したり、グローバルファウンドリーズ社が20nm以降の微細化投資に積極的にとり組むなど、技術開発へのあくなき取り組みへの姿勢が見えますが、これらが実現することで革新的な応用技術が生まれます。
最先端技術を支える半導体など電子部品技術開発は、前述した誤差1センチのGPSシステムなど世界で競争力のある最先端システムの基盤をなすものといえます。半導体が「産業の米」とはよく言ったものです。
日本のもつさまざまな分野での技術力を有効に活かすためにも官民挙げての戦略的な取り組みが不可欠ではないでしょうか。
常に先端技術で世界をリードし、高付加価値製品を生み出すことで韓国や中国製品との差別化をはかれば怖いものなどありません。
それにしても私たちが普通に使っている身近で便利なツールは、とてつもない最先端を走る日本の技術力に支えられていることを改めて認識させられました。頑張れ日本のエンジニア!