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2013.06.27
夏を前にビール戦線が熱い〜好調に売上を伸ばす第三のビール
皆さんこんにちは、井之上 喬です。
これからはビールの美味しい季節ですね。このところ私は、ギネスの黒ビールに嵌っています。時折、若手社員や管理職を誘って、私の会社の近くにある洋風居酒屋に飲みにいっています。このお店には飛び切り美味しい生の黒ビールがあります。
ギネス黒ビールの深みのある琥珀色、ホップの香り、微細でクリーミーな泡と独自な苦味が、量を飲めない私を楽しませてくれます。
夏を前にビール戦線が熱いようです。
国内ビール業界の売上推移を見ると、平成16年以降はほぼ横ばいで平成23年の主要な対象企業5社の合計売上高は2兆6,043億円となっています。この背景には少子高齢化や若年層のビール離れといった要因があるようです。
ビール、発泡酒の出荷量・販売量が年々減少する一方で、比較的安価な第3のビールは伸び続け出荷数量で3割を超え、発泡酒を上回るほどの伸長を示しています。また、ノンアルコールビールや糖質ゼロといった健康志向のビールも登場し、新たな市場を形成しています。
ビールと発泡酒、第三のビールの違いは?
まずビールと発泡酒は、大雑把にいうと「麦芽の使用率」が違うようです。ビールは、麦芽の使用率が原料の3分の2以上で、発泡酒は麦芽の使用率が原料の3分の2未満(または、3分の2以上であっても酒税法で定めた副原料を使用していない)ということになります。
これに対して新ジャンルとなる「第三のビール」は、麦芽の代わりにエンドウたんぱくや大豆たんぱく、とうもろこしなどといった豆系原料を使用しており、スッキリとした味わいが特長で、「発泡酒」に比べて税率が低いため、低価格で販売されています。
ちなみに缶ビール1本(350ml)のそれぞれの標準的な小売価格を比較してみましょう。先ずビールは218円(税額77円含む)で、発泡酒は145円(税額46.9円含む)、そして第三のビールは、125円(税額28円含む)となります。
大手4社(キリンとアサヒ、サッポロ、サントリー)が発売している第三のビール12ブランドに対する評価を日経リサーチが調査し、その結果が5月に公表されました。調査サンプルは、日本経済新聞社の「小売業調査」の対象になっているスーパー142社。
このブランド調査によるとキリンビール「のどごし〈生〉」が「ブランド力」や「リピート購入率」、「味(喉越し)」、「テレビCMなどの広告・宣伝」で圧倒的な支持を集め、ブランド総合評価でトップになっています。
2位はサントリーの「金麦」。「テレビCMなどの広告・宣伝」、「パッケージ」などでは1位となったが、他の採点項目で「のどごし〈生〉」に差を付けられています。
3位以下は、アサヒビールの「クリアアサヒ」、4位も同じくアサヒビールの「プライムリッチ」、5位はサッポロビールの「麦とホップ」という順番になりました。
ビール愛飲家にとって肝心な味(コク・苦味/喉越し)の順番についても概ねブランド調査と同様な結果となっているようです。
ポテトチップがおつまみトップに
もうひとつ、自宅でお酒を飲む際に欠かせないおつまみランキングについて紹介しましょう。これはマイナビがニュース会員の20代?40代男女を対象にインターネットログイン式アンケートを行い、昨年2月に公表したものです。
「自宅で飲むときによく買うおつまみを教えてください」(複数回答)という設問に対し、男性(334名)の回答に1位は「ポテトチップなど甘くないお菓子」で以下5位まで「柿の種」、「チーズ」、「ピーナッツやピスタチオなどの豆類」と「さきいか」が同率で「サラミ」の順となりました。
一方、女性(535名)の1位は「ポテトチップなど甘くないお菓子」で以下5位まで「チーズ」、「チョコなど甘いお菓子」、「柿の種」、そして「ピーナッツやピスタチオなどの豆類」の順となりました。
「チョコなど甘いお菓子」(女性3位)を除くと「柿の種」、「チーズ」、「ピーナッツやピスタチオなどの豆類」などおつまみの定番ともいえるものが並び、男女間で大差がないように思えました。
皆さんが自宅でお酒を飲まれる時のおつまみと、このランキングは一致していますか?
私の周辺では、ビールと発泡酒、第三のビールの原料の違いや価格、味覚評価などについてほとんどの人が知らない様子です。皆さんはご存知でしたか。
生産者と消費者との間では情報の共有が大事なことになります。こうした分野でもパブリック・リレーションズ(PR)の役割が求められます。
そういえば、先日グローバルビジネス学会の会合で、早稲田大学と京都大学の先生たちの間で、両校が共同開発した「ホワイトナイル」というビールが話題に上がりました。
名前から連想されるように、「ホワイトナイル」は、古代エジプト研究で著名な吉村作治さん(早稲田大学名誉教授)が、ピラミッドの壁画に描かれていたビール(アルコール飲料)の製法を解読し、ビール会社がその復元をはかったもの。そして、エジプトの古代小麦の種を提供したのが、京大農学研究科・栽培植物起源学研究室。
2006年4月より製造元の黄桜株式会社から発売され、マイナーブランドでありながら、小瓶(330ml)1本450円という高額商品にもかかわらず人気は上々だそうです。